歯車の潤滑油 12
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「凄い、これだけの花を一日で届けるなんて・・・・・」
「花の国はそれが出来ちゃうんですよ、俺達にとっては大助かりです!」
「品質も鮮度もいいし、イベント会社には花の国の花、これは常識なんですよ。」
「わ、いつか行ってみたいわ! 綺麗な所なんでしょうね。」
「年中たくさんの花が自生してて・・・ 素晴らしいところですよ、フフフ。」
ええ、花の国は綺麗な所ですよ。 他国に狙われまくってますが。 ほぼ火の国の属国ですし。
おかげで木の葉の里の収入源です、特に暗部の。 こうやって表で還元してたんですね?
持ちつ持たれつ、花の国の花をたくさん買ってあげる、するとやっぱり木の葉に依頼が来る、と。
こうやって宣伝もしてあげてるんだね? ふふふ、あの国が他里を頼らない訳が分かりましたよ。
「まあ、赤いカーネーションだけじゃなくて、青いのもあるの?!」
「これが・・・・・ 【永遠の幸福】の花言葉を持つスターダスト、という品種です。」
「素敵〜〜〜 そう言えば、普通の赤いのにも花言葉があるの? ご存知?」
「ええ。 だから統一しました。 赤いカーネーションの花言葉は【母の愛】です。」
「早くに父を亡くした昴王には、碧様がいつもついておられた、とお聞きしてましたから。」
「・・・・・・・。 さすがは、ラブ&ピースを信条としてらっしゃ、る・・・ す、すみません。」
「そんなに感動して頂けるなんて、オレ達ももらい泣きしそうですヨ。」
「ごめんなさい、私達、もう戻らなきゃ。 あ、お仕事頑張ってくださいね! ほら、行くわよ?」
どんな下働きの者であっても、その忠誠心は凄いですね。 きっと昴王から口止めされてるんだろう。
碧様の死を、ボク達に悟らせてはならないと。 今朝方皆を集めて、昴王が話したんだろうな。
思わず薄っすらと侍女の目に浮かび上がった涙、それぐらいなら昴王も許してくれますよ、きっと。
なら・・・・ もう解除してもいいかな。 カカシ先輩もそう思ったらしく、影分身達を消した。
影達が演じた時間が吸収される。 ・・・・・・昴王は、本当にこの国にとってなくてはならない王だ。
あらためて響様の決断に、敬服せざるを得ない。 この国を救ったのは、忠義の厚い剣士の決断だ。
それに。 こんな手の込んだ事をいつもしている、正規の上忍達にも。 ほんと、適材適所だね。
・・・・・ところでカカシ先輩、結構ノリノリで恫喝してましたね、“お黙りなさい!” って!
「どんな感じでした? 話して下さい、ふふふ。」
「「・・・・昴王に栄光あれ!! 短剣で自害!! ・・・・・・えへへ!」」
「しかし凄いなぁ。 こんなに早く完了するなんて・・・・・」
「ちゃんと先生のシナリオ通りにやりましたヨ、イイ子だもん!」
「「んーーーーーーvv」」
「はい、さすがです、カカシさん、テンゾウさん! ちゅ! ちゅ!」
「「ラブ&ピースvv」」
たくさんのカーネーションを飾りながら、目が合ったらバードキスを。 ラブ&ピース万歳!
風遁で細工した垂れ幕に、青のカーネーションがフワリと浮びあがったり、ユラユラと沈んだり。
凄く幻想的な空間。 訪れた要人の誰もが、この空間にうっとりとするだろう、この城の者も。
昴王が姿を見せるバルコニーにも風遁で細工。 赤と青のカーネーションの花弁が舞い上がる。
「熱狂した民衆に舞い落ちる花弁・・・・ か。 一枚の絵だネ、まるで。」
「やがて発表される碧様の死。 民が思い出すのは、その風景である様に。」
「昴様という王を国に与えた母君を・・・・ 民の誰もが誇りに思う訳ですね?」
「こんなお手伝いが出来て・・・・ 俺は光栄です。」
「カカシさん、テンゾウさん。 大好きです、見守ってくれてて・・・・ ありがとう。」
「オレ達も。 あの時・・・・ エロガキを拒絶してくれて・・・・ ありがとう。」
「楽しみと嬉しさと不安と・・・・ でも戻ってきてくれた。 先生、ありがとう。」
「「・・・・・イルカ先生、デコちゅーしてvv」」
「“デコちゅーなら、何度でもしてやるぞ?”・・・・ん・・ ・・・・んん・・・。」
「「先生・・・・ 大胆・・・・・ ん・・・。」」
13年前の別れ際の言葉だ、先生にはほんの一週間前の。 でもボク達は覚えてた、柔らかい唇の感触を。
忘れた事なんてなかったよ。 暗部にいて人を殺しまくっても、先生の唇の優しさを思い出せた。
でも今はイルカ先生がいる。 思い出す必要はない、欲しくなったら口に出すだけでいいんだ。
あの言葉で濃厚なキスをくれたイルカ先生。 とっても優しくて甘い先生の舌は、ボク達の大好物。