どうしてそうなる? 3
@AC
DEF
GHI
JKL
あの後チョッピリ焦ったケド、冷静に事態を分析してみたら恐ろしい考えで頭がイッパイになった。
猿部隊の連中にあらぬ噂が流れるのはこの際仕方がないとしても、もしカオルの耳に入れば最悪だ。
オレ達は以前、勝手に情人呼ばわりされてた時、真っ先に疑ったからネ、他里の間者かもしれないと。
だからカオルがもしその噂に興味を持っちゃったら、アイツも疑うはずだヨ、他里の草かも、って。
最初オレ達も散々疑ったから分かる。 暗部内を混乱させる為だとか、隊員達を利用する為だとか。
・・・・・カオルが右から左に聞き流してくれてればいいんだケド、先生に疑問を持ったら悲惨だヨ。
だって自分達がそう思ったからネ。 ここまで里に溶け込みすぎてる間者なら手練れだ、とかサ。
三代目も信頼してよく火影室に呼ぶほどの中忍、しかも忍者アカデミーの先生・・・・ なのネ?
偽情人情報が念頭にあるなら、まず深読みする。 そこまで手練れの間者は生かしておけないと。
考えたくない一番の懸念は、あのカオルなら、先生をよく調べもせずに殺しちゃうかも、ってコト!
猿部隊の連中の涙ぐましい忠誠心はこの際おいといて、ダークホースカオルの動向が一番怖いっ!!
マズイ。 非常にマズイ、大ピンチだヨ。 ショック受けて放心している場合じゃなかった・・・・・
ミカミの後を慌てて追ったケド後の祭り。 第七演習場の中の猿軍団ゾーンから雄叫びが響いて来た。
・・・・・・・・・仕方ない。 カオルに不信感を与える前に、説明しなきゃネ。 ハァ〜。
とにかくモノホンの情人であるオレ達がそろってなくちゃ話にならない。 テンゾウに会いに行こう。
待機所を目指して移動中のオレに、猛スピードで近づいてくる一つの気配を感じた。 テンゾウだ!
「カカシ先輩っ!! 謎の緊急事態発生ですよっ!!」
「ナイスタイミング、テンゾウ! 大ピンチだヨ!!」
「「・・・・・・・・・へ??」」
「・・・・・・・イルカ先生ポジテブ洗脳計画(仮)が進んでいるかも・・・・・」
「・・・・・・・イルカ先生が手練れ間者容疑(仮)をかけられるかも・・・・・」
「「・・・・・・・・・なぬっ?! 」」
ストップッ!! なんなの、その洗脳計画とやらは!! 猿部隊のヤツらが?? コバの仮想大演説??
・・・・・・・・・。 アー ナルホド。 コバはわざとヒロが教えちゃったと思ったのネ?
ソコは違うから。 ヒロはヒロなりにオレ達だと伝えようとしてたのヨ。 言葉足らずだったダケ。
勝手にミカミが誤解しちゃったんだよネ。 本人は暴れてスッキリしたのか、張り切っちゃってサ。
「これは朗報だ、とでも思ったんじゃない? 速攻知らせに行ったヨ、猿部隊の隊員にネ。」
「ボク達が訪ねた時・・・・ 例え間者でも嬉しいです、と泣いてましたからね、アイツら。」
「オレ達が口止めしたから、ヒロは奥歯にものが挟まったような表現しかできなかったみたい。」
「コバだってそうですよ、カオルさんも先生の情人の一人じゃないか、と思ったみたいです。」
「チョット。 どんだけ体力マックスの中忍なのヨ。 あり得ないでショ?!」
「ええ、ボクも全否定しておきました。 男に三本同時収納は不可能ですよ。」
「男に穴は二個しかないもんネーvv」
「目下、二個とも収納済みですもんv」
「「下のお口はキュッとしまって上のお口はなんとも柔らかv 先生最高っw」」
「ン? ・・・・・ヤ、喜んでる場合じゃないよネ。」
「はっ! つい・・・・ そうでした、ピンチです。」
オレ達は泣く子も黙る木の葉の暗部 四天王、長の情人情報は皆で共有してしかるべきものだった。
・・・・ヤ、今は泣く子も速攻キラキラさせるTVアニメのモデルのオレ達・・・・ らしいけどサ。
ハァ・・・・・。 イルカ先生の心と体を手に入れて肝心なコトを忘れてたヨ、口止めの解除を。
こういうの、なんて言ったけ? そうそう、足元をすくわれる、ってヤツ。 油断大敵、火の用心っ!!
「でも先輩の言うとおり、一番怖いのはカオルさんです。」
「イルカ先生の人柄とかサ、全然考慮しなさそうだよネ。」
「ボク達の様によく調べないで、作りものだと思い込んでたら?」
「間違いなくイルカ先生はカオルの狩りの対象になっちゃうヨ。」
「「それだけは阻止せねばっ!!」」
カオルは確か昨日から任務に出てたはず、まだ戻って来てない・・・・ と思いたいケド、どう思う?
全滅や殲滅任務ならアッという間に終わらせてきちゃうかも。 迅速かつ確実に、を実行するから。
敵を皆殺しにするだけじゃなく、その場にいた一般人も殺ってきちゃうんだもん、そりゃ速いよネ。
とにかくイルカ先生を連れてカオルに紹介しよう、オレ達の情人だからよろしくねv ってサ。
「先輩、同じ騒動が起こらないとも限りません、アズサさんにも・・・・」
「ウン、情人囲わない説ではアズサもカオルとどっこいどっこいだしネ。」
「ヒロとコバの誤解で、すっかり“ずっと前から囲ってた恋人”気分でしたが。」
「よく考えたらまだ恋人なりたてのホカホカ、一か月も経ってないヨ、オレ達。」
「「・・・・・・・・。」」
「イルカ先生はまだアカデミーにいるはずだよネ。」
「はい。 行きましょう。 で、紹介するんです二人に。」
「ウン、アズサとカオルには紹介しとくんだった、詰めが甘かったヨ。」
「紅さんとアスマさんを説得する方を優先しましたから仕方ないです。」
そうなのヨ。 自称 イルカ先生の姉 紅と、紅の尻に敷かれていつの間にか兄と名乗ってるアスマ。
この二人がうるさかったのなんの! でもシカトはできないでショ? 先生もなついてるしサ。
オレ達、最初が最初だったから、なるべくイルカ先生の嫌がるコトはしたくないんだよネ。
これも今迄体験したコトなかったんだけどサ、イルカ先生に泣かれると胃やら胸やらが痛いのヨ。
この前、先生と一緒にオレ達がモデルの“仮面の忍者 木の葉”を観てた時、泣いちゃったの。
誓って言うケド、クノイチの嘘泣きや売り者の商売涙なんて、何度見てもへとも思わなかったのに。
先生が悲しくて泣くと、それだけで内臓がギューッと痛くなるのヨ。 テンゾウも全く同じ謎の症状。
思い切って先生に痛い、って言ってみたんだよネ、オレ達。 そうしたら先生は笑ったんだヨ。
前にヒロ達に変化して樹の上から見た笑顔よりも、もっとずーと可愛い笑顔で。 ビックリした。
“優しいですね”って。 お腹抱えて笑ってるのに可愛いなんて、これも初めての経験だったヨ。
そりゃ嘘をついた先生は悪いケド、オレ達はソレに便乗しちゃったんだからお互い様なんだよネ。
だから今ではすっかりイチャラブの恋人達なの。 手練れの間者疑惑なんか吹き飛ばしてやるっ!