歯車の潤滑油 14
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「先生〜 デコちゅー チュ〜v」
「ボクも、デコちゅー ちゅーv」
「くすくす! ちゅv ちゅv」
「「イルカ先生、おはようvv」」
「おはようございます、ふふふふv」
あーーーーーー やっぱり馴染んだ場所で目覚めるのが一番いい。 先輩の生家、ボク達のお家。
ここには13年前からの思い出が、これでもか、ってほど詰まってる。 たった一ヶ月弱だったけど。
ボク達を変えた思い出が。 この部屋に先生が泊ったんだな、とか。 ここで食事したな、とか。
部隊長に説教してたな、先生の膝で泣いたな、三人で枕を抱えて話をしたな・・・・・ とか。
ここに帰ってくる度、先生の思い出に浸った。 カカシ先輩との会話はイルカ先生の事ばかり。
イルカが任務でドジをする度に、あれがどうやったらイルカ先生になるの? って大笑いして。
とっても活動的でやんちゃなボク達のイルカは、たくさん話題を提供してくれて淋しくなかったよ。
イルカ先生が剣の国で“見せてあげたい心を”って言った。 ボク達もね、見せてあげたい。
どんなに嬉しかったか。 イルカが突然のボク達の告白を信じて、恋人になってくれた事も。
今、どんなに幸せかも。 イルカ先生がボク達を誇りに思ってくれるなら、誇れる生き方をしなきゃ。
昴王も言ってたね、そう思われているなら尚更に、って。 こうやって・・・・ 歯車は磨かれるんだね。
「これ【白の恋人達】というお菓子だそうです、どうぞ。」
「・・・・・ど、どうも・・・・。 えっと・・・ 頂けるので?? ( 暗部から?! ) 」
「剣の国の“ぱてしえ”という人が、わざわざ作ってくれたらしいです。 おれ達も貰いました。」
「あ! カカシさん達の任務の! そ、それはどうも・・・ ご丁寧に・・・・・。」
「では。」
「・・・・・・・仮病のお礼なのか? なんだかなぁ・・・・ うわっ!!」
「度々すみません。 今後、イルカ先生同行の国外任務は辞退して下さい、おれ達が当たられるんで。」
「わ、わかりました、そうします・・・・。」
「では。 触らぬ神に祟りなし!」
「・・・・・・・た、祟りなし!」
「・・・・新婚任務とか言ってたしなぁ。 あの三人って・・・・ どわっ!」
「再三失礼します。 今後、そういう情報があればおれに流して下さい、部隊長をなだめる餌なんで。」
「これは・・・・ 暗部用の・・・ 式??」
「では。 キジも鳴かずば撃たれまい!」
「・・・・・・う、撃たれまい! ( マジでか?! ) 」
「テンゾウ、暗部から二〜三人を選れ。 あたしと一緒に剣の国に行く。」
「アラシを行かせます。 喜びますよ、あのお菓子、そうとう気に入ったみたいですから。」
「ほう、アラシはそこまで頼もしくなったか。 補佐なら一人でいい、あたしと護衛任務だ。」
「了解です。 アラシに式を飛ばしますね。」
遠い剣の国の元皇后の葬儀に、ウチの国主が招かれた。 これを期に友好条約を結んでくるらしい。
火の国と信頼関係を深めたい、と新王直筆の書簡を預かった剣士が、使者として謁見したそうだ。
国葬には交流のある王や国主が国賓として招かれる。 お抱えの隠れ里の影も護衛がてらの列席だ。
元皇后は自ら病に倒れるまで、奇病解明の為の研究に尽力した・・・・ その悲報に民は嘆いたらしい。
「あの国の技術力は目を見張るものがある。 良い仕事をして来たな、お前達。」
「信用される隠れ里は、一朝一夕では築けません。 歴代火影のおかげですよ。」
「・・・・・だが影だけでは何も出来ん。 お前達の誰もが、国の血肉だ。 あたしもな。」
「ソコで部品と言わないアタリが、さすが木の葉の忍びの母ですネー 綱手様。」
「カカシか。 暗部を引退したら、火影室に入ってくる時はノックをしろ、と言っただろう!」
「ま、元部隊長特権・・・・ ってコトで!」
「お前達がそろったらロクな事がない。 ・・・・・何だい、言ってみな?」
待ってました、カカシ先輩! この際だからハッキリさせておきましょうね、イルカ先生の事。
五代目、せっかく若作りしてるんだから、年に似合わない美しい眉間にシワ作っちゃ駄目ですよ?
そんなトコだけ年相応だから、ナルトにいつまでたっても“ばあちゃん”呼ばわりされるんです。
「やかましいっ! さっさとお言いっ!!」
「「本人が立候補しても、人質なんて認めません。」」
「・・・・・・・イルカか。 あれは難儀な性格だな?」
「「あれがなければ、生きていけません。」」
「・・・・・・分かった。 カカ坊、テン坊。 イイ男になったな? あたしのダンには遥かに劣るが。」
「「!! な・・・・・!!」」
「あはははは! してやったり! ダテに年は喰ってないぞ?」
「「お願いっ!! その呼び方、イルカ先生には内緒にしてっ!」」
「これが噂の甘えん坊か! あははは! ・・・・ふ! 里の忍びは皆あたしの子だ。 任せろ。」
もう! そんな昔の呼び方、イルカ先生だって知らないのにっ!! なんでそんなの覚えてるんだ!
噂の甘えん坊?! なに、イルカ先生、五代目に何か言ったの?! 甘えるのは先生にだけ、なんです!
くそ、この怪力巨乳若作り婆! 大好きです綱手様、ボク達のイルカ先生の、う〜んと後ぐらいにね!
昔を知っている人の前では、つい、その頃に戻ってしまいますよね。(笑) 例え暗部の黄金コンビでも、です! 聖