闘犬島〈とうけんじま〉の秘密 5   @AB CEF GHI JKL




あの後、ビスケが呼びに行った拷問部が到着して、闘犬島の傭兵どもを連れてった。 素晴らしい!
どうヨ、このチームプレイ、オレがつい自慢したくなるのわかる? ヤ、弟子がバラバラだとか。
七班が解散になちゃったとか。 そんなの全然関係ないから、ホント。 ちょっと個別行動してるダケ。
サクラもナルトも伝説の三忍に教わるんだから、うんと成長するって。 先生も言ってくれたモン。

「カカシ先輩、そんな淋しそうな顔しないで下さいよ。 良いメンバー、みつかりますって!」
「・・・・・ホント、どこまでオレとシンクロするのヨ。 ヤメテよネ、心の声に反応するの。」
「あははは! だって、もう何年一緒にコンビ組んでると思ってるんですか、くすくす!」
「だよネ〜、お前の考えてるコト、すぐわかるモン、オレも。 欲しい人間も一緒だし?」

「「・・・・イルカ先生〜 愛してま〜すっっ!!」」

「くっ・・・・・ ブン殴ったって、避けられるだろうけど・・・・ 鬱陶しいっ!!」
「ツメ、こらえろ。 パッククン達は、全員、毎日これに耐えてるんだ。」
「せめて、その愛するイルカがいる家に、帰ってくれたらいいのに。」

「・・・・・それなんだが、奴らは影分身飛ばしているぞ、すでに。 まぁ、こっちが本体だが。」
「・・・・むかっ! 無駄にチャクラ消費してるんじゃないよ! この暗部コンビ!」

さすが黒丸、さっきあうんの門通った時に影分身出して帰らせたんだーヨ、だって心配するでショ?
実は“もうすぐ帰ります”っていう言葉は、風に乗ってイルカ先生だけに届くようにしてある。
ソレ言ってからも帰りが遅いと、さすがに先生も心配する。 だからタダイマは一番に言うの。
イルカ先生が“お帰りなさい”って、笑ってくれる笑顔が大好き。 ヤ、どんな笑顔も好きだケド!

時々、スリスリもしてくれる。 無意識なんだよネ。 抱きついた時に、こう・・・・ 頬を肩に。
んもう、今、煽んないで! って思う時に限って、スリスリしてくるんだよネ。 ナニ、あの可愛さ!
きっと今頃、オレ達の影分身がイルカ先生に“今、犬塚家にいるよー”って知らせているトコ。
フフフ、後で分身消した時に記憶がシュって、入ってくるんだケド、ソレもまた楽しみなんだよネ!


「クゥン・・・・・・。」
「お、意識がハッキリしてきたね? すまないが牙、ちょいと確認したいんだ。」
「大丈夫だ、牙に負担はかからない。 木の葉隠れの里として確認するだけだ。」

「ん〜 じゃぁ手短に。 牙、木の葉の里に、任務依頼する?」
「依頼料は犬塚家が払ってくれるから、気にしないでいいよ?」
「ウゥ・・・・・・・ ワンワン、ワン、ワンッ!」

拷問部が聞き出した情報から、牙が怪我を負った理由も、島の傭兵に追われている理由も判った。
この牙を闘犬大会の目玉にしようとしている奴に、家族が脅され、逃げるフリをしたコト。
島の所有者でもある剛の屋敷に忍び込み、家族を助け出し、一度は皆で島から脱出したコト。
小舟にのって海に出たところで傭兵に見つかり、牙を逃がした家族は皆、殺されてしまったコト。

「・・・・・牙・・・ お前・・・・。」
「なんだい、黒丸。 牙はなんて言ったんだ?」
「・・・・・牙は、もっと強くなる為の修行をつけてくれと・・・・。」

「「・・・・・・。」」

犬塚家へ情報を知らせに来た時、牙の本格治療が終わり、麻酔でウトウトしていたトコロだった。
で、ツメさんと黒丸が、依頼料は出すから牙に依頼をさせてやってくれと、オレ達に言った。
獣術使いとその忍犬をココまで親身にさせるなんて、なかなかナイよ? ホントにたいしたヤツだネ。
だけどその牙が選んだ答えは、オレ達を黙らせるモノだった。 牙は・・・・ なんと復讐を選んだ。


「牙、気持はわかるけど、復讐は何も生まない。 それはダメだヨ。」
「君を逃がした家族の気持ちを・・・・ 無駄にするという事だよ?」
「クゥーーーーン・・・・・」

「依頼人はこのアタシ、犬塚ツメだ。 いいね牙、お前は傷を治す事を考えるんだ。」
「そうだぞ牙。 お前に代わって家族の仇は討つ、その為に忍びの里があるんだ。」
「・・・・・グルル。」

復讐は、結局自分の為の行動。 やり遂げるコトで自分が救われると思い込む。 ようは自己暗示。
自分は成長すると思ってるケド、憎しみの時から永遠に進まない時間のループにハマってるダケ。
周りを見ずに、復讐だけに捕らわれる。 ソレは視界を狭め、自分の時間も止めるというコト。

黒丸の言った通りだヨ。 その為に隠れ里があって、忍びがいる。 オレ達は汚れるのは慣れっこ。
やり遂げる力があるからこそ、忍びが復讐に走ってしまったら。 それこそ里も国も巻き込んでしまう。
ウン、復讐なんてロクなコトにならない。 アイツに、サスケにも。 ソレに気付いて欲しかったヨ。