恋の戦略・攻略法 9
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イタチの月読は、いい夢をみせてくれていた。 本来なら、恐ろしい幻術を繰り返し見せるハズが。
ヘンなところで律儀な奴だ。 幻術はミナト班との対面。 オレ以外は皆、死んでしまった人たちとの。
幻術の中でオレは、心を見つけたと仲間達に報告する。 四代目もオビトもリンも、喜んでくれた。
皆にイルカ先生の人柄を語って聞かせる。 絶対手に入れるんだぞと、懐かしい人達が応援してくれた。
「天才だと思っていたが、やはりお前も人の子か。」
「・・・・え? 綱手姫? なんで伝説のカモがここに??」
「カカシ、今度その通り名を呼んだら・・・・ ブッ飛ばすよ?」
「五代目の要請で暗部を兼任、ボクも明日からベスト組に紛れます。 なので、補佐に戻りますね。」
「・・・・・・ってコトは、オレも部隊長に逆戻りって訳ネ。」
オレが木の葉病院で寝てる間に、血液恐怖症を克服した綱手姫が、五代目に就任したらしい。
医療忍術のスペシャリストで、自来也様を半殺しにした過去を持つ彼女は、今や木の葉で最強の忍び。
五代目火影に、これほどふさわしい人物はいない。 間違ってもあの男、ダンゾウだけは駄目だ。
心を手に入れてないのに、暗部へ出戻りとは。 でも兼任なら、イルカ攻略は継続してもイイよね?
「ダンゾウもご意見番も信用できん。 今の私は持ち駒が少ない・・・・ 手を貸してくれるか。」
「暗部部隊長 上忍師カカシ、五代目火影に、忠誠を誓います。」
「部隊長補佐 上忍テンゾウ、五代目火影に、忠誠を誓います。」
「いいかい? お前達には、これからバンバン働いてもらうからね?」
「「御意。」」
最初の辞令は改名だった。 ダンゾウとゴロが似てるから気に食わん・・・・ という理由で。
長年オレの補佐を務めて来たテンゾウが、ヤマトという名に変わるらしい。 火影命令は絶対だ。
本人も実はそう思っていたらしく、ヤマトという新しい名をかなり気に入った様子だった。
急にそう言われてもねぇ・・・・・ うっかりテンゾウと呼んでも気にするなよ、ヤマト?
「 綱手様ぁぁっっっ!! 次は我が弟子、リーを診てやって下さいっっ!! 」
「やかましいぞ、ガイ! 怒鳴らなくてもきこえているっ!! ・・・・じゃあな。」
人柱力が九尾のチャクラをコントロールするには、暴走を止める為のストッパーが必ず必要になる。
五代目はナルトに、初代様のペンダントを持たせたらしい。 ならヤマトの役割は抑制だろう。
ペンダントに封印された柱間様のチャクラが、尾獣に対する木遁封印術を、完璧なモノにするから。
ヤマトは、大蛇丸から初代様の細胞を人工的に埋め込まれた、木の葉唯一の木遁忍術継承者だ。
木の葉崩しから再生の為、早急に強い忍びを育てようと、三代目の様に我が子を谷に突き落としてみた。
オレのオリジナルの技 千鳥まで伝授するぐらい、目をかけていたイタチの弟サスケ。 読みが甘かった。
血をわけた兄や木の葉の仲間より、復讐劇を選んだサスケは、真実を見謝り谷に落ちたまま。
サスケの里抜けで弱さを痛感したナルトとサクラは、さらなる高みを目指し、這い上がって来たのに。
サクラ・ナルト・サスケは、それぞれが別の道を歩み始める。 七班は事実上解散した。
「カカシさん、ご自分を責めないで下さい。 俺だってサスケには、過度の信頼を寄せてました。」
「自分だけが不幸じゃないと、気付いていたと思ってましたが・・・・ 甘かったです。」
「何をやらせても一番でしたから、安心してたんです。 アイツだってまだ子供だったのに。」
「温室育ちの野菜は立派ですが、外の季節を感じることなく、育ってしまったというコトですネ。」
ソレはソレ、コレはコレ。 当然このキッカケを生かすよ? 忍びはどんな時も冷静に状況判断しなきゃ。
共通の話題を出し、下忍達の数少ない理解者としての立場を強調。 今、イルカ先生はオレに共感してる。
おもろい夫婦の言った、“子供思い上忍師” は、素晴らしく効果的であると判明したから。
けど“体当たり”は、いまいち効果的でない様だ。 先生に泣いてもらったら、嬉しいはずなのに。
オレが目覚めたと聞き、木の葉病院に駆け込んできたイルカ先生の泣き顔は、ここち良くなかった。
体張って木の葉の仲間を守ったのに、オレの為に流した先生の涙は、オレまで苦しくなる涙だった。
・・・・・ガイにイイトコ持っていかれたから、ガッカリさせてしまったのかもしれない。
「アイツらのコトこうやって話せるのは、イルカ先生だけですヨ。」
「またグチ飲みをしましょうね。 吐き出しましよう、お互いに。」
「ふふふ、ありがとう、イルカ先生。 あなたがいて良かった。」
「・・・・俺の方こそ。 ありがとうございます、カカシさん。」
ちょっと、完璧じゃない? コレもう、子供達を心配する夫婦の構図だよネ? イルカ攻略成功?!
恋をすっ飛ばして、もう夫婦になっちゃった!! いいかな・・・・ 今言っても、いいかな?
「あなたが大好きです、イルカ先生。」
「俺もです。 誰よりも尊敬していますよ、カカシさん。」
・・・・・・・ン? アレレ?? ・・・・そんけー? 尊敬?! どこで間違っちゃったの、オレ!!