心にいつも太陽を 8   @AB CDE FHI JKL M




アレから一ヶ月。 やっと里に連絡が来た。 今日の夜9時に、羽多宵が部屋に来るそうだ。
ラッキー、今日は先輩もボクも休息日! 配達忍から電報を受け取った時、柄にもなく舞い上がった。
あ、先輩だ! カカシ先輩の所にも電報が来たんですか、さすが火の国一の老舗ホテル、きちんとしてる。
初めて精通した時のように、ムズムズと首筋が痒くなり、腰のトコがブルブルする、そんな感じだ。

「先輩にも連絡が来たんですね! あははは、なんか緊張しますね。」
「仕方ないじゃない、男なんて初めてなんだから・・・・。」
「え、先輩もですか?! てっきりボクだけだと思ってました・・・・。」
「はは、今まで試そうなんて思わなかったし、そんな必要なかったしサ。」

確かにそう言われてみたらそうですよね、頭なんて下げてお願いしなくても、向こうからお願いされる。
逆に、お金払うから、なんてのも結構あったし。 タダでいいから、とかもあったけど、それはタブー。
金銭取引は必要不可欠、タダより怖いモノはない。 ギブ&テイクが後腐れなくて一番イイに決まってる。
先輩もボクも、女に・・・・・ていうか、処理の相手に困った事なんて一度もなかったから。

「一ヶ月か・・・・ コレって早いの遅いのか、わかんないネ。」
「あのキングスイート、ずっと押さえておいて正解でしたね。」
「ウン。 ・・・・・取り合えず、精のつくモン食べに行く?」
「ですね、今から“焼肉Q”に行って腹ごしらえと行きますか。」

ユッケ・レバ刺しから始まって、上ミノ・タン塩・骨付きカルビ。 〆はテールコムタンにご飯を入れる。
昼間っから、そんなに精つけてどうすんの的なメニューだ。 先輩とボクは今晩の為に、今から体力作り。
相手は高級娼夫。 きっと、3pや4pなんかは、フツーに経験あるんだろうな・・・・・。
いてもたってもいられず、焼肉食べたら即、王国ホテルに向かう事にした。 先に待っていよう、って。

「なあ、花とか・・・・ 注文しといたほうがイイのかな・・・・ どう思う?」
「どうですかね、男だし。 でも、あの時の黒の着物、襟に水仙の刺繍がありましたよね。」
「ああ。 あの襟をずらすと、二本の水仙が肩にくるようにしてあるんだ、特注だろうネ。」
「水仙か・・・・ 匂いもイイですし・・・・ そうですね、頼みましょう。」







まだ夕方の5時だ。 ホテルのフロントに大枚を掴ませ、水仙を部屋にあしらうように頼んだ。
今はオープンカフェで内装待ち。 てんでわからないボク達が何かするより、プロに任せた方が無難だ。
!! まさか!! アスマさん?!  なんでこんなところに?! 待てよ、任務かもしれない・・・・。
でもアスマさんは確か火の寺にいるはず。 あ、でもここは里より、火の寺の方が近いか。

「なんでアスマ?! ・・・・・まあイイか。 アイツだって私生活があるんだし?」
「任務、ですかね、気配を消してますよ。 まあ、ボク達には意味ありませんけど。」
「・・・・・これから羽多宵が来るのに、イヤ、まだ来ないケド。 騒ぎはゴメンだネ。」
「・・・・あんまり派手に動くなと、頼んでみますか? めんどくさがると思いますが。」

そうですよ。 老舗ホテルで事故死なんか起こされた日にゃ、大騒ぎになるに決まってる。
もし羽多宵が来る時間に此処がバタバタしていたら? ホテル側に気をつかって、帰ってしまったら?
アスマさんが動くなら、暗殺か何かだ。 拉致して外で殺してもらおう。 まだ時間はたっぷりある。
カカシ先輩とボクは、慎重に気配を殺し、階段の横壁を駆け登って行くアスマさんを追った。


アスマさんがある階で足を止める。 いきなりクナイが飛んで来た。 あ、やっぱり気付いてたんですね?
でもこの階は勘弁して下さい、ボク達がキープしてある部屋があるんだから。 穴開けないで下さいよ!
アスマさん、驚いてる! そりゃそうか、まさかボク達がここにいるなんて、思いもしなかっただろう。

「カカシ、テンゾウ! 何やってんだ・・・・ って、なんだそりゃ。 スーツなんか来やがって。」
「オレ達のコトはどうでもイイの! あのさアスマ、任務なんだよネ?」
「これからここで人と会うんですよ。 外で暗殺してもらえませんか?」
「あ? まあ、どっちでもいいけどよ。 めんどくせーな、おい。」

さすがですアスマさん! 口ではいつも、めんどくさいと言うけれど、ちゃーんと対応してくれる。
やっぱり暗殺任務だったんですね。 ・・・・・・あれ?? なんで待機してるんですか??
え? この階にターゲットが?! ソイツが来るまで待つんですか? ・・・・冗談じゃないですよっ!
鉢合わせしたらどうするんですかっ! 不幸にも拉致を目撃したら、羽多宵を殺さなければならない!