恋の戦略・攻略法 3
@AC
DEF
GHI
JKL
オレ達暗部がいたから良かったものの、そうじゃなきゃ、イルカ先生の人生アソコで終わってたヨ。
あのダンゾウに、石つぶてって・・・・ 今思い出しても笑えるんだけど。 でもそれって大切でショ?
いつまでも色あせない思い出は大事なモノ、って三代目だって言ってたしネ。 あの時オレは思った。
アイツの面に雷遁喰らわせたいって。 そしたら石つぶてだもん、まいっちゃったヨ。
「おう、ニヤニヤしてそうな面してんな、カカシ。 おれ達も混ぜろや。」
「なにソレ。 ま、実際今、楽しく戦術練ってんの。 邪魔しないでくれる?」
「覆面してるからハッキリとはわからないのよね〜、でも何か企んでるわよ、この感じは。」
「ちょっと誰か! このおもろい夫婦、なんとかして。 集中出来ないじゃない!」
昨日の初陣に満足したオレは、イルカ先生との最初の出会いを思い出していた。 なつかしいな。
そんで、次のイルカ攻略作戦を練ってたら、おもろい夫婦コト、アスマと紅が絡んできた。
もう、早く任務チョーダイ! カモられちゃうでショ? 上忍師は違うけど、今日は下忍の休息日。
オレ達上忍師は他の上忍と同じく、お呼びがかかるまで上忍待機所で待機中。 オレは作戦構想中。
「なんとか出来る訳ないじゃないっすか、万年カモのガイさん呼んだら、カカシさん怒るでしょ?」
「さらに暑苦しいガイなんて呼んだら、お前ら殺すヨ?」
「ほらね? この上忍待機所にいる奴らに助けを求めるのが、そもそもの間違いですって。」
「おもろい夫婦の制御は無理です。 自分じゃなかっただけラッキーだと思ってますから。」
・・・・・オレもそう思うよ、立場が逆なら。 コイツラにカモられたら酒代をむしり取られる。
相談という名のタカリで、酒代は全部コッチ持ち。 ザルどもの今日のターゲットはオレらしい。
あー でも、コイツラに話してみるのも悪くないかも。 オレ達の下忍は、全員イルカ先生の教え子。
アスマの十班も、紅の八班も、オレの七班も。 共通の話題から攻略法を考えるのもイイ。
「仕方ない。 今日のおもろい夫婦の制御は任せろ。」
「さすが写輪眼のカカシ! よ、元暗部、部隊長殿!!」
「男だね〜 宵越しの銭は持たないってか?! この高給取りっ!」
「あんた達!! おもろい夫婦って何?! 悩める仲間の相談役って言ってくれない?!」
「おれは小助さんの飯とタダ酒が飲めるなら、なんでもいいぞ?」
「アスマがそんなだから、アタシ達がおもろい夫婦なんて呼ばれんのよ!!」
ってなわけで、今ココにいる。 暗部や上忍連中のたまり場、割烹料理『小助』最高齢の下忍の店。
小助さんの料理はそこらへんにある材料なのに、なんでか美味い。 ちなみに71歳、現役の下忍だ。
任務に呼ばれたら、お店は休み。 愛用の鉄鍋とお玉を背負って、えっちらほっちらと出かける。
なんでもあの料理に任務中癒されたとかで、上忍や暗部連中自らが出資して、この店が出来た。
そして割烹料理『小助』の最大のパトロンは三代目。 だからちょっとやそっとじゃ、壊れない。
常連客が暗部や上忍なら、いろいろとね? 気配や音がもれないように工夫されてたり。
皆自分が出資したから、我が家の様に出入りしている。 口コミで来る奴ももちろん多い。
そのかわり、個人的なコトに利用したら即出禁だ。 ギブ&テイク、信用第一は当然だろう?
「他にイルカ先生の弱点って、何か知らない? 知ってるなら教えてっ!」
「・・・・・あー なんだ、その・・・・ カカシはイルカとどうなりたいんだ?」
「どうって・・・・・ 決まってるじゃない、死ぬまで一緒にいるんだよ、これからずっと!!」
「それはつまり、義兄弟の杯を交わすの? それとも添い遂げるの??」
「相思相愛の恋人、行く行くは結婚して、死んだらお墓に一緒に入る! これ、決定!!」
自称仲間の相談役は、水の様に酒を消化して行く。 ふたりの体の90%は酒で出来てると思うヨ。
どうなりたいかなんて、当然のことを聞いちゃって。 心はオレの一部にする、そう決めてるんだから。
ところがザル達は恐ろしいコトを言いだした。 このままいったら間違いなく失敗する、と。
イルカ先生からは同情しか得られず、最悪な場合、心優しい女性を世話される恐れがあると・・・・。
「なんで?! オレの立てた戦略に隙はないよ?! 同情が愛情に変化だ大作戦!!」
「・・・・・どこの小説よソレ。 ・・・・は? イチャパラ?! バカでしょ、あんた!!」
「・・・・・あーー、ちなみに暗部連中は、どんな恋人が多いんだ?」
「んーーーーと、ベッタリ朝から晩までセックス三昧な恋人とか・・・・・」
「体目当てね。」
「おねだり上手で甘えたな恋人とか・・・・・」
「金目当てかよ。」
「束縛が激し過ぎて殺傷沙汰を起す恋人も・・・・・」
「それ敵の間者じゃない?」
「イイじゃない、別に。 みんなわかってるよ、そんなコト。」
「こっちが何で、って聞きたいわよ!! 虚しくないの?!」
「おれが思うに、暗部連中はいつも死と隣り合わせだ。 相手の見せる夢に溺れてんだろ?」
「それって、始めから諦めてるって事じゃない! でもカカシは本物が欲しくなったのね?」
「・・・・・うん。 暗部引退したから、もう自分の為に動いてもイイかなって。」
えらく感激した様子の紅とアスマに励まされた。 『暗部だって幸せになってもいい』とかなんとか。
オレのイルカ先生攻略に、協力してくれるそうだ。 自称悩める仲間の相談役コトおもろい夫婦。
なんだ、結構真剣に考えてくれるじゃない・・・・・ って思ったけど、相談料高額過ぎ。
小助さんの奥さんが申し訳なさそうに持って来た伝票に、ビビった。 ドンだけ飲んだのアイツら?!