どうしてそうなる? 5   @AB CEF GHI JKL




ここは暗部の訓練所、第七演習場。 訓練所という名の山、それぞれの隊で使用場所が決まってる。
酉部隊は頂上、猿部隊は中腹、猫部隊と戌部隊は麓の半分ずつを割り当てられているんだヨ。
イルカ先生の名を最初にヒロの口から聞かされた時、ヤツらに確認に行ったんだよネ、情人事情を。

もしかしたらだけど。 オレ達がそういう事を聞きに来た、っていうのも即行動に出る要因だったかも。
ミカミからの情報でオレ達のコトを思い出したなら、チャレンジャー中忍の存在も真実を帯びてくる。
部隊長のコトをここまで思ってくれる相手はこの世に二人といない! そう結論付けても不思議じゃない。

勝手に誤解した挙句、イルカ先生がオレ達の情人だと知ったらアイツら・・・・ ヘコみまくるよネ。
可哀そうだケド、アイツらの理想の情人像は壊させてもらう。 だって元々オレ達の恋人だしっ!!
それにアイツが愛してるのは里オンリー。 カオルに誰か一人を宛がおうだなんて、絶対に無理だから!

そういう部隊長だと割り切って、種の後始末コミコミで暗部に骨を埋める覚悟でなきゃダメだーヨ。



もしもイルカ先生にカオルをメタメタ愛するような暗示をかけようものなら、ボコリまくってやるっ!
そう意気込んでテンゾウと猿軍団が陣取る山の中腹まで来た。 ・・・・・ン? アレはイルカ先生??
イルカ先生はなぜか先生スタイルで猿軍団に講義中だ。 ・・・・・もしや取越し苦労・・・ だった?
何度傷付ついてもカオルにアタックする無謀中忍・・・・ じゃなくて天使中忍にするんじゃないの??

猿部隊のヤツらが先生を呼び出してここに連れて来たコトは間違いない、アソコで質疑応答中だもん。
はい! って手を挙げた誰かの問いに答えてるっぽいイルカ先生。 森の中のミニ課外授業って感じ。
オレ達と入れ違いになっちゃった、ってコトか。 ま、カオルがいないのが唯一の救いだよネ。

「・・・・テンゾウ。 オレには先生と生徒の図に見えるんだけど気のせい??」
「・・・・いえ先輩。 気のせいじゃありませんよ。 ボクにもそう見えます。」
「イルカ先生ポジテブ洗脳計画(仮) は強行されてないみたいだーネ?」
「ですね、ちょっと安心しました。 でも何を話してるかは気になります。」

ウン。 ヤツらの真の目的を知りたい。 イルカ先生をここに連れてきて何を教えてもらってるのか。
オレとテンゾウは気配を消して猿部隊の連中に混ざり、イルカ先生の講義を聞くコトにした。
先生、何を話してるの? まさかオレ達との愛のある楽しいセックスライフ? ・・・なワケないかv

「海野中忍身は身を引いたほうがいい、とか・・・・ そういうの思った事ないですか??」
「ないと言えば嘘になりますが、今ではその・・・ 慣れて来たと言うか・・・・ えっと・・・・・」
「「「おぉおおおおーーーー。」」」

「それにもとはといえば俺が言い出した事ですし、腹は括りましたら。」
「「「うんうん・・・・ 本当にいい人だ・・・・・」」」



ン? 今では慣れた?? 先生が言い出した事で? ・・・・・ソレ、オレ達のコトじゃないの?
・・・・・これはひょっとして・・・・・ イルカ先生はマジでオレ達のラブ生活を話してた?
大人しくデカい丸太の上にお行儀よく皆で座って聞いていると思ったら・・・・・ なるほどネー。

猿軍団は嘘から始まったオレ達のラブ関係の秘訣を聞いてたのか。 参考にするつもりなのかもネ。
男泣きに泣いてたコイツらは、カオルの為に情人を仕立てるつもりだヨ、イルカ先生を真似て。
ターゲットをカオルの耳に少しずつ入れ、外堀から埋めよう作戦なんだネ? 不憫なヤツらだ・・・・

思い起こせばヒロもコバも、イルカ先生の肩を持っていた。 いい人だと一生懸命アピールして。
そこまで部下達を騙せる人物に興味がわかないワケはない。 で、実際に人となりを知ったら・・・・・
昨日もあんなに乱れてもうっv 可愛いんだもん、イルカ先生v ・・・・・はっ! 思い出すのは後!



ま、カオルにそのパターンが通用するとは、とてもじゃなけど思えないネ。 アイラブ木の葉だし。
アイツの影響をモロに受けたのが猿班補佐だったうちはイタチだ。 だった、じゃないネ、一応今も。
木の葉に謀反を企ててる! とか言って一族皆殺しを決行しちゃったもん。 イタチもアイラブ木の葉。
今じゃ立派に怪しい傭兵組織に潜入して幹部になってるって話。 イタチの蜂面は永久保存だってサ。

骨の髄まで里が命の男の代表、あのカオルが。 誰かを囲うだなんて本当にあり得ないんだよネ・・・・。
それでも部隊長の為に努力しようとするコイツらをみてたら、こっちまで目頭が熱くなってくるヨ。
・・・・絶対無理だと思うケド、百億分の一の確率でもゼロではないからネ。 ガンバレ、猿軍団。



イルカ先生洗脳計画(仮)だとか、ボコリまくるぞ! とか。 散々疑ったオレ達を許してネ?
不憫な猿軍団の後ろで座って聞いていたケド、これ以上はお邪魔みたい。 行こうか、テンゾウ。
そっと気配を殺したままこの場を去ろうとした時、樹の横に立てかけてある白い鞄が目についた。
イルカ先生が肩から斜めに下げてるアカデミー用の鞄。 その横には小さな花束も一緒においてある。

・・・・・猿部隊のヤツら先生にプレゼントしたのか。 講義料のつもりなのかな? フフフ。
女に贈るようなド派手な花束じゃなく、青いスプレーマムやつる草中心の小さな花束だ。
あれなら男でも貰ってうれしいんじゃないの? なかなかセンスあるじゃないの。 カードまで・・・・

【歓迎! 海野中忍これからも部隊長の事、よろしくお願いします! 部下一同】 ・・・・ン?
チョット待って?! コレ・・・・ まさか。 カオルと先生の出会い編だと思って聞いてたとか?!
どうしてそうなんのヨ! そんなコトあるワケないでショ?! 思わず殺してた気配が漏れちゃった。


「「?! 誰だ!! そこにいるのは何者?!」」
「「まさか、もう部隊長の情人の情報が知れ渡ってる?!」」
「「・・・・狙いは海野中忍か、させるかっ!!」」
「「海野中忍! こっちへっ!!」」

なんなの、その超完璧な守備態勢は。 イルカ先生を守るのはオレ達の役目! お前らじゃないのっ!