恋の戦略・攻略法 4
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DEF
GHI
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カカシ先輩の帰還を待って辞令がおりた。 滝忍殲滅任務のカジキ部隊に合流、戦況に終止符を打つ。
こういう場合は大抵、相手にキレ者がいるか、木の葉にない術を使う奴がいるか、のどちらかだ。
ツーマンセル任務だから後者だな。 先輩が相手の術をコピーする間、ボクが補助するんだろう。
カジキ部隊に合流したはいいけど、なにやらよからぬ噂が飛び交っていた。 これは偽情報だね。
しかし、たった一ヶ月で内通者の噂を信じるなんて、なんて情けない。 忍びは耐え忍ぶ者だろうに。
ボクはカカシ先輩にそう教えられてきたよ? 敵忍殲滅任務を任される上忍達は、馬鹿じゃない。
もし本当に内通者がいたら、一週間も待たずに火影様に連絡が来て、ボク達暗部が秘密裏に処理。
敵にまぎれて殺し殉職だと思わせる。 相手の手駒を、木の葉が気付いてなかったと思わせる為に。
「おいみろよ、暗部だぜ? ここに来たってコトは、内通者の処理任務かな?」
「・・・・暗部が来たから何だって?」
「ほら、この状況、もう一ヶ月動かないじゃん? 内通者がいるって噂が流れててさ・・・・・」
「ふざけんなっ! 俺達が噂ごときで仲間を疑うなよっ!!」
ん? なんか生きのイイのがいる。 そうそう、まったく君の言う通り。 ね、カカシ先輩?
内通者の処理なら、ボク達は堂々と部隊の真ん中に降り立ったりしない。 影に徹するよ、当然。
つまらない噂に左右されちゃ駄目だよ? こうやって姿を見せたって事は、単に応援に来ただけ。
あれ?? 彼は・・・・・ あの時の下忍だ! そうか、中忍になったんだね、おめでとう。
「先輩、覚えてますか? あの中忍、あの時の下忍君ですよ。 ほら、ナルトの・・・・」
「ああ、忘れる訳ないヨ。 オレの気持ちと見事にシンクロした人間だもん。」
「あははは、ボクもあの時、ダンゾウの顔に木遁ブッ刺してやとうかと思ってましたヨ!」
「お前も?! まあいいや。 あの時と変わらず、オレ達とシンクロしてるネ、あの子。」
ははは、先輩もそうだったんだ。 じゃ、最初から見てたんだな、あの石つぶて飛ばして逃げた事。
あの事火影様に報告したら、バカウケしてたっけ。 三代目の知ってる下忍みたいだった。
イルカは、ナルトをひとりの人間として扱う忍びになるじゃろ、と言ってた。 イルカ中忍、か。
彼はここでも、ボク達が思っていた事を叫んだ。 皆あっけにとられて、ビックリしてるよ?
「・・・・だな。 イルカの言う通りだ。 たった一ヶ月で仲間を疑うなんてバカだな、おれ達。」
「それに、敵が流したデマとも考えられる。 おれ達を味方同士疑わせて・・・・。」
「俺は一ヶ月苦楽を共にした仲間のお前達になら、騙されてもいいぞ?」
「おまえ、ソレどうなんだヨ!! バカだね〜!! あははは!!」
「きっと暗部投入は、なんか訳があるんだよ。 戦況が急展開して、明日里に帰れたりしてな?!」
「おお、マジでか、イルカ?! 美紀ちゃーん 明日帰るヨー 足開いて待っててねーーv」
「モモちゃん、帰ったらサービスしてーー 同伴出勤してあげるし、ご飯もつけちゃうっ!!」
「モモちゃんキャバ嬢だろっ! キャバクラ直行かよっ、淋しい奴めっ!! ははははは!!」
う〜ん、不思議、イルカ中忍の一言が仲間の猜疑心を払拭した。 しかも士気まで上がっちゃってるよ。
彼はとてもいい目をしてる。 木の葉の忍びである事に誇りを持っている、ゆるぎない目だ。
あ・・・・ コレ、前にカカシ先輩が言ってたっけ、 “イイ目してるね” って、あの時に。
イルカ中忍は自分では気付いてないみたいだ。 その目の強さが、心の強さそのままである事に。
「じゃあ、カジキ上忍、今まで殺さないで待っててくれたの?」
「カカシさんが来るのは、予想してましたから。 生かしてありますよ。」
「でも部隊のみんなには、ちゃんと話した方が良かったんじゃないですか?」
「暗部のトップツーが来るなんて言ったら、アイツら浮き足立って、任務中、上の空ですよ。」
面白い術を使う奴がいると三代目に報告したら、暗部を行かせるから時間を稼げと言われたらしい。
その時点で誰が何の為に来るのか、想定したそうだ。 深追いせずに、攻防を繰り返していたと。
滝忍は二週間もあれば殲滅出来たらしい。 だから時間を稼ぐために、内通者の噂を流したそうだ。
浮き足立って任務に集中できず怪我するよりは、疑心暗鬼になって注意深くなる方がいい、と。
「カジキ上忍、戦力維持と協力、感謝する。 んじゃ、サクッとコピーして来ますか。」
「一ヶ月も待っててくれたんだし、めんどくさそうな滝忍の奴ら何人か、潰して来ますよ。」
「明日里に帰れるかも、って期待されちゃってるみたいだしネ、張りきっちゃうヨ?」
「この部隊なら、一日で帰還できるような数ぐらいには減らしておきます。 では。」
あの無鉄砲な下忍君は、仲間を信頼する中忍になっていた。 会った事もないボク達のコトも。
“暗部が動く” それだけで、ヘンに勘ぐる奴もいる。 なのに、くすぐったいような信頼の瞳。
どんな忍びに、これから成長するのかな・・・・。 出来れば死なずに、生き残って欲しい。
「サクッとコピーしちゃうのか・・・・。 一日で殲滅させて帰還できる数って・・・・・
う〜ん、アイツらに知らせなくて正解だったな。 カリスマ出しまくりだろ、あのコンビ。」