闘犬島〈とうけんじま〉の秘密 9   @AB CDE FGI JKL




たいがいの統治者もそうだが、この剛という人物も、島に潤いを持たせる為、泥に浸かっている。
だから、あの牙の仇の鞍馬も、手段は選ばない奴だが、剛の意を汲む配下。 島を思っての行動だ。
・・・・どこにも似たようなヤツがいるネ。 ウチの里の志村ダンゾウってヤツもそうだヨ。

でもネ? 手段を選ばずに恨みだけ買っていたら、いつか暗殺依頼が来る、そうなっちゃうでショ?
裏の道を歩くからって、切り捨てるべきコトとそうでないコトは見極めなきゃ、空回りするダケ。
良かれとしたコトを理解してくれる相手はいない。 自分に返ってくるのは、当然、裏切りと死だ。



オレ達は“密談交渉”と最初に言った。 これだけの好条件に対して、安い交換条件を要求する。
それは牙の仇、鞍馬と部下の暗殺許可。 剛の右腕だからナニ? 代わりなんていくらだっているヨ。
これだけ損のない条件を呑まない統治者はいない。 ほーらネ、島の所有者 剛の目の色が変わった。

「では監獄島へは明日にでも商談に行きますネ。 先に話したから、購入費を叩けますヨ?」
「あちらに先に話すと、こちらは知らずに元の金額で買い取らされていた、か。 誠実だな。」
「裏を歩くは誠実に、木の葉の影の教えです。 大会はゴミのリサイクル。 そうですよね?」
「・・・・闘犬大会の裏の趣旨を理解して頂いていたのか。 さすがは木の葉隠れの里だ。」

そう、三代目からの教えなのヨ。 裏の道を行くヤツは裏切りに慣れている。 だから誠実に、って。
裏取引を誠実に。 同じ裏を歩く者だが、木の葉隠れは他里とは違う、そう思ってもらうコトが大事。
んで、駄目押しは取引相手を認めるコト。 もし木の葉を裏切れば他里より怖いヨ? それも匂わす。
この二点を、誠意をもってハッキリした態度で見せれば、ほぼ今後、木の葉隠れのお得意様になる。


「我が島の島民の為、こんなイイ話はない。 喜んで配下数人の首などくれてやろう。」
「密談交渉成立ですね? 近々、鞍馬を狩りに来ますが、逃がさないようにお願いします。」
「目には目を。 火影との密約違反は、その死を持って償って頂きますので。 ヨロシク。」
「ふふ、木の葉の怖さは知っている。 それに私は、人がやらぬ事をやるのが生き甲斐だ。」

ネ? この闘犬島の・・・ いや、中立諸島における霧隠れのシェアを横取りするって、こういうコト。
監獄島は問題ない。 どんどん死刑囚が売れる訳だし、しかも経費は、今までの半分の金額で済む。
中立諸島の中心の島。 このふたつの島から木の葉へ任務依頼が来るようになれば、他の島に波及する。

本来、中立諸島での顧客獲得は、オープンでなくちゃならない。 霧隠れはそれを秘密にしてた。
大陸中の一般死刑囚を投獄している監獄島を、独占するのはフェアじゃない。 木の葉は公言するヨ?
例え公言しても、ここまで誠意を見せた木の葉隠れ以外と、中立諸島が取引するコトはない、でショ?
これが木の葉隠れのやり方だヨ。 汚れるなら綺麗に汚れなきゃ。 ドロドロしたんじゃ、臭っちゃう。


イルカ先生へ

取引は成立、ご新規のお得意様を確保できた。 末長いお付き合いが期待できそう。
闘犬島の所有者 剛は、なかなかの人物。 綱手様もきっと気に入ると思う。
八班には、以下の情報を伝えてあげていいよ。 あ、イルカ先生は、お母さん役で!

◎牙の仇達の暗殺許可がおりたので、期を見て狩る。
◎闘犬大会に出場させる犬は、全部、死刑囚になる。

子役に、お父さんたちが頑張ってるPRを忘れないでね? えへへ、親子ごっこ!
明日は監獄島へ行く予定。 一日しか経ってないのに、早くイルカ先生に会いたいよ。

昨日のコトを思い出して 起ちそうになっちゃた カカシとヤマトより



「はーい、コレ。 イルカ先生に渡して?」
「・・・・・・・・。」
「なに、グルコ、書簡配達も、立派な任務だよ?」
「・・・・・・了解、だが・・・・・」

海をどうやって渡るかだって? ふふ、大丈夫、イルカ先生に口寄せの巻物もどきを渡して来たんだ。
時間になったら先生が呼んでくれるから。 多分、もうすぐ・・・・ あ、ホラ、先生が呼んだヨ?
オレの忍犬達は、オレ達と一緒でイルカ先生が大好き。 だから、先生に呼ばれている位置がわかる。

オレが今回の為に書いた巻物。 名付けて【愛の伝書犬の巻物】ヤ、名付けたのはヤマトだケド。
イルカ先生の負担はない。 この巻物を開いてオレの忍犬チームを、強く思い浮かべるだけでイイ。
オレの忍犬が先生のチャクラを感知したら、自分で時空間移動する。 好きじゃなきゃ感知できない。

当然、オレが口寄せしたら、こっちに強制移動する。 ね? 愛の伝書犬でショ?