恋の戦略・攻略法 11
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「ヤマト、ちょっとイイ?」
「ハイ、先輩。 なんでしょう?」
翌日上忍待機所で、ヤマトに話しかけた。 昨日一日、考えに考え抜いた戦略を相談する為に。
オレは木の葉一尊敬できる上忍、という立場を確保してしまったが、ヤマトはまだ違うから。
忍びはチームで動くもの。 単独で勝てない相手には、チームワークで攻めるのが鉄則でショ?
「単刀直入に言うぞ? イルカ先生が欲しいのか?」
「わかりますか? ボク、この機会を逃しちゃいけないと思って。」
「実はオレも暗部引退した瞬間から、戦略を練った。」
「!! 先輩も?! え・・・・でも今まで何も・・・・。」
そう、ソコだ。 この一年間というもの、イルカ先生と親しくなれたが、尊敬されてしまったダケ。
恋はあさっての方向だ。 何でこの結果になってしまったのか、反省会をして、打開策を練ろう。
オレと同じ戦略で攻めようとしていたヤマトに、オレの今の立場を、かいつまんで説明する。
果たして、このまま体当たり作戦を続けていて恋に発展するのか。 協定を結ぶコトを提案した。
「ど、どうしよう・・・・ ボクは、ただの穴なんていりません・・・・。」
「そうなんだヨ。 突っ込むだけなら先生でなくてもイイんだよネ。」
「どうやったらあの心ごと、手に入れられるんでしょうか?」
「・・・・・オレの一年間の努力を持ってしても、今の立場なんだ、強敵だヨ。」
オレ達は今まで何度も、死線を潜りぬけて来た。 ふたりで戦略を練れば、何かイイ作戦が浮かぶかも。
いっそのこと忍びらしく洗脳してしまおう、とか。 任務報酬として希望するのは、とか。
どれもきっと、心までは手に入らない作戦しか、思い浮かばない・・・・。 やはりここはアイツらか。
おもろい夫婦にまたしても出資して、ワンランクアップの作戦を提示してもらうか・・・・。
「・・・・・小声で呟いていても、アタシ達忍びには丸聞こえなの! バカじゃない?!」
「めんどくせ―な、おい。 聞いて欲しいのなら、そう言えよ。 助けてやらんでもないぞ?」
「・・・・・・聞いてクダサイ。 オネガイシマス?」
「お、お願いします、ぜひ効果的な攻略法を・・・・。」
「周りくどい! 始めからそう言えば良いのよ、この忍び馬鹿一代の暗部コンビッ!!」
「コイツラの話を理解出来るのは、おれたちだけだろ。 乗りかかった船だ、仕方ねーじゃねーか。」
ふう、ここまで時間をかけなきゃならないとは。 イルカ先生が、遥か彼方の遠い人間に思えて来た。
ザルワク夫婦の飲む量は半端じゃない。 なんか、金でイルカ先生を買ってる気がして嫌なんだケド?
ホントに金であのヒトの心が買えるなら、いくらだって出すよそんなもん。 お前もそう思うだろ?
「忍びは心を殺せ、か。 本当に殺しちまったと思い込んでるのは、お前らだけだぞ?」
「思い込んでる? オレ達はホントに心は無いよ? 任務中は感情なんて、邪魔なダケ、違う?」
「そうですよ。 でないと、とっくに死んでます。 今生き残ってるのが、何よりの証拠です。」
「・・・・・・根本的にアンタ達ふたりって、似てるのよね。 四代目の言葉を忘れたの?」
忘れる訳ない。 だからこそ、心を手に入れようとしてる。 自分にないから、イルカ先生のを。
この先、生きている限りずっと、イルカ先生と一緒にいたい。 それはヤマトも同じなんだ、きっと。
あの涙に触れてみたい。 強い瞳で話しかけて欲しい。 そして愛してもらいたいんだ、包まれたい。
今までずっと里の為に尽くしてきた、一個ぐらい何かが欲しいって思っちゃ、ダメなの??
「・・・・・・だから!! それが体当たりなのよっ!!」
「体当たり?? 体張って、なにかすればいいんですか??」
「ホントにめんどくせーな、おい。 本音を全部ぶちまけろよ、それが体当たりだ。」
「・・・・? 本音なんか言ったら、イルカ先生、引いちゃうよ?」
オレが、希望する夢をポロッと言ったら、ザルワクコンビが喰いついてきた。 え、本音を?
そんなこと言って、本当に大丈夫なの? 体当たりって、体から攻略しろってコトだったの??
・・・・体から落とすなんて簡単だヨ。 けど・・・・ それじゃ、そこいらの穴と同じでショ?
オレ達は心が欲しいって、何度も言ってるじゃない! ヤマトだって、ハテナマーク飛ばしてるヨ。
「・・・・耳ダンボにして聞いている奴らがいても良いんなら、今言ってやるぞ?」
「イルカ先生のあらぬ姿を想像するヤツがいるかもしれないから、ソレはダメ。」
「先輩とボクとイルカ先生の3pを、オカズにさせたくないですからね、駄目です。」
「あーーーっ!! もう、わかってないっ! 戌の刻 割烹『小助』に集合っ!! いい?」
「「了解!」」