どうしてそうなる? 13   @AB CDE FGH IJK




俺は暗殺戦術特殊部隊 戌部隊所属、ミカミだ。 つい先日、謎のトキメキっぽい体験をした。
暗部の俺に躊躇の欠片もなく近寄り、あまつさえマントのほつれを縫ってくれた男、同じ忍びに。
仕上げに糸を歯で噛み切った時、その男の唇に糸の残りが垂れ下がってて、とってやったんだ。
少しだけ下唇に触れたんだけど、なんともいえない唇の柔かさと高めの体温が伝わってきた。

もう一度触ってみたい、と思ってしまったんだよ。 男のクセに妙に色気がある唇だと。
そこには俺の予想もしなかった事実が隠されていたとも知らずに、勝手にトキメキかけた。
彼が躊躇しなかった事にも、どことなく色気のある唇にも。 その全部に理由があったんだ。

なんとその男、海野中忍は俺の所属する部隊の部隊長の情人だった。 それだけじゃないぞ?
猫部隊長の情人でもあった。 暗部の猫部隊は戌部隊と共に火影の両腕と呼ばれている。
その両部隊長の恋人。 隊員にフレンドリーな訳だよ、二人の情人なら色気があって当然だろ。

俺が感じたトキメキは全くの勘違い。 部隊長達の部下だからあんなに親切だったんだよな。

で、ヒロが部隊長達の情人だと知らせようとしてくれたのに、俺はまたも勘違いをしてしまった。
暗部で、情人を囲うなど考えられない人物といえば猿部隊長。 てっきりカオルさんだとばかり・・・・
さらば俺の一瞬のトキメキ、恋の予感。 そんなモヤモヤが頭にあったからかもな。 ドアホだろ?

ヒロのおかげで暴れてスッキリした俺は・・・・ あろうことか猿部隊の面々に知らせに行ったんだ。
同期で仲の良い猿部隊の奴に、カオルさんの子種抹殺ボランテアの話をよく聞かされていたからな。
めちゃめちゃ喜んでたよ、アイツら。 でもそれ自体が俺の勘違いで、ぬか喜びさせる結果になった。
まあ、タイムリーにも火影様からの保護任務の要請で、カオルさんは無関係だと知ったらしいけどな。

でもウチの部隊長達はやぱり人間が出来てる、そんなアホな事を仕出かした俺を信頼してくれた。
海野中忍の足止めを任されたんだ。 もう感無量だったよ、さすがは暗部四天王だ、って感動した。
一生ついて行きます! と心に誓った事は言うまでもない。 しかし、もの凄い殺気だったなぁ・・・・。

「お疲れさん。 カカシとテンゾウの狩りは終わったのかい?」
「あっ! 酉部隊長、猿部隊長! お疲れ様です!!  はいっ! 中でお楽しみ中です!!」
「・・・・・ふっ、噛みつき中か。」
「あはは、ええ。 木遁シェルターに防音結界が重ね掛けされていますからね。」

「無駄だと思うけど一応確認するよ? 刺客の体の一部でも持って帰って来たかい?」
「あー 残念ながら。 でも霧隠れの忍びのようでした。 魚臭かったですから、血臭が。」
「なるほど、また霧か・・・・ 性懲りもなく刺客を送り込んで来たのか。」
「もの凄かったんですよ、殺気が。 あのままだったら・・・・ 海野中忍もビビってたかも・・・・」

「だろうね。 アカデミーの先生もチビリそうだったよ、アハハハ。」
「仕方ないだろ、噛めば噛むほど美味いらしいからな。 ・・・・・ふっ。」
「そ・・・・・そうなんですか??」

そうなのか、これはビックリ情報だ。 部隊長達は遊びまくってたけど噛むなんて話、聞いた事がない。
つまり食っちゃいたいほど愛してる、って事なんだろう。 ・・・・部隊長達の絡み・・・ のわっ!!
ヤバッ!! ついあの海野中忍の柔かい唇と体温を思い出して妄想しちゃったよ、3Pをっ!!

「カオル、一ついいかい?」
「・・・・・・何だ?」
「愛=噛むは違うと言ったが、愛=スルメでもないからね?」
「そんな事は分かっている。 ・・・・・スルメは酒の肴だろ。」
「・・・・・・・アンタに何か期待したアタシが馬鹿だったよ。」
「っ!!! ぶっ!! ははは!  なんですかそれ!! あはははは!」

そう、カオルさんはこういう人だ。 むっちゃ濃い絡みを想像して、下半身が元気になりかけたけど。
一瞬にして正常値に戻ったよ、何はともあれお二人に感謝だ。 まさか半起ちでした、とは言えない。
う〜ん・・・・ 猿部隊の面々の苦労が・・・・ ちょっぴりだけど分かるな。 我が道を行き過ぎ。

でも部隊長達の情人が狙われたと聞いてすぐ動いてくれた。 お二人も超尊敬に値する人達だよ。
ネームバリューがあるのに本人達はスルー。 火の国のTVアニメのモデルにもなってるそうだ。
カッコ良すぎだろ? ウチの部隊長達って。 ぅー。 俺もガジガジ噛める恋人が欲しいぞっ!!






「迅速行動への称賛。 どうしてだか・・・・ 全然わかんないけど。 こうなっちゃったな?」
「ああ。 戌部隊長と猫部隊長さ、良い様に誤解してくれてよかったな? 刺客さまさまだよ。」
「皆に・・・・ 海野中忍を任務で保護してたと思われてるんだよね、ウチら・・・・。」

「海野中忍を部隊長の情人だと思い込んで呼び出したなんて事、言えないよな・・・・・。」
「だよな? でもまあ、部隊長の情人、ってのは本当だった訳だし。 部隊長違いでもさ?」

「けど生きた心地しなかったよ、オレ。 まさかあの生意気なガキがお二人だったなんて。」
「私達に見抜ける訳ないじゃないの、あの二人の変化よ? しかもあんな小さい・・・・」
「ミカミもめちゃめちゃ謝ってたし・・・・。 確かめずに行動したのはおれらなのに。」

「海野中忍の話って・・・・ カカシさんとテンゾウさんとの事だったのね・・・・・」
「うん。 戌部隊長さ、“保護任務の邪魔してごめんーネ”って・・・ 言ってくれたよな・・・・」
「猫部隊長も。 “カオルさんを愛してくれる人を頑張って見つけろよ”って。 励ましてくれた。」


「なあ。 おれが思うに。 このままで・・・・ いいんじゃね?」
「・・・・・・だな? ウチの部隊長も褒めてくれてたし。」
「そうそう、お前らはよくやったぞ? って。 ちょっと嬉しかった。」
「・・・・・・そうよ。 あたし達さえ黙ってれば丸く収まるのよ。」

「・・・・・・本当の事を言った方がいいと思う人、手を挙げて!」
「「「・・・・・・・・・・・・・・。」」」

「・・・・過去は振り返らない、それが私達 暗部! そうよね?」
「「「その通ーーーーーりっっ!!!」」」  




各々がポジティブ勘違いv 終わりよければすべてよし、それが木の葉の暗部なのだ!(笑)   聖