歯車の潤滑油 8   @AB CDE FHI JKL M




この空を飛ぶ乗り物は、飛空挺というらしい。 初めて乗った・・・・・。 剣の国の特許だそうだ。
これは小型で、大きい飛空挺は一度に何百人も運べるらしい。 まるで火の国の列車と同じだね。
でも空を飛べるから、こっちの方が断然便利だろうな。 まあ、ボク達にはあまり関係がないけど。
だって忍びは時空間忍術や、瞬間移動できる忍具がある。 近隣国なら足で駆けた方が速いしね。

「見て下さい、火の国があんなに小さく見えます!」
「ホントだ! 火の企画は? 会社はどこにある?」
「くすくす、もう見えませんよ、火の国があの大きさなら、ね?」
「「う〜ん 残念・・・・」」

「くすくす、今すぐ抱きしめたいけど、やめておきます。」
「「む〜ぅ、もっと残念・・・・」」
「あはははは! 可愛いなぁ、もう!」

年甲斐もなくはしゃいでしまったボク達を見て、イルカ先生はあの頃の先生の視線を飛ばす。
過去に出会った時の、あの優しい包み込むようなとろける視線。 ボク達はあの視線にヤられたんだ。
大切でたまらない、そう言ってる様な視線だった。 時々子供返りしてしまう、今のボク達にも同じ。
たまらなくなるよね、もう。 あの頃と違って、好きなだけ先生を抱ける今なら、それこそ拷問。

「「んーーーーー。」」
「あははは! 仕方ないなぁ! ちゅ! ちゅ!」
「「・・・・チューはいいの??」」
「俺がしたかったんです! ふふふv」

試しにまたもや唇を突き出してみた。 するとやっぱり軽いキスが降ってくる。 大好き、イルカ先生v
飛空挺に乗り込む時に他の要人に紹介されたから、抑えてたらしいけど、バードキスは解禁みたい。
やった! けどイベント会社の売れっ子チームなら、仲が良い恋人だとしても不思議じゃないよね?
この仲の良さが、数々のイベントを成功させているんだ、みたいな。 ボク達のウリは愛ってことで!

あれ? なんか他の人の視線が痛い。 ああ、響様と一緒で、過激なスキンシップだと思いました?
ボク達は恋人なんですよ。 この仲の良さをイベント会社に買われたんです、チームを組まないか、て。
ボク達三人のコンセプトは、ズバリ、愛です! ラブ&ピース、どの国でも愛は共通でしょう?

「さすが響様、他国の情報にもお詳しい、素晴らしい方々ですな。」
「殿下の生誕セレモニーに、愛をコンセプトのチームを呼ばれるとは。」
「私どもでは皆目見当もつきませんでした、いやはや、驚きです。」

「・・・・・・・あー そう言っていただけると、頼んだかいがあったと言うか、なんと言うか。」

「響様はオレ達の噂をわざわざ聞きつけて、火の国まで迎えに来て下さいました、損はさせませんヨ?」
「剣の国の成人の儀は15歳。 その昴殿下の生誕セレモニーは、民の誰もを夢中にさせるでしょう。」
「こんな重大な式典に携われるなんて光栄です、ボク達こそ幸せな仕事をさせてもらっています。」

ふふふ、すっかり信じ込んでくれた。 これで道中だけでなく、剣の国でもイチャコラできる!
とっさの思いつきにしては、上手い設定? ふふふ、だってボク達の誰かが絶対ボロをだしますもん。
・・・特にイルカ先生。 ね、先輩? そりゃボク達にも多少の原因はあるんでしょうけども。
圧倒的にボロを出す確率が大なのは、イルカ先生! 以前の先生なら違うけど、今のイルカ先生は。

「ほう、ラブ&ピースですか。 なるほど・・・・」
「なんだか微笑ましいお三方ですな、響殿。」
「他国の若い方は、いやはや大胆ですなぁ。」
「・・・・・・・あー そうですね。 はははは・・・・。」

「ちゅ! ちゅ! (ナイスな設定ですv) 」
「「ラブ&ピースvv (プチ新婚旅行v) 」」

ほら、ね? ボク達の忍耐の期間を必死になって埋めようとしてくれてる。 でも義務感からじゃない。
自分の持ってるモノならなんでも惜しみなく、いつでもボク達にくれる、そう行動しているだけだ。
それが分かるから、ボク達はもの凄く満たされる。 大人の事情でアッチも充実、ラブ&ピース!







「面を。 この国の王、昴だ。 遠いところを感謝する。 響の推薦なら大歓迎だ。」

「はじめまして昴王。 この度はお招きありがとうございます。」
「大陸一のイベントコーディネーターの名に恥じない仕事を致します。」
「当日までの期間、我らが城内を散策いたしますが、どうぞお許しを。」

「使えそうなモノは、なんなりと使ってくれ。 また、足りぬモノは響に言えば揃えてくれる。」
「皆様方、民の心に残る成人の儀を。 殿下の生誕祭を盛り上げて下さい。」

「「「お任せ下さい。」」」

今年この国でいうところの成人を迎えられる王、昴様。 齢15才だが確かに王、覇気が感じられる。
甲冑をつけて民の前に出れば、民衆はそのカリスマ性に圧倒され、熱狂するだろうと想像できる。
火の国の炎一族の者もそうだ。 国の主家の血筋を継ぐ者は、独特の覇気があり、人を魅了する。
若獅子王と呼ばれるこの昴様も、例外ではない。 この国の民からこの王を奪っては駄目だ。

城内散策の許可もすんなり下りた。 さっそく影分身を使って、例の地下実験室に忍び込もう。
本体のボク達は、イルカ先生と式典の準備。 実はイルカ先生は、イベントコーディネートが得意。
三代目から頼まれて、よく要人主催の式典を取り仕切っていたんだって。 だから先生だったんだ。

いくら事情を知っているからと言っても、それだけじゃ上忍5人と組むはずないもんね。 納得!
先生が表で式典を取り仕切っている間、上忍達は手分けして任務を遂行しようとしていたんだ。
でも、ボク達なら同時進行が可能。 影分身を動かして、後で統合すればすむ。 ねー 先生?
・・・・・え。 人質も兼ねて?? なにそれ!! そんなの聞いてないよ、どういう事?!

「あくまでも保険です。 ほら、火の国は介入しない、っていう担保をですね・・・・」
「ちょっと待って、なにそれ!! イルカ先生、自分から言い出したの?!」
「響様、本当に思いつめてらして。 木の葉は約束を守ります、っていうのを感じて欲しかったんです。」
「・・・・・・勘弁してヨ、先生。 ナルトの時の背中の傷だけで十分でショ?」

「・・・イルカ先生、あとでお仕置き。」
「先輩、木遁で縛っちゃいましょうか。」
「あんまり痕が残らない様にお願いしますね?」
「「それじゃ お仕置きにならないよ!」」

「それに。 里が約束を反故にする事はありません。 そうでしょう? ちゅ! ちゅ!」
「「むぅ〜〜〜〜 またそうやってはぐらかす・・・・・。」」

イルカ先生の優しいバードキスを受けながら、影分身を出した。 もう! 後で覚えててよ、イルカ先生!!