根からの刺客 7
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イルカ先生が昨日の子に、オレ達を紹介してくれるって言ったから、大人しく上忍待機所で待ってた。
んで、式で呼ばれてアカデミーの裏山に行ったら、その子をギュウギュウと抱きしめてるし。 もう!
降格された下忍だから、もうちょっとスレてるのかと思ったケド、なかなかどうして理解力のある子。
でもネ、よくよく話を聞いてみたらとんでもないコトが発覚したんだヨ。 何気にマズイよネ、コレ。
なんと少年サイは、本物の刺客。 人柱力の意識改善の為に、イルカ先生を暗殺しに来たらしい。
というコトは“根”だ。 幸か不幸かサイは、この密令が実は暗部の入隊試験だと勘違いしていた。
イルカ先生を狙うなんて・・・・ コイツ・・・・ 今もの凄く脳ミソが沸騰しそうなんだケド?!
昨日先生が言っていた“愛情から来る個人的な怒り”だヨ。 感情が伴う殺意って、恐ろしいネ。
今迄は漠然と、ただ国と里の為に、って殺してたケド。 殺してやりたい、って気持ちが先行するの。
洗脳教育を受けていたサイには何の罪もないのだと分かってるのに。 殺意を向けてしまいそうだヨ。
でもそこはイルカ先生。 オレ達の怒りを感じてか、ラブ繋ぎしてた手を更に優しく握ってくれた。
「なんてことだ・・・・・・ この子に・・・・・ くっ!」
「ま、イルカ先生。 後はオレ達に任せて。 ・・・・・ネ?」
「そうですよ? サイの目標は暗部の入隊なんですから。」
「でも・・・・ 分かりました。 おふたりにお任せします。」
「アー じゃぁ、サイ。 明日もこの時間にここで。」
「どう対処すればよかったのか、一緒に考えよう。」
「はい。 ぜひご指導、お願いします。」
「サイ。 俺達の前では作り笑いはしなくていいからな。 素のお前で来い。」
「はい。 笑顔の指導はイルカ先生にお願いしたいです。 完璧でしたから。」
「・・・・わかった。 ・・・・・任せとけ。」
「有り難うございます。 では明日。」
取り合えずイルカ先生にはアカデミーへ戻ってもらった。 オレ達が向かう先は、もちろん火影室。
コレはこのまま、っていうワケにはいかないでショ。 コソコソ何をしてるかと思えば、ダンゾウめ!
昔のナルト殺害未遂事件で、暗部養成機関“根”は解体された。 全ての関係者から記憶を抜いて。
一族からの嘆願もあって、あの件に直接関わっていなかった上忍、トルネとフーだけはそのままだケド。
まさかまだダンゾウとツルんでいるなんて。 あの時上層部に土下座をして嘆願した一族の顔に泥を?
そこまでバカな上忍達ではないと思いたい、仮にも油女一族と山中一族としての誇りがあるなら。
ダンゾウは国境近くの何もない山の中に左遷された。 火の国国境を見張れ、という名目の左遷だ。
三代目は、あの山奥でダンゾウが再び持ち駒を作っているコトを黙認していた。 五代目も同じく。
里を思う気持ちは同じだ、里や国の為に汚れるのも。 そう言っていた。 でも汚れ方が根本的に違う。
ああいうやり方では理解してくれる人間はいない。 最終的に一人になり、恨まれたまま死んでいく。
人を都合よく利用して切り捨てる人間の末路は、どんな人物であれ同じだ。 惜しんでくれる者はいない。
泣いてもらわなくても全然平気だったケド、今オレ達には泣いてくれる人がいる。 もうそこで違うよネ。
ただ漠然と戦っていた時の自分と、自分を失うと泣く人がいると知っていて戦うコトは全然違う。
その人の為に誇れる自分でありたい、その人が守りたいモノ全てを守る為にも生き残りたい、そう思う。
四代目と三代目が言った、もともと自分の中にあった忘れている感情が、こんなに温かいだなんて。
どんなに非情に振る舞っても、冷酷であっても。 その温かさが、オレ達忍びも人だと実感させる。
誰かと寄り添うコトがこんなにも自分を奮い立たせるモノだったとは。 正直、ビックリしまくり。
イルカ先生を手に入れたら人生が機械色から薔薇色に!! オレ達サ、ホント・・・・ 頑張ったよネ?
「「イルカ先生、愛してま〜〜〜〜すっっvv」」
「 やかましいっ! “根” の話をしにきたんじゃないのかっ!」
「ヤー そうでしたーv つい、あのサイの表情を思い出したら・・・ ネ?」
「ボク達、感情を思い出せてよかったな、なんてシミジミと・・・ ですよね?」
「まあいい。 大方の事は予想がついた。 ・・・・その少年、お前達に一任する。」
「わかりました。 んじゃ、暗部の預かりというコトで。 綱手様、ダンゾウは放置ですか?」
「今は残念だが、そこまでの余裕はない、証拠も。 アイツの事だ、口先三寸で逃げられる。」
「ですね。 ひょっとしたら機密保持の為に呪印をしてるかも・・・・ サイにも。」
「大いに考えられるな。 仲間の命はアイツにとって、保身の為の唯の捨て駒に過ぎん。」
「「・・・・・・・。」」
サイの今後はオレ達が保証しよう。 イルカ先生だってなんとかしてやりたい、って言ってたし。
・・・・・?? チョット待って? サイってサ、ナルトとサクラと年が近いよ・・・・ ネ??
七班の新メンバー!! そうだヨ、七班の新メンバーにしちゃえば一石二鳥じゃない?!
ナルトもサクラも喜ぶだろうし、サイだって同じ位の年の子達の仲間が必要! それに先生も喜ぶし!
「「イルカ先生、愛してまーーーー ずっ!! うっ!! 〈バキッ! ドゴッ!〉 」」
「・・・・・やかましいと言っている。」
「「暴力いき遅れ女の嫉妬は、ゴホ! 見苦しいですよ? ゲホ!」」
「黙れ! 産まれたての小僧どもっっ!!」
「先輩、イルカ先生に慰めてもらいましょう!」
「賛成、怪力鬼ババァに殴られたのー って!」
「ふ・・・・ すっかり人間らしくなったな?」
「「それはもう。 ・・・・ラブラブですからvv」」
「ち! 早くいっちまいな。 まだ独り者の可愛いシズネには目の毒だ。」
「「は〜〜〜いvv じゃー 独り者のシズネさん、またネーvv」」
「つ、綱手様・・・ 酷いですぅ・・・・。」
「ははは! 悔しかったらお前も早くイイ男を見つけろ。」