恋の戦略・攻略法 7
@AB
CDE
GHI
JKL
あれから何度も、ザルワク夫婦に励まされた、というかたかられた。 割烹『小助』は大繁盛だ。
今まで敵と戦うコトだけを考えて来たから、恋だってその様に考えていた。 敵に勝つには、と。
性欲が高まったら穴に突っ込めばイイ。 オレは女が見せる夢には、興味なかったから。
顔も体も名前も、いちいち覚えちゃいない。 精液を素早く出せる穴があれば、何の問題もなかった。
オレがそうやって本音を出す度、おもろい夫婦の絆が深まる様だ。 すっかり意気投合している。
そんなに感情がシンクロするなら、悪友やめて結婚しちゃえばいいのに、と思うぐらい。
感情のシンクロって大事だと思う。 それってなんか、もうひとりの自分みたいじゃない?
だから・・・・ もうひとりの自分を手に入れたいんだ、まだ心が残っているイルカ先生を。
そんなこんなで、“自分にも他人にも厳しい上忍師”という立場を確立してしまったオレは、
そのイメージを覆せないまま、中忍試験当日を迎えるコトになる。 あながち間違いじゃないケド。
自称恋の相談役アスマ紅コンビには、“子供思いの体当たり上忍師”で攻めろとアドバイスを受けた。
子供思いとは、我が子を谷に突き落とすような、三代目がナルトに示した深い信頼のコトだろうか?
「ヒナタッ!!」
「ちっ、めんどくせぇ!!」
「我が弟子ネジ、それ以上私情にとらわれるな!」
「何の為の戦いか、忘れちゃだめダヨ。」
イルカ先生は会場の隅っこで、ハラハラしながら元教え子達を見守っていた。 ナルトと同期生のヒナタ。
天才と呼び名の高いガイの弟子で日向分家のネジが、日向本家のヒナタに本気で殺意を向け、殺しかけた。
おもろい夫婦に目くばせされて、中忍選抜競技場にオレも乱入。 あ、先生が感動してる・・・・。
こうやって体張って先生の大事なものを守ると、ポイントアップするんだネ。 体当たりか、なるホド。
「サスケッ! コレは一体・・・・・。」
「大丈夫、血文字封印で押さえてあります。 ちょっと、クラクラしますがネ、ははは。」
「また無茶をして・・・・。 カカシさん、すみませんでした、俺・・・・・。」
「抜け忍大蛇丸が、木の葉に戻って来ました。 すぐ一般人を避難させた方がイイ。」
「!!! はい。 ・・・・・カカシさん、どうかご無事で、無茶だけは・・・・・」
「イルカ先生に誓ったでショ? コイツラもオレも、自身が守るって。 覚えてますか?」
「もちろんですっ! 信じてます、カカシさんを。 俺もなすべき事をして来ます!」
イルカ先生から尊敬の念を感じた俺は、すぐさまそれを生かした。 ヒーロー上忍師に返り咲きだ。
ところが大蛇丸が、木の葉崩しをしかけて来た。 いつかやるだろうな、とは思っていたけど。
そしてまさかの事態が起こる。 三代目火影 猿飛ヒルゼンの死。 里と歴代の火影の亡骸を守り、
木の葉史上もっとも偉大な火影が、オレ達の目の前で死んだ。 どうするコトもできなかった。
「カカシッ!」
「すまねぇ、助かったぜ。」
「油断してるんじゃないよ、おもろい夫婦。 ・・・・何しに来た、イタチ。」
「・・・・争いに来た訳ではありません。」
木の葉崩しの後は、傭兵組織暁の侵入。 木の葉の里は、次の火影も決められぬまま混乱していた。
抜け忍 イタチは、実は暁に潜入させている木の葉のスパイだ。 九尾の様子を探りに来たんだろう。
暗部でも優秀な部類に入るイタチに、写輪眼で話しかける。 目と目で話し合う、というヤツだ。
足手まといになると、遠くから様子を見ていたイルカ先生の視線は、立ちはだかったオレにクギ付け。
『お前、オレに月読かけろ。 オレも万華鏡写輪眼を開眼してるから、ダメージは少ない。』
『カカシさん正気ですか?! まあ、ここで何もなかったら、俺が怪しまれますからね・・・』
『三代目だけにじゃなく、次の火影にも忠誠を誓えよ、イタチ。 木の葉を裏切るな?』
『・・・・はい。 引き続き、暁に潜入します。 では元部隊長殿、いきますよ・・・・・』
アスマ紅コンビを守って倒れるオレ。 ・・・・・イルカ先生、見てる? 感動してる??
意識が遠のきかけた時、いつぞやの失敗の記憶がよみがえって来た。 ガイが乱入したからだ。
イタチがオレを倒し去りかけたところで、ガイが突如乱入。 イタチ達にケンカを吹っかけた。
倒れ込むオレに駆け寄って来るイルカ先生、涙がオレの頬を濡らす・・・・・ 予定だったのに。
確かに。 戦略を練っただけじゃ、思う通りにコトは運ばない。 恋は手ごわい相手だった。
「ハハハハ、木の葉の青い猛獣、マイト・ガイにかかれば、暁なんぞ、モノの数ではないっ!!」
「紅さん、アスマさん、大丈夫ですか?! カカシさんは?!」
「む、コレはいかんっ! カカシを木の葉病院へ運んでくる。 では諸君、サラバ!!」
「ガイさん凄い・・・・ いざとなったら、なんて頼りになる上忍師なんだ・・・・・。」
「・・・・・・アスマ、カカシのアレ、体当たりの意味、そのまま捕らえてるわよね?」
「おう。 カカシの考えた体当たり作戦は、ガイにゴッソリ持って行かれちまったな。」
「そんな勘違いしちゃって・・・・ 正面きって、心からぶつかっていけって事だったんだけど。」
「・・・・そう言ってやるな、紅。 アイツなりに考えた、体当たりだったんだろうよ、アレは。」