根からの刺客 3
@AC
DEF
GHI
JKL
イルカ先生が珍しく興奮してる・・・・ はい、はい、聞いていますよ・・・・って、 いてて・・・・・
すみません、返事は一回でしたね、ええ、ボクがいい加減でした、ごめんなさい。 はい、聞いています。
・・・・・これでいいですか? ・・・・へへ! イルカ先生の“先生モード”も大好きでーすv
「もう! ちゃんと聞いて下さいよ、ヤマトさんっ! カカシさんもっ!」
「だって・・・・ 先生の意識がボク達にやっと向いた、って思ったら嬉しくってつい・・・・。」
「ネー? 先生、その子の話ばっかりしてて、オレもちょっとムッとしたもん。」
「・・・・ぷっ! くすくす! それは可愛いヤキモチですね、ふふふ。」
「「えーーっ!! これ、嫉妬?! だって、知らない相手に・・・・」」
「分かりました。 じゃぁ、こうしましょう。 会って下さい。 紹介します、おふたりに。」
「「・・・・・それで・・・・・ 嫉妬しなくなるの??」」
なんと、この感情も嫉妬なんだそうだ。 嫉妬って・・・・ 色々な種類があるんですね、カカシ先輩。
なんでも、久しぶりに一楽でラーメンを食べていたら、出戻り勧告を受けた下忍に相談されたそうだ。
その子がどうも口下手らしく、淡々と無気力そうに・・・・・ブツ切りの会話をするらしい。
さすがイルカ先生だ、ちゃんと相手の意思を汲みとってる。 伝えたい事が分かるんだって、凄いよね!
でもボク達が嫉妬しなくなる方法を知っているイルカ先生は、もっと凄い! だってもうさっきから・・・・
先生が“紹介します”って言ってから、ムカムカ感が薄れてきた様な気がするんだもん。 へへへ!
イルカ先生はボク達の忘れていた感情のひとつひとつを、丁寧に説明してくれる。 その対処法も。
「・・・俺達のマイルールは?」
「「言いたい事を言うっ!」」
「そうです、だからこれも俺一人じゃなくて、おふたりにも感じて欲しいんです。」
「「・・・・?? 何を??」」
「・・・・・・その子は・・・・ 綺麗に感情を忘れています。」
「「!!!」」
「けれど以前のおふたりとは大きな違いがあるんです。 火の意志を感じとれないんですよ。」
「チョット待って? んじゃ、その子・・・・ 他里の間者?!」
「イルカ先生、狙われたの?! くそっ! どこの里だっ!!」
・・・・・あ、すみません。 人の話は最後まで聞きましょう・・・・ でしたね、ははは・・・・。
だってイルカ先生が他里の忍びの暗殺ターゲットにされたかも、なんて想像したら血が上っちゃって。
・・・・・え、愛情からくる・・・・ 個人的な激しい怒り? あ、確かに。 沸騰しそうだった。
わ、こんな突発的に沸点に達する怒りもあるんですね。 教えてくれてありがとう、イルカ先生!
とにかく話している間も、その子は一切表情に変化を見せなかったそうだ。 終始、作った笑顔のままで。
言われてみれば、先輩もボクもそこまでは酷くなかった。 先生攻略の為に作戦を練ったりしたけど。
イルカ先生に同情してもらえるように、淋しげに見える表情を作ったり出来たしね。 知ってたから。
自分の顔のどの部分をどう動かせば楽しそうに見えるのか、悲しそうに見えるのか。 それは戦術だもん。
それが出来なきゃ、暗部にいられない。 面を外して里の中に紛れても、不自然に思われない様に出来た。
紳士的な態度の知的な上忍、それが里の中で一番メジャーな上忍像だと・・・ リサーチしていたから。
でも先生は、それも記憶の隅にある自分がなりたい姿の一部だと教えてくれた。 それすらない下忍?
「下忍から降格されたのも・・・・ そのせいじゃないかな、って思うんです。」
「・・・・そうか。 ウン、そうかも。 それじゃ木の葉の忍びを真似てるダケ、だもんネ?」
「上忍師の・・・ 適切な判断でしょうね。 このまま下忍にしておいたら死ぬだけだ、って。」
「ええ。 あの子とは今日会ったばかりですが・・・・ なんとかしてあげたい、そう思います。」
「イルカ先生・・・・・ ねぇ。 オレ今、猛烈にイルカ先生を抱きしめてあげたい。」
「ボクも。 もの凄くイルカ先生が悲しそうに見えます・・・・ ギューってしたい。」
「偶然ですね、ふふふ。 俺も、自分から抱きつこうと思っていました、おふたりに。」
そう言いながら、イルカ先生はボク達に飛びついて来た。 大好きなイルカ先生を正面から受け止める。
あれは洗脳です、間違いありません。 あの子はそれが木の葉の忍びだと教えられてきたんです。
なんの疑いも持っていない目をしてた、笑っている目は笑っていない目だった、木の葉の忍びなのに。
イルカ先生は全てを吐き出すように、悔しそうにボク達に言った。 とうとう最後にはポロリと涙が。
なんか・・・ イルカ先生がこんなに苦しそうなのって・・・・ 嫌だな。 凄く。 ねえ、カカシ先輩。
ボク達も最初、イルカ攻略に同情作戦を決行して・・・・ こんな風に泣かせましたよね、確か。
イルカ先生は全身で表現する。 何も出来ずにいる自分が情けないと流す涙は、イルカ先生の悔し涙。
里の仲間でも、自分とは違う他人の過去の事なのに。 同情と愛情の涙は、こんなにも違うんだ・・・・
元たかり屋夫婦が言った意味が、今になって身に沁みてわかる。 確かに同情は万人に向ける情だよね。
それに今、イルカ先生から本当の愛情をもらっている実感があるから、股間は素直に反応する訳で・・・・・
チロリとカカシ先輩を見れば、やっぱり同じ様にボクを見てた。 ・・・・・ええ、マイルールですよね?
「「イルカ先生に・・・・・ 無性に入れたいっ!」」
「・・・・ぷっ! あははは! 了解です、俺も。 おふたりの愛情が一杯欲しい。」
「「イルカ先生〜〜〜〜〜っっvv」」
ほんと、人間って感情のカタマリの生き物だね。 抱き合って溶けあえば、それだけで気持ちが強くなる。
肌からイルカ先生の気が流れ込んでくる、愛情たっぷりの優しい心、ボク達への思いが全て伝わってくる。
タダの穴に突っ込むだけだった人生が・・・・・ 何度も生まれ変われるよ。 イルカ先生、ありがとう。