闘犬島〈とうけんじま〉の秘密 11   @AB CDE FGH IKL




カカシさんとヤマトさんへ

実は、あれからずっと、牙が餌を食べなくて、ツメさんが心配していました。
でも、あの形見のペンダントを見せてあげたら、食べるようになったそうです。

おふたりが小舟からみつけた、とペンダントを八班に渡した時の、あの皆の顔。
三人で、アレを加工した首輪をつくってあげるんだ、って張りきっています。
ツメさんから、蓄積型の無味無臭の毒薬を預かりました。 同封します。

確か昔、そういうのありましたよね、三人の男性が子供を育てる映画!
しつこいようですが、俺もお父さん役がいいです。 “三人のお父さん” 希望。

頼まれたので、アキノと一緒に写真を撮りました。 送ります。  イルカ



牙、ご飯食べなかったんだ? 突然の家族との別れが辛すぎて、ご飯が喉を通らなかったんだネ。
犬って、そういうトコあんのヨ。 結構デリケートな生き物なの。 でもよかったネ、元気が出て。
あの犬はツメさんが言う通り、聡明な犬。 キバ達がつくってくれる首輪を、気に入ると思うヨ。

しかし先生、こだわるなぁ。 どう考えても先生はお母さんなのに。 入れる入れないじゃなくて、
イルカ先生は母性本能多すぎるモン。 現教え子や元教え子の事になったら、そりゃーもう、必死。
まさに子を守る母親そのモノ。 イルカ先生がそんなだから、オレ達も父親っぽくしてんの。

母性本能が強過ぎると、男でも乳首って感じるのかナ? オレ達も触りっこしてみたケドあんまり。
ゾクゾクとこしょばゆいダケで、イルカ先生みたいにピクピク、ビクビクしなかったヨ?
こういうのって気分的なモノかも。 だったらやっぱり、乳首で湿らせちゃう先生はお母さん!

「ところでサ、アキノ。 なんでイルカ先生と写ってんの?」
「この写真のアキノ、キューって、先生に抱っこされてるね?」
「いや、あの、 ・・・・頼んだら、イルカが勝手に・・・・。」

「「オレ達も抱っこしてあげる、おいで?」」
「わぁーーーっ! は、放せ、潰れるっ!!」
「「イルカ先生の温もり、受け取ったよーーーーっvv」」
「く、苦しい・・・ 頬ずりすんな・・・・ うぅ・・・・」




少数の島民より、島全体の利益の為なら手段は選ばない、か。 でも、もっと上手に汚れなきゃネ?
人間の汚い欲の為に、無垢な動物を利用しちゃダメでショ。 毒は毒を持って制さなきゃ意味がない。
勝ち残った闘犬と最後に戦わせるのは、本物の闘犬。 生かすつもりがないなら、中途半端はダメ。
確かにチャンピオンとして、剛の屋敷に飼われている姿を、島民に見せるのは大切だけどネ?

「牙の飼い主は断ったんでショ? だったらその時点で手を引けば良かったのに、バカだネ。」
「・・・あの犬の存在感は凄い、しかも義足。 民衆のシンボルにするにはうってつけだった。」
「ええ、牙は良い犬ですよ。 でもそれは温かい家族に囲まれて、自分が頑張ったからです。」
「チャンピオンとして君臨し続ける、死の心配はいらない、と何度も説得したのにアイツらは!」

そんな問題じゃない、まだ分かってないネ、この男。 飼い主一家は、牙を家族だと思っていたんだ。
ユウタ君の両親を監禁して、ユウタ君に命令させようとしたんだろうケド。 逆効果だったんだヨ。
家族が閉じ込められていただろう、剛の敷地内にあった地下牢。 牢の中で人を食う闘犬を見たなら。
人肉を貪る犬にされてしまった闘犬なんかに。 家族の一員の牙を、誰がしたいなんて思うだろう。

「頭悪いヤツらと、これ以上無駄な会話したくない。 はい、コレ飲んで?」
「ウグッ!! ゲホ、ゴホ、キサマ、ゲホッ、何を飲ませた?!」
「カカシ先輩、こっちの奴らには、全員飲ませ終えましたよ。」

「飲ませなきゃならなかったしネ、金縛りの術でも、口は自由にしておいたケド、気分悪い。」
「毒が各細胞に滲み渡り蓄積するまで、あと10分ぐらいかかります、もう少しの我慢です。」
「毒だって?! くそ! 剛様が知ったら、例え木の葉といえど、ただじゃすまないぞっ?!」
「「・・・・・ほんと、頭悪すぎ。」」

あのネ、ここは剛の屋敷の敷地内にある地下牢の中なの。 ちょっと考えればわかるでショ?
剛はアンタ達を売ったんだヨ。 “全島民の為になるなら少数の配下の首などくれてやる” ってネ。
鞍馬、アンタと同じ志で裏を歩く人だけど、アンタなんか足元にも及ばない頭のイイ人だヨ。
アンタ達が、島全体の為を思って一部の島民を切り捨てたように、この島の統治者もそうしたダケ。


「冥土の土産にイイコト教えてあげる。 アンタ達の暗殺を希望したのは牙だヨ。」
「は?! 何を訳のわからない事を! くそ、放せ、放せーーーっっ!!」
「犬塚一族。 木の葉隠れの里には、動物と会話できる一族がいるんですよ。」
「な!? ・・・・まさか! あの犬が生きて・・・・ いた・・・・?」

「そろそろいいかナー。 んじゃ、因果応報タイムといきますか。」
「くそ・・・・・ 殺すなら、ひと思いに殺せっ!!」
「それが出来るならそうしてます。 こんな手間、誰が好き好んで。」
「はっ!! ここは・・・・ まさか・・・・・・ やめろ、止めてくれっっ!!!」

楽に殺してやるほど、牙の恨みは可愛らしくないヨ。 因果応報タイムって言ったよネ、オレ達。
そう、ココはアンタ達が育てた闘犬の入れられている牢。 剛に言って、餌を昨日からやってない。
処刑ショーの為に、人喰い犬に育てられた、飢えた闘犬の餌に。 これからアンタ達がなるんだヨ。
もうお腹ペコペコだから、骨の欠片も残さず喰い尽すはず。 観客は二人、でもまぁ、イイでショ?


イルカ先生へ

今日は先生に送ってもらった毒を使って、島の闘犬を殺してやりました。
後、牙の仇の鞍馬とその部下達も暗殺したよ。 ツメさんの依頼は終了!
例によって、◎印の情報は、八班に教えてあげてOKデース。

◎ ツメさんの任務依頼を完了。 牙の仇は全員狩った。

そうそう、監獄島の所有者が牙を欲しいそうです。 もちろん番犬として。
イルカ先生があんまりこだわるから、先生もお父さんでイイです。

お母さんのようなお父さんに、はやく突っ込みたいナ。  カカシ・ヤマトより



今日はシバ。 イルカ先生に渡して? ・・・・ん? ナニ、その嫌そうな顔。 先生が嫌いなの?!
・・・・・だったらさっさと行きなさいヨ、ホラ、行って! 感知出来てるんでショ? もうっ!