歯車の潤滑油 4   @AB DEF GHI JKL M




「あれ? カカシさん、テンゾウさん、どうしたんですか? お見送り??」
「フフフ、メンバーの変更デース。 オレ達になったの、上忍5人の代わりに。」
「皆、急に都合が悪くなったとかで、綱手様が気を利かせてくれたみたいです。」
「わ! 嬉しいです! 途中の町で色々準備しましょうね? 楽しみだなぁ!」

「あはは! なんだか新婚旅行みたいですよねv」
「「ねーvv」」

ふふ、イルカ先生もそう思いますか? これでやっと、先生がいなくなるっていう不安から解放された。
どんなに蜜月を過ごしても、先生が突然この時代からいなくなってしまうのは、覚悟していたから。
あの絶望の三カ月と一週間を思い出せば、どんな事も乗り越えられる気がするけど、ちょっと疑ったり。
先生が戻ってきて5日。 安心して熟睡できるけど、それも実は夢なんじゃないの? とかね。

「「剣の国Aランク任務、行ってらっしゃい!」」
「「「じゃぁ! 行ってきまーす!」」」

カカシ先輩とボクは、誰もが認める錆びない部品になった。 どうしても潤滑油のイルカ先生が必要。
ボク達は木の葉隠れの里という大きなカラクリの部品。 どんな精密な機械でも、精巧な作りの部品でも、
錆びてしまったら使いモノにならないでしょう? イルカ先生がいるボク達は、稀に見る錆びない部品。
だからね、ボク達からイルカ先生を取り上げるなんて、木の葉隠れは絶対しちゃいけない事なんだよ。





「・・・・・へー。 急に都合が悪くなったんだ? 全員。」
「・・・・・綱手様も公認なのか。 だったらお咎めなしだな。」
「暗部の常識が・・・・ ついに表にも出たか。」
「これで部隊長が引退したら、どうなると思う?」
「「間違いなく、里の常識になるだろうな。」」








・・・・・・ストップ。 今なんて言ったの、先生。 町で依頼人と合流する?! なんで?!
ラブラブ暗殺新婚旅行は?! せっかくお邪魔ムシを排除してきたのに、道中三人じゃないなんて!
・・・・え? 火の企画?! そりゃ、イベントコーディネーターだって聞きましたけど・・・・。
依頼人に護衛してもらいながら?! 逆でしょ、逆! どう考えても。 は? 剣の達人?! へーー。

「響様が、俺達“火の企画”を護衛しつつ、自国に案内する役目なんですよ、仕方ありません。」
「「めんどくさーーーーいっ!!」」
「昴殿下の為に、響様が直々に依頼された・・・・ って形で、入国します。」
「「・・・・・・そんなに大物を狩るの??」」

「はい。 昴殿下の母君を。 なんともやるせない話です。」
「「・・・・・・。」」
「元皇后の・・・・ 威厳を保ったまま誰にも悟らせず、が条件です。」
「「・・・・・了解、任せて?」」

イルカ先生が受付たらしい。 事情が事情だから、依頼を受け付けた先生と、上忍4〜5人で、と。
イベント企画の優秀なチームに扮する、ということは伝えてあったが、詳細は伝えてなかったそうだ。
町に着いて、依頼人と顔合わせしてから、全てを打ち合わせしよう、という事になっていたらしい。

剣の国といったら、独特の騎士道を重んじるお堅い国・・・・・ っていうイメージがあるけど。
どうなんだろう? え? その通り?? その依頼人は、まさにそんな感じなの?? へーーー。
・・・・・ちょっと、イルカ先生。 そんな可愛らしいお目目をキラキラさせて、話さないで下さいよ。
ボク達、ただでさえ三人じゃないと分かってガッカリしてるんですから。 ムクレちゃいますよ?!

「んーーーー。 ちゅ! ちゅ!」
「「!!!!」」
「もう!! 何でそんなにカッコ可愛いんですかっ!」
「「・・・・・。 (手の甲にキターーーーーvv)」」

三人で仲良く手を繋いで、道々にイルカ先生から任務の詳細を聞かされてた。 先生がやたら褒めるから。
つい拗ねたフリをしてみたら・・・・。 繋いでた手を持ちあげて、ちゅ、ちゅ、って。 どうなの、これ。
イルカ先生、戻ってきてから、ますますボク達の事甘やかしてない?? いや、めちゃめちゃ幸せだけど!
幸せすぎて、ふにゃーってなって、なんか上手に話をそらされてる様な気が、しないでもないんだけど。

「「どうせならココにしてvv」」
「はい、んーーーーー。  ちゅ! ちゅ!」
「「えへへ、幸せvv」」
「気分はプチ新婚旅行ですねv」
「「うん!」」

ためしに唇を突き出してみた。 ちゃんと唇にもキスをくれた。 ああ、やっぱり甘いや、前よりも。
家の中ではベッタリ愛情を注いでくれた先生。 でも外では今まで、こんな事してくれなかったもん。
イルカ先生はイルカ先生で、ボク達の忍耐期間をなんとか埋め合わせしてしてくれようとしてるんだね。
ふふふ。 大好き、イルカ先生。 先生が一緒だと、暗殺任務がこんなに楽しいよ、おかしいね。