古今東西のセオリー 2
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今回の俺の任務は、後方支援。 その中で、給仕担当だ。 へへ、これにはちょっと自信がある。
なんとあの小助さんにレクチャーしてもらったから。 木の葉史上最高齢の下忍で、伝説級の料理忍。
下忍の時スリーマンセル皆で、木の葉食堂へお手伝いに行った。 その時に、俺、料理にハマったんだ。
で、どうせ料理を教わるなら、木の葉で一番の料理忍にレクチャーしてもらおう、って思って家を訪ねた。
それがキッカケ。 プチ師匠の小助さんとまではいかないけど、俺もソコソコの腕前なんだ、実は。
同じ食べるにしても美味いモンを食いたい。 好きな事をして更に人に喜んでもらえるなんて一石二鳥。
食いモノは体を作る源。 俺にとって料理とは、趣味と実益を兼ねているモノなんだ、苦にならない。
食堂や旅館からの給仕係の依頼でも、結構重宝がられて指名されたり。 料理を習ってから良い事づくし。
たったこれだけの事でも・・・・ 火の国や里に住む人達が喜んでくれる、っていうのは嬉しい。
だからそれが木の葉の同胞なら、より嬉しくなる。 だって、さっきも言ったけど体を作るモノなんだ。
戦忍達の体力維持の為に直接役立ってる、って思うと・・・・ それだけで嬉しいモンだろう?
間接的にだけど、俺も戦いに参加してるような気になれる。 例えお玉で鍋をかき混ぜてるだけでも!
“美味かった! 生きてる実感が湧くよ”なんて言ってもらうとね、もうめちゃくちゃ嬉しい。
それに、皆が食べ物を安心して口にしてくれるって事は、俺自身が信用されているって事だから。
「お、海野中忍が方向支援組?! やった! おれ、俺流和風ジューシーから揚げリクエスト!」
「うーん、俺はやっぱ揚げパンかな? イルカ、俺、ほんのり甘いのが良い!!」
「何よ、揚げモノばっかじゃないの! イルカちゃん、ナスの煮物もよろしくね?」
「喜んで! 俺のレパートリーの食材は、ちゃんと封印の巻物に入れて持って来てますから!」
「「「おおーーーー!!」」」
なんとなく、現場の活性化に役立ったり。 やっぱり食べるって言う行為は、生への執着にも繋がると思う。
ああ、またこれ食べたい、って思ったら死んでも死にきれないだろう? ちょっとした事だけどね。
そんな事が、しぶとく生き残る為のわずかな楽しみでも、何もないよりは良いと思うんだ、俺。
あ・・・・・ カジキ隊長だ! カジキ隊長〜!! またご一緒させて頂きます!! お待たせしました!
今回の交戦部隊の隊長はカジキ隊長。 カジキ上忍は愛妻家で・・・ とっても人間味のある忍び。
あと・・・・ 意外に計略が得意な頭脳派の上忍。 こういう長引く戦場を任される事が多い人なんだ。
長引いている戦場と言えば・・・・・ また暗部の連中が動くのかな。 暗部投入、これも長期戦で多いんだよね。
「お! ミニ料理忍 海野中忍か! これは楽しみが増えたな、ははは!」
「・・・・・・・今回も、暗部の投入の予定があるんですか?」
「ん? ああ。 お前達の後方支援部隊を護衛しながら来たぞ?」
「・・・・・・え。 そ、そうなんですか、護衛がてら・・・・。」
知らなかった・・・・。 まあ、俺は給仕担当だ、って言われただけだし・・・・。 ・・・・・・なんか。
考え方や戦い方はどうであれ、木の葉の忍びの影として・・・ 動いているんだよなやっぱり。 護衛、か。
全然気付かなかった。 そんなの当たり前だけど。 中忍が暗部の気配を感じ取れる訳ないし。
はぁ。 皆を元気にしょうと張りきって食材を持って来たけど。 あんまり出番はなさそうだな・・・・。
「おい、お前。 おれ達には配給しなくていいぞ。 おれ達は自分で用意するから。」
「!! はい、分かりました。」
「お前らは俺らを快く思ってないらしいからな。 何を盛られるか分かったもんじゃない。」
「?! ふ・・・・ ふざけんなっ!! そんなのこっちから願い下げだっっ!!」
「お、おい! 海野っっ!! すみません、前線に出て気持ちが高ぶってるんですよ・・・」
「「・・・・カジキ上忍、隊長の責任において部下は躾けておけ。」」
「はい、すみませんでした。 海野にはキツク言っておきます。」
「・・・・・・・・・。」
やってしまった・・・・・。 今迄のイライラが溜まって、ついに。 こんなんじゃカジキ上忍の立場が。
俺って、どうしてこう・・・。 このままじゃギクシャクしちゃうだろ、駄目だ。 謝ろう、すぐに!
すみませんでした! 支援部隊を警護して下さってたのに感謝もせずに。 ありがとうございました!
もし、気が向いたら、いつでも言って下さい。 お好きな食材を持って来て下さって結構です!
「気が高ぶってる、とういのは本当らしいな。 給仕係じゃ無理もない。」
「カジキ上忍、部下の管理は徹底してくれよ。 俺達の邪魔だけはするな。」
「・・・・・・はい。」
「・・・・・・・。」
なんだ、あの態度。 給仕も立派な後方支援だろ?! 三代目はそう言ってくれたぞ、小助さんだって。
・・・・・今迄暗部と直接話した事はなかったけど。 直接話したら尚更に、ムカつき度が増した。
こんなに悔しいのは、やっぱりまだ心のどこかで・・・・ 両親に聞かされていた暗部像を期待してたからだ。
カジキ隊長にも謝った。 立場を考えず発言してすみません、って。 カジキ隊長は怒ってなかったけど。
むしろ、“お前、根性あんな? まあ、でもあんまり目立つなよ 庇いきれないから”と心配をかけた。
・・・・・どっちにしても、前線部隊を預かる隊長に心配かけちゃ、中忍としてだめだろう、俺。
「ヤッホー。 気が向いたから食べに来ちゃった! オレ達の分、まだある?」
「ボク達、まだ見習いなんです。 あの、先輩方には内緒でお願いしますね?」
「・・・・・・・・・・へ?! あ・・・・暗部?! ・・・・の見習い??」
「オー 美味そう!!」
「食べていいですか?」
「ど・・・・ どうぞ!! はいっ!!」
吃驚した・・・・・ まだあるも何も・・・・ 今出来上がった所だ。 何気に一番乗りですよ。
暗部の見習いという二人が、俺の用意してた料理をつまんでるよ・・・・・ もの凄いカルチャーショックだ。
あ、美味しいですか。 ・・・・・それはどうもご丁寧に・・・・ ありがとうございます・・・・・。