闘犬島〈とうけんじま〉の秘密 2   @BC DEF GHI JKL




んー 今日も一日頑張りました! さあヤマト、帰ってイルカ先生に甘えようネ? 今、何してるかな?
イルカ先生はネ、素直で感情表現豊かだから、感度イイんだよネーv 気持ちイイ? って聞いたら、
もう必死になって、ウンウン頷くのヨ。 涙目で、もうイカせて、って訴えかけてくるの。 ネ?

「ちょっと、お前達、ちゃんと聞いてる?! 先輩とボクとイルカ先生の、愛のメモリアルだよ?!」
「「・・・・・・・・はい、聞こえてます・・・・・。」」
「お前らにもサ、幸せになって欲しいワケよ。 どう? 今迄の人生、空しくなってきたでショ?」
「「・・・・・・・それはもう。 (なんでこの場にいるんだろうな、ぐらいには。)」」

そう、もう三人でラブラブ生活! あの一年間のオレの苦労は一体ナニ? 生きてて良かった、みたいな。
この幸せを、部下達にも分けてあげたい。 お前らも穴に突っ込むだけの人生と、早くオサラバしろよ?
思いきってネダってみるもんなんだヨ。 暗部にいて先が見えない人生でも、ホントの恋人が欲しいって!
おもろい夫婦・・・・ あ、ちがった、今はマジ夫婦だった。 そうそう、その夫婦コンビも言ってたヨ。

「“暗部だって幸せになっていい”ってネ!」
「だからお前らも、生きてるウチに強請るんだ!」
「「・・・・・・り、了解で・・・・・ すぅ?! わわわわわっ!!」」

「カカシ! 突然すまんっ! もの凄い念を感じる! ・・・・むっ! これは・・・・。」
「ん? パックン?? 呼んでないヨ、オレ。」
「さすが忍犬の頭、パックン。 自力で出てくるとは・・・。」
「感心しとる場合ではないっ! 犬塚のトコの黒丸が呼んでるっっ!!  こっちだっ!」

今日も今日とて、出戻りのオレ、降格のヤマト、ふたりして部下に、恋ってイイよ、的なモノを説いてた。
仕方ない、夫婦コンビの名言を、伝えてやるかと思ったら、巻物ホルダーから口寄せの巻物が飛び出た。
たまにあるんだけどネ、忍犬が勝手に出てくるパターン。 あんまり呼ばないでいると、主張しに出てくる。
でも今回は違うみたい。 働きたいの、任務に行きたいの、っていう主張じゃなく、黒丸? ツメさんの??

「・・・・わかった。 じゃあ、ここで解散。 報告書よろしく。」
「あ、ボクは先輩と一緒に、パックンについて行くから。 それも言っといて?」
「「は、はい! (やっと、ノロケ地獄から解放・・・・)」」

「「お疲れ!」」
「「お先に失礼しますっ!! (パックン・・・・ ありがとう、グッジョブ!)」」


黒丸は犬塚ツメさんの忍犬で、ウチの忍犬達も一目置いてる、独眼の大型犬。 犬塚家は代々獣術使い。
口寄せで呼び出したりせず、己が一部のように生涯を共にする。 どちらかが死ぬまで一緒にいるんだ。
つまり獣術は、忍犬が武器だという事。 忍びと忍犬がコンビネーションで技を繰り出す一体型の術。
獣術使いと忍犬使いは、根本的に違う。 オレの忍犬はパックンを頭とし個別行動をする、8匹で1チーム。

「黒丸だけ? ツメさんが一緒じゃないなんて、考えられないんだケド?」
「いや、ツメ殿もいる。 が・・・・ 応戦しているのは黒丸だけだ、急げっ!!」
「え?! 応戦って・・・・ くそ、また侵入して来たのか、こりない奴らだ!」
「そういうコトなら。   口寄せの術っ!! お前ら全員、先に皆で行け! 黒丸を援護しろっ!」

どこの隠れ里も、影の交代時は、必ず内部で分裂が起こる。 ウチもダンゾウ一派がコソコソ何かしてるし。
どうもきな臭い。 綱手姫の5代目就任で、里の内部がガタガタしてると思っている他里の連中・・・・。
里は綱手様を火影とし平穏を取り戻した。 なのに次々木の葉に侵入してくる、バカな他里のヤツら。
どこかで誰かが、木の葉を叩くなら今だ、とでも知らせたかのように。 いくらダンゾウでも、まさかネ?

「コソコソ【根】を再組織化してましたしね・・・・ バレてないと思ってるんですかね?」
「三代目や5代目が黙認したのは、やり方は違うケド、里の為に行動してると判断したカラ。」
「・・・・そうですよね、一応、里の為・・・・ ですよね。 なら、木の葉を売る訳ないか。」
「ウン、多分。 ソレやっちゃったら、今度こそ公開処刑だヨ、アイツら一派。」

なんてネ、オレもちょっと疑ったケド。 やり方はバカだが、ダンゾウは里の為だと思い込んでるカラ。
まあ、信用出来るかどうかは別問題。 火影になる為だったら何でもしそうなバカな男、には違いない。
5代目にオレ達暗部がついたコトで、今は時期じゃない、と思ったはず。 なら今回の交戦は・・・・?
オレ達より足の速い忍犬に先を急がせたから、今頃は黒丸の援護に回っているはずだ。

「ツメさんが黒丸と一緒に戦ってない、戦えない理由って・・・・ なんでしょうか?」
「ま、アイツらの踏んだ枝をたどって行けば、わかる。 オレ達が着く頃には、カタがついてるヨ。」
「あははは! こういう時、ブルの体重は便利ですね・・・・ 踏んだ感丸出しだし。」
「でショ? ・・・・アイツさ、あんなデカイのに、よくあのスピードで走れるよネ?」

オレの忍犬は個々には普通の忍犬だが、8匹集まれば、長所と短所を補い合う最高のチームになる。
ヤマトとオレ。 自分に欠けたモノを探していて、見つけたのがイルカ先生。 オレも一人じゃダメ。
忍びはチームワークが一番大事。 イルカ先生を手に入れたオレ達がコンビを組んだらもう、最強でショ?