恋の戦略・攻略法 10   @AB CDE FGH JKL




イルカ先生にメチャメチャ尊敬されてしまったオレは、割烹『小助』に呼ばれた。 おもろい夫婦に。
オレの“部隊長に返り咲き会”という名の、祝う本人に酒代をたかろう会、そういうコトだ。
コイツらはオレが寝てる間に、ほんとに夫婦になったらしい。 それがいいヨ、息ピッタリだしネ。
イルカ先生攻略の為なら金なんか惜しまないよ、オレは。 実際、アドバイスは的確だもん。

「あ、先輩! ボクの“補佐に降格慰め会”も兼ねてるらしいですよ?」
「お前ら、暗部を兼任してるって聞いたからよ、慰安会だと思ってくれ。」
「馬車馬のように働かされているアンタ達に、乾杯!」
「凄いです、兼任宣言をされたって事は、“どっからでもかかって来い” ってことですよね?」
「あー、ま、そうネ。 火影新任で木の葉は弱体化してるし、舐められちゃ困るからネ。」

ザルワク夫婦はオレの為に、イルカ先生も呼んでくれてる、ありがとネ。 でも、なんでヤマト?
そういや、ヤマトは制服組に混ざるって言ってた。 オレの補佐は自分だと公言したんだネ。
他の隊員は極秘のままだけど、オレ達に限っては今さらだ。 上層部へのけん制も兼ねてるしネ。
三代目が選んだ暗部隊員の全員が、五代目に忠誠を誓えば、綱手様に逆らう上層部はいなくなる。

「ボク達の名前が他国にプレッシャーを与えられるなら、ソレに越したことはありません。」
「木の葉暗部トップツーコンビは、他里に恐れられている、綱手様も考えたんだろうな。」
「一時、ダンゾウがご意見番の所へ出入りしてたの。 三代目体制が維持出来て、良かったわ。」
「「あんな奴に忠誠なんて、誓えるか!!」」
「わーー、凄いです、ハモってますよ、あうんの呼吸ですね?! さすがっっ!!」

・・・・ただでさえ尊敬の目で見られているのに。 イルカ先生の視線が感動を帯びたモノになってる。
感動しなくていいから、憧れてチョーダイ! ポッと赤くなったりとか・・・・  は、ないよネ。
ん?? オレが、木の葉の為に身を粉にして働いてる自慢はイイのヨ、イルカ先生にPRだから。
ヤマトは別に普通でイイでしょ。 むしろ、オレをもっとたてなさいヨ、ハモるんじゃなくて。

「あの時誓ったんです。 ボクが木遁を使いこなして、人柱力の力になろう、って・・・・。」
「うぅ・・・・ こんな立派な上忍が支援して下さるなんて、うっ・・・ ナルトは幸せ者ですっ!!」
「いえ、ボクは大蛇丸の実験体じゃないと証明したかっただけなんです、自己満足に過ぎません。」
「ヤマトさんっ! どこまで自分に厳しい方なんだ・・・・ 上忍の鏡です、木の葉の誇りですっ!!」

・・・・・ちょっと待て? どっかで聞いたことあるヨ。 オレがイルカ攻略に使った戦略だよ、ソレ。
テンゾ・・・・じゃなくて、ヤマトもひょっとして?? ・・・・ありうる。 大いに考えられるっ!
オレ達はいつもそろって動いてる時に限って、イルカ先生に出会っている。 成長の過程を見て来た。
オレは今思ったら、始めからかもしれない。 ヤマトはいつから・・・・ イルカ先生を欲していた?

「個人的な話しをしてしまって・・・・ すみません。 皆さんが慰安会をしてくれているのに。
 イルカ先生には本当のボクを、知ってもらいたかったのかもしれない、ナルトの理解者として。」
「ヤマトさん・・・・ 迫害されてたナルトの気持ちを理解出来るのは、あなただけです・・・・」

「あのよ、カカシ。 言いたかないが・・・・・ あれ、同情作戦やってんじゃねーか?」
「ねえ、マンマなんだけど。 アンタが言ってた戦略と。」
「・・・・・・。」

長年コンビを組んできた。 暗部の誰もオレ達に逆らう者はいなかったし、これからだっていない。
誰よりもお互いを知っていて、信頼している。 戦い方も似てるし、考え方も、行動も、全て。
ヤマトはオレ、オレもヤマト。 表裏一体なんだ、オレ達は似過ぎている。 欲する者まで同じとは。

「イルカ先生は、こんな上忍を情けなく思わないですか? しかも暗部で大蛇丸の実験体・・・・」
「思いません!! 思う訳ないっ! 実験体がなんですかっ! あなたはひとりの人間なんです!!」
「あなたに話したら、スッキリしました。 ありがとうございます、堂々と木遁を使える・・・・」
「当たり前じゃないですか!! ヤマトさんの努力の結果を、隠す必要なんてありませんっ!!」

ヤマトお前、木遁忍術隠してたの? 思いっきり『木遁!!』とかなんとか言ってるよね、いつも。
・・・・・オレと同じだーネ、それじゃほっとけない上忍のままだって、ザルワク夫婦に教わったヨ?
そんで、いらないお節介焼かれて心優しい女性を紹介されるかも、って。 一年前のオレがいる・・・・。