闘犬島〈とうけんじま〉の秘密 10   @AB CDE FGH JKL




カカシさんとヤマトさんへ

おふたりの予想通り、任務受付所に行くなり、八班の面々に聞かれました。
話して良いという情報を教えてやったら、凄く喜んでいました、特にキバ。

紅さんが、おふたりのこの情報の速さに、感激しておられましたよ。
中継ですが、任務のお役に立てる事に、俺も嬉しくなってしまいました。

後のおふたりの辛さを思うと、万歳をして喜ぶ気にはなれませんが。
もしよかったら、ツメさんに言って、犬用の毒薬を調合してもらいます。

ところで、なぜ俺がお母さん役なのでしょう? お父さんでお願いします。

おふたりを思ってつい、グルコの肉球にキスしてしまいました。  イルカ



さすがイルカ先生。 全部を死刑囚にすると書いただけなのに、今いる本物の闘犬の事を考えた。
しかも、犬用の毒薬まで用意してくれようとするなんて。 分かってくれる人がいるって、いいね。
一番最後の仕事になるけど、闘犬の始末をしなきゃならない。 先生はその事を感じ取ったんだ。
それより、肉球にキス・・・・ してるところを想像したら・・・・ ムラムラしてきた!

「「グルコ、先生にキスしてもらった肉球見せて?」」
「ホイ。 右前足と左前足だ・・・・って、ギャー、ヤ、ヤメレーーーッッ!!」
「「先生からのチュー 確かに受け取ったからーーーvvv」」
「うぅ・・・・ 肉球舐めまわされた・・・・・」

ちょっと、グルコ! 舐めまわされたって、どういう事?! イルカ先生もキスしたんでしょう?
お前達だって、いつも自分で舐めてるじゃないか! 先生は良くて、ボク達は駄目っておかしくない?
まあいいや。 そうか、みんな喜んでたんだ。 うん、そうやって素直に里の忍びが喜んでくれる。
ボク達暗部にとって、何よりの活力。 しかも親子ごっこの真っ最中だしね? お父さん頑張るよーv




ってことで、今日は監獄島に商談を持って来た。 これは取引じゃない、商業アドバイザーとして。
ただでさえ、商業主義のこの島の主。 利点ばかりだもん、提示したら飛びついてくるよ、きっと。
・・・・って。 もの凄い感激してるし。 ツバが飛んで来そうなほど興奮して賛同された。
そりゃそうだよね。 収益の見込みは、倍どころの騒ぎじゃないもん。 何十倍だからね。


一、監獄島における死刑囚の闘犬変化を、霧隠れに依頼する金額の半値で請け負います。

二、スペースの大幅確保が可能。 一により、全ての死刑囚を獣にすれば、場所をとりません。

三、術を廃止、犬塚一族の丸薬使用を推奨。 忍びを呼ばなくても、丸薬の配送で済みます。

四、必要経費の削減。 三により、忍びを呼ばないので、その際に発生する滞在諸費が不要です。

五、リサイクル運動の助成。 罪人を娯楽リサイクルへ、各地に獣を売買する事も可能です。


監獄島の所有者は、早速、霧隠れから木の葉に鞍替えしてくれるらしい。 即答、即決だった。
商業プランを思いついたらしく、犬以外にも、馬やアヒル、兎なんかにできるのかね、と聞かれた。
可能だと思いますが、そんなことは木の葉隠れの、奈良家や犬塚家に問い合わせてください。

大方の予想はつく。 動物レースなんかを開催したいんだろう。 うん、確かに娯楽リサイクル。
完全な獣にする事で、人としての細胞も記憶も失う。 つまりはそれ自体が死刑執行、ってこと。
その後、その獣を使って試合させたり、レースさせたりは、死体の有効リサイクル法方だ。

あの闘犬島の闘犬大会も、一番の稼ぎは観光産業じゃない、闇賭博だ。 当然、元締めは、剛。
元来人は皆、残虐性がある。 死闘を演じる闘犬大会に、各国の賭博ファンは大満足するだろう。
死刑囚達を有効利用した、まさに、娯楽リサイクル。 あの、剛って人は、頭いいよね、ほんと。


「闘犬島の剛様には、話は通してあります。 出し抜こうとは思わない方がいいですヨ?」
「もちろん。 剛殿は、唯一死刑囚を買い取ってくれていた方。 一番のお得意様ですよ。」
「よりよい世の中にするべく、大陸中の極悪人の死刑執行をどんどん行って下さいね。」
「これで、死刑執行を切望する遺族からの手紙にすぐに返事ができる、ありがとうございます。」

世の中はこうして回ってる。 ゴミのような犯罪者でも、人の娯楽の役に立てるなんて、凄いね。
え? 動物に賭け事はよくない?? なんで? 賭け事を観光業にしている国もいっぱいあるよ。
ルーレットや札やサイコロは良くて、動物は駄目って、そんなこと誰が決めたの? でしょう?
こんな人間のエゴに生粋の動物を使うのはよくないけど。 でも、元死刑囚なら問題ないじゃないか。





イルカ先生へ

監獄島での商談も成功。 こちらも末長いおつき合いになる事、間違いなし。
それと、この島に打ち上げられていたんだね、三つの死体を見つけたよ。
だいぶ痛んでいたけど、多分、牙の家族。 焼いて灰を海にまいたから。

◎ 壊れかけた小舟から、ユウタくんのペンダントを発見。
この情報とペンダントを送るから、八班から牙に渡すように言って?

カカシ先輩と相談したよ、ツメさんに、犬用の毒薬を調合してもらって下さい。
正し、餌に混ぜるから、蓄積型のをお願いします。 提案ありがとう。

突っ込まれるイルカ先生はお母さんなんです、譲れません。  カカシ&ヤマト



はーい、今日はアキノ。 このペンダントと、お手紙を配達してね? いいなぁ、カカシ先輩。
専用の配達忍がいて。 ボクはっていうか、ボクの細胞は、口寄せ獣に嫌がられて契約できない。
初代様の木遁秘術は尾獣を操れる。 口寄せ獣はなぜか、尾獣にライバル意識バリバリだからね。

口寄せ獣達からしたら、この細胞の持ち主は尾獣側・・・・ ってなるらしい。 ひどいよね?
でもカカシ先輩の忍犬チームは、付き合いがかなり長いから、ボクの呼びかけにも応えてくれる。
だから、あえて無理やり口寄せ契約を結ぼうとは思わない。 いつか九尾の監視役にされるだろうし。

アキノが先生の写真を撮って来てくれるらしいよ? “舐められたくない”とかなんとか言ってた。
どんな写真かな? ひとりHの写真だったらどうしようv ・・・あ、でもアキノが見たらお仕置きだ。