歯車の潤滑油 2
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「「えーーーー なんでぇ?!」」
「もう! そんなにハモらないで下さいっ! たった一週間じゃありませんか!」
「だって・・・・ せっかく先生が帰って来たのに・・・・。」
「先生、ひょっとしてサド? オレ達泣かせて、そんなに楽しい?!」
イルカ先生が帰ってきて五日目。 たった五日しか経ってない! 枯渇しそうでヘロヘロだったボク達。
やっと潤いが保てて復活したのにっ! イルカ先生がとんでもない事を言いだした。 任務だからなに?!
上忍5人の小隊と一緒に、剣の国に行くんだって! そんなのおかしいでしょう、上忍5人の小隊?!
それって、めちゃくちゃキナ臭い現場に行ってきます、って言ってる様なものじゃないですかっ!
しかもヤローばっかりっ!! てか、圧倒的に忍びはヤローが多いんだけど、でもっ!!
戻ったら好きなだけ抱いていい、って13年前にした約束も、やっと果たせたばっかりじゃないですか!
確かに一日中抱きしめあって溶けあったけど、あれで終わり? イルカ先生はボク達が可愛くないの?!
「・・・・・・はい、チュー印ガム。 どこにつけてもいいですよ?」
「「むぅ〜〜〜〜〜っ! イルカ先生の意地悪!」」
「ふふふ、俺は愛してます、何よりも、誰よりもv」
「「・・・・・・つけまくってやるっ! がぉ〜〜〜〜〜っっvv」」
え? どこにつけるかだって? ふっふっふっ、内緒! まずはここでしょ? それから・・・・・
ほらほら、イルカ先生、こっちにお尻向けて? 先輩、片方づつつけましょう、あとね・・・・・
・・・・・・ん〜 デコちゅー・・・・ もう一回v ふふふ・・・・・ ん〜 幸せv ん?
んん?? なんか上手に誤魔化された気が・・・・・・。 カカシ先輩、昨日・・・・ あ、嬉しそう。
そうそう、このデコちゅーもずっとなかったもん。 また充実の日々がボク達を満たすんですよねー!
先輩もツヤツヤ、ボクもツヤツヤ、イルカ先生はベタベタ・・・・ は昨日だったv えへへ。
「ちゃんとご飯食べて、健康管理をしてくださいね? じゃぁ、行ってきますから。」
「「うん! いってらっしゃ〜いvv」」
イルカ先生といると安心して、あの頃に戻ってしまうボク達。 イルカ補充で毒気を抜かれてしまう。
でもこれって大切だよね、安心する場所。 ここに絶対帰ってくるんだ、っていう気力が生まれる。
心が安らぐ場所か・・・・ 読んで字のごとく、だよね。 先生の側にいると落ち着くんだ、心が。
・・・・・・・・・・・・はっ!! ちっがーーーーーうっ!! 安らいでる場合じゃないっっ!!
こんな小さな幸せで満足してちゃ駄目だ! カカシ先輩、任務代わってもらいましょう!
その上忍5人に話をつけに行きましょう。 ボク達は、新婚旅行も兼ねて、剣の国へ行くんですよ。
ね? いいと思いません?? え、暗部はどうするんだ、ですか? 大丈夫です、アラシに任せとけば。
「そうだねぇ、アラシも補佐として頼もしくなったし・・・・ 放任してみるのもイイかもネ?」
「ですよね? ボクだってカカシ先輩にビシビシ鍛えられましたから! ね? ね?」
「てか、テンゾウ。 お前、先生の同行する小隊のメンバー知ってる?」
「・・・・・・いえ。 イルカ先生教えてくれなかったし・・・・・。」
今は里だって落ち着いてて、ボク達が何日かいなくたって全然平気ですって! 元七班は個別行動だし!
これって・・・・ この三カ月弱のご褒美ですよ、きっと。 よく頑張って耐えたな、みたいな、ね?
アラシに式飛ばそう。 ボクはしばらく留守にするから、隊員の支配は任せた、っと! これでよし!
え? ああ、ボク今、隊員達に対する恐怖の支配に凝ってるんですよ。 命名・・・・ 変ですか??
「変って言うか・・・・ 恐怖で制しちゃいかんでショ、やっぱ。」
「だって今、めちゃめちゃ平和じゃないですか。 部下が危機感なくて。」
「なるほどネ。 フフ、テンゾウもいろいろ苦労するねぇ。」
「このね、懐中電灯をこうやって・・・ 下から照らすのがポイントです。」
そう、カカシ先輩が暗部を引退する時に、これからはお前のカラーにしろ、と言ってくれた。
もちろん残すところは残す、それは当たり前。 でもボクのカラーってなんだろう、って思ったんだ。
カカシ先輩は既にネームバリューも実力もあった。 残念ながらボクにはそこまでのカリスマはない。
今まで一緒にいた連中はボクの事をよく知ってるけど、これからの新人にはインパクトが必要だし?
「アハハハ! 恐怖の支配って言うより、怪談じゃないの! フフフ。」
「最近、懐中電灯を取り出すだけで、部下がシャキッとしますから! なかなか面白いですよ?」
「ハハハ、なんだソレ、そんなの初耳!! まさか照らす係がアラシとか言わないよネ?」
「さすがカカシ先輩。 その通りです、これは補佐の役目なんです。」
「「ぶっ!! あはははは!!!」」
軽視しようものなら目にモノを見せてやる。 行動の裏に本当の恐怖があるのをちゃんと感じ取れるか。
暗部の名を汚したら、ボク達を失望させたら・・・・ ただじゃおかないよ? っていうのをね。
気付いた時に思う訳ですよ、なにこのギャップ、みたいな。 暗部ってやっぱ凄い、みたいな。
おかげでもう、ワンコの様に新人が喰いついてきます。 パブロフの犬ですよ、まさに!
「ん、テンゾウとアラシのコンビは、バッチリ新人隊員のハートをキャッチしてるワケか!」
「はい、名付けて恐怖の支配です。 一番怖いのはボク達だよ? っていう。」
「フフフ、楽しそうだネ、テンゾウ。」
「先輩があの時気付かせてくれたんですよ、“お前がオレになる必要はない”って。」
「・・・・それ実はサ、イルカ先生に後押しされたんだーヨ。 未来から来た先生に。」
そうだったんだ、イルカ先生が・・・。 やっぱりあの時、四代目夫妻の思念が言った事は本当だった。
イルカ先生ほどボク達の事を心底大切に思っている人間はいない、って。 やっと帰って来た恋人。
今のボク達からその先生を一週間も取り上げるなんて、酷すぎますよね? 仮にも里の母なんだから!
でも五代目には本当の事を話してあるし。 多少の暴挙も見て見ぬ振りしてくれますよ、きっと!