心にいつも太陽を 3
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病の床にある国主は跡目を決めかねていた。 任務依頼は安曇野の国のその国主、本人から。
それぞれ母親が違う四人の息子。 本来なら、長男を跡目に指名すればそれですむ話だが。
長男は病弱な上、気が弱く、とても国を任せられない、と冷静に分析した結果の決断らしい。
安曇野の国と火の国は昔から交友関係にある。 ぜひ木の葉に一役かってもらいたい、となった。
「んでオレ達は、その内乱を収めに行けばイイんですネ? 隠れ里も絡んでるっていう・・・・。」
「うむ。 次男と三男の首を取って、病の床にある現国主と時期国主に差し出せば解決じゃ。」
「・・・・しかし四男を跡目に指名したのにも関わらず、なんで内乱にまで発展したんですか?」
「・・・・・・・・馬鹿な話じゃよ、高級娼夫の取り合いじゃ。」
確かにそんな理由じゃ、正規の上忍なら相手にしないかもネ。 なんでそんなバカ共の為に、ってサ。
ウチの里の上忍は、結構プライドが高いヤツが多い。 自分の命を懸けるなら、みたいな所がある。
暗部はなにも、超危険な任務ばかりを振られる訳じゃない。 こういった汚れ仕事・・・・って言うの?
とにかく他の上忍が受けたがらないようなモンも、回ってくるんだよネ。 早い話しが掃除屋。
「ふ〜ん、国主は娼夫をそれぞれの息子に近づけて、器量を測ったんだ? 跡継ぎとしての。」
「なるほど。 色に、それも男に溺れるようでは国は任せられないと、そういうコトですか。」
「まぁ、そういう事じゃ。 嘆かわしいが、次男と三男は跡目云々より、娼夫にハマりおった。」
その国主は自らの策に溺れ、内乱まで招いた。 そういうコトか。 頭いいんだか悪いんだかナゾ。
まあ・・・・ そこまでのバカ共が、時期国主にならずにすんで良かった、と思うべきか。
その、四男だっけ? 一人でもまともなヤツがいて、国主もきっと安心しただろうネ。
でもサ、全員がハマったらどうする気だったんだろう・・・・ そんなイイ具合の娼夫なのか?
「んジャ、ソレも狩りますか。 残しておいたらジャマでショ?」
「いや、次男と三男の首、それぞれが雇っておる隠れ里の忍び共、それらの殲滅だけで良い。」
「その娼夫は保護・・・・ か。 なんか理由がありそうですね?」
「ふむ・・・ そ奴は火の国の要人を顧客に持っておる。 木の葉が狩る訳にはいかん。」
なんだかナァ・・・・ ようは、ソイツの保護が一番みたいじゃないの。 あー ヤダヤダ。
高額のデリヘルだなんて、女・男のどっちでも同じ、抜け出せなくなる。 絶対に関わるもんじゃない。
しかも要人を顧客に持ってるんだ? 口が堅いと言っているようなモンだネ、モノが良くて口が堅い。
そんなヤツはサ、遊びを心得てるお偉いさん方が離すはずがない。 ハマるに決まってるでショ。
「あー ・・・・・ その顧客から、救出依頼も来てるんデスか。」
「まぁ、そういう事じゃよ。」
「・・・・他の上忍が受けたがらない訳ですよね、それじゃ。」
「先に潜らせておるんじゃが・・・・ すまんな、掃除してきてくれ。」
「「了解。」」
まったくネ。 もし手を出してバレたら、それこそ里の信用問題だ、タダ乗りなんて以ての外。
上忍なら、それも想定したんだろう。 味見したくなるかも・・・・ ってネ? 自信ない時は下りる。
ソレでイイと、オレも思うヨ。 その為にオレ達がいるんだし? そんなのに左右されないから。
それに。 オレ達は、超女体好き! あの柔らかい手触りがイイのヨ、ヌルヌルのアソコも大好き!
「でも。 ま、気にはなるよネ。 どんな面してるんだろう、て。」
「娼夫なんだから、きっともの凄い上手なんじゃないですか?」
「えーーー?! 《イカせてあげる》のコマキちゃんより??」
「あはは、どうですかね? コマキちゃん、上手いからなー。」
勝手なコト言いながら向かった先で見たモノ。 そこには生唾を飲むほど色気のある男がいた。
黒の薄着の襟ぐりを着崩し、窓のサンに腰かけ、片膝を立てて座っていた。 アイツが羽多宵か。
顔に傷、タッパもありそうだ。 立て膝の内側から、チラリと仔猫が顔を覗かせている。
艶のある黒髪を掻き上げながら、自分の膝によじ登って来た仔猫を撫でて、フワリと微笑んだ。
「何となく、ほっとけない・・・・ そんな感じだネ。 アレ。」
「・・・・・・ボクは女好きです。 残念ながら触手は動きませんから。」
「いや、オレも。 ただ、アレで口が堅いなら、お偉いさんが囲うだろうな、って思った。」
「そうですよね。 なんでフリーなんでしょうか? まあ、どうでもいいコトなんですが。」