どうしてそうなる? 6
@AB
CDF
GHI
JKL
そうかそうか、カオルさんにも人並の愛を与えてやろうと思ってるんだね、それが部下の心情なのか。
ボク達もきっと部下からそう思われてたんだろうね・・・・ うん。 今、コバの気持ちがわかったよ。
・・・・なんて感動してたらどんでん返しが来た。 というか、そのまんまのストレート、直球勝負だ。
あのね、お前ら少しは疑おうよ。 ミカミ情報やボク達の行動だけで、ここまで信じ込むのか?!
・・・・いや、違うな、イルカ先生の態度も関係してる。 イルカ先生は本当に・・・ いい人なんだ!
元潜入員で三代目からの信頼も厚く、アカデミーの年少クラスを受け持ってる。 信じるに値する人物。
イルカ先生の事だ、自分達の部隊長の事でお話があります、と言われたら素直に来てくれただろう。
歓迎! これからも部隊長の事をよろしくお願いします! と言われたらイエイエこちらこそ、だ。
よければ個人的な事を質問していいですか? なんて聞いたら、俺で答えられる事ならと言うだろう。
お前らの不憫さには同情するけど、なに勝手にカオルさんバージョンに変換してるんだよっ!!
先生がちょっと照れながらもお前らに話した内容は全部、ボク達と先生の愛のメモリーなんだっ!!
イルカ先生を返せっ! ボク達の恋人なんだから余計な妄想で可能性の低い夢に縋りつくなよっ!
「「イルカ先生を返せ、猿軍団っ!!」」
「・・・・・・・・。(子供が二人??) 」
「あー どうやって入ったかはしらないけど。」
「もしかして海野中忍の??」
「・・・・海野中忍、あの・・・・ ちょっと見てもらえますか?」
猿軍団のバリケードをかき分け、イルカ先生が駆けて来た。 とたんにギュッと抱きしめられる。
ふふふ、イルカ先生はボク達の変化だとすぐに分かったみたい。 さすがに愛の力は偉大だね?
お前ら、分かったかい? これが本当の愛の力だ。 ボク達がどんな姿であっても見抜く心の目だ。
確かにお前らが夢見るような、良い人を絵で描いたような先生だけど。 もう永久売約済みだから。
「ふふ! なんですかもう、内緒の座談会だったのに・・・ くす!」
「「イルカ先生〜〜〜〜っvv」」
「せっかくですけどお開きですね、ばれちゃったし。 さ、帰りましょうか。」
「「うん!」」
「じゃぁ、皆さん。 こちらこそよろしくお願いしますね? ふふふ。」
「「「「・・・・・・・・・・・それは・・・ もう、はい。」」」」
お開き、内緒の座談会、ね。 やっぱりイルカ先生、ボク達の部下だと思ってたみたい、違うのに。
花束を鞄にしまって、先生はもう一度ボク達を両腕に抱き上げた。 ははは、子供姿に食いつきすぎっ!
猿軍団はボク達の出現もあってか、イルカ先生に笑顔で帰宅宣言されてショックを受けていた。
当然か、カオルさんじゃなくボクとカカシ先輩の恋人だったんだから。 部隊長違いだよ、残念でした!
まあ、イルカ先生にポジテブ洗脳をかけなかった、という事を考慮して今日の所は勘弁してやる。
ちゃんと誤解が解けたからね。 お前らの虚しい行動は、カオルさんには秘密にしといてやるから。
猿軍団に頼まれてホイホイついてきただろうイルカ先生にも責任はないよ、仕方がないもん。
暗部の四部隊には一種面が八つ。 それ以外はどんな生物を模して作ってもいいんだ、だから・・・・
猿班だけど猿の面を着けてる奴はもちろんいない。 誰がどの部隊の隊員なのか、区別はつかない。
実は皆、ちょっとずつ違う工夫をしてたりする。 髭の本数だとか、隈取やその配色を変えてみたり。
暗部内でも配属前の新人や正規の忍びならば、その判断材料は皆無だ。 全部同じに思えたんだろう。
イルカ先生に何度も頬ずりされながら、ボク達は第七演習場の猿軍団ゾーンを後にした。
ねえねえ、先生、そんなに気に入ったならチャイルドプレイとかしてみる? って言ったら拳骨された。
ほんのジョークのつもりだったのに。 ふふふ、ジュニアサイズなんて先生が喜ぶ訳ないもんね?
とにかく問題は一つ片付いたんだ、あとはカオルさんとアズサさんに先生を紹介するだけ!
「「・・・・解っ!!」」
「うわー 残念。 可愛らしかったのに。」
「イルカ先生、めちゃめちゃ喜んでましたもんね?」
「一発でオレ達だって判ったのは、嬉しかったヨ。」
「当然じゃないですか。 今では立派な情人だし?」
「「あはは、違いないっ!」」
「イルカ先生、このまま頂上に行って下さい。」
「頂上?? 下山するんじゃなくて?」
「ソウ。 この上に会ってほしいヤツがいるの。」
「ボク達と同じく、暗部四天の一角、アズサさんです。」
「今、新人に飛行訓練つけてるから下りてこないのヨ。」
「え!! あの天空の守護神、アズサさんに?! 嬉しいですっ!!」
「「・・・・・・・?」」
なんで先生、アズサさんの事知ってるんですか? ・・・・仮面の忍者で? ああ! あのアニメ!
そういや主人公の一人は空を飛んでたな。 そうだった、あのアニメはボク達暗部がモデルだったっけ。
里内ではボク達のグッズまで売られてるとか、火の国の町々に土産屋を出店してるとか。 妙な気分だ。
ウキウキと足取りの軽いイルカ先生と一緒にアズサさんを訪ねて紹介した。 ボク達の恋人だと。
最初は新手の冗談かと思ったらしいアズサさんも、イルカ先生と直接話して信じたようだった。
もしかしてイルカ先生は初対面でも人に信用してもらえる資質があるのかもね、善人オーラってやつ。
だからコバもヒロも、あの不憫な猿軍団達も。 先生の人柄に触れて、つい信用しちゃうんだね。
・・・・・もっとイルカ先生がずる賢かったら、もしかしたら最強の暗殺者になれたかもよ?
でもそうなるとボク達の知ってる先生じゃない。 実直で深い愛情を持つ木の葉の忍び、それが先生。
ああ、そういえば酉班の補佐 大五郎が喜んでたっけ。 イルカ先生がM属性じゃないと知って。
よし、後はカオルさんが帰還したら、イルカ先生を紹介するだけですね、先輩。 で、口止めも解除。
これでもう、ボク達のラブ生活を邪魔する輩は出ない。 ヒロもコバ達も、秘密から解放してやれますね!