心にいつも太陽を 7
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あー、やっぱりネ。 オレですら興味を持ったんだから、テンゾウもそうじゃないかな、と思ったヨ。
取り合えず、ヘンな陰間を抱くよりあの羽多宵なら安心だ、みたいな。 三代目が押す高級娼夫だしネ。
で、カウンターのおばちゃんに聞いてみたら紙と鉛筆が出てきた。 なんなのコレ。 なめてんの?!
連絡先を書けと渡された鉛筆には術が施されている。 きっとこの紙に書くと発動するんだろう。
「・・・・・・ふ〜ん。 ねえ、ちょっと、そこのヒト。」
「あ? なんだ?? お前らどこから・・・・・。」
「スミマセンが、コレに丸印を付けてもらえませんか?」
「は?? あ、ああ、 イイケドよ、なんのマジナイだ??」
「「・・・・・・。」」
隣にいた男に、その紙と鉛筆を渡し、使わせた。 男は、突然人が現れたように感じたんだろう。
忍びかもと思い至ったのか、素直に言うコトを聞いてくれた。 当たりだヨ? 案の定、術が発動する。
男は、あれ? 何しに来たんだっけ?? と呟いて帰って行った。 ・・・・・はは、忘却術だーネ。
しかも最近、身に覚えのあるチャクラを感じる・・・・・。 なあ、テンゾウ。 これアレだよな?
「緒方上忍ですか・・・・。 あのヒト、こんなアフターサービスまでしてたんですね・・・・。」
「火影様に頼まれたんだろうネ。 用意周到な人だから。」
「「・・・・・あれ? 何しに来たんだっけ??」」
「お帰りはどうぞこちらから、またのおこしを。」
一応男をマネて、術にかかったふりで様子を見た。 おばちゃんはオレ達を丁寧に見送ってくれる。
“羽多宵”を訪ねて来る者には記入してもらって、と専用の紙と鉛筆を預かっているだけだろう。
深い事情は知らされてないみたい。 記入後は丁寧に裏口から見送ってあげてと、言われてる感じだ。
んー、徹底してる・・・・ コレじゃ、噂を聞いて試したいなんてヤツは、絶対羽多宵には会えない。
「・・・・・手詰まりだネ・・・・ 三代目に口利き頼んでみる?」
「三代目は、ボク達に羽多宵を抱かせてくれるでしょうか・・・・。」
「ダメかな。 自分の手足の暗部のオレ達に、あんな危ないモノ近づけたくないだろーネ。」
「忍びの三禁か・・・・ 金・酒・色の本気は御法度。 遊べないなら遊ぶな、ですから。」
そう、べつに羽多宵じゃなくても陰間を試すだけなら、茶屋に行けばそれでイイ。 でもどうせ抱くなら。
あの凛とした態度の男を乱してみたい。 垣間見えた清楚な色気は、どう変貌してくれるのか。
男なんてパス、って思ってたケド。 認めざるを得ないんだ。 出来るなら、羽多宵を抱いてみたいと。
ハマって抜けだせなくなるかも、って思っても。 待つのは己の破滅かもしれないと、判っていても。
「なあ、テンゾウ。 オレ確信があるんだヨ。」
「カカシ先輩、奇遇ですね。 ボクもです。」
「アレを抱いたら、ハマると思う。」
「全部つぎ込んじゃいそうですよね。」
「「暗部の世代交代の危機だ・・・・・。」」
こんな話、三代目に出来ない。 火の国の要人を顧客に持つという高級娼夫に、熱をあげてるなんて。
火影直属の暗殺戦術特殊部隊の、それも部隊長と補佐がそろって。 まだ抱いてもいないのに、コレだ。
セックスは楽しんで遊びながら生を感じるモノ。 なのに、そっちが生活の主になったら身の破滅だ。
売りモノに入れあげて、身を滅ぼした部下や上忍を何度も見てきた。 バカなヤツだと見下しながら。
「怖いな・・・・。 どっちかだヨ、テンゾウ。 見つけ出して殺すか。」
「はい。 わかってます。 でも三代目の顔に泥を塗る訳にはいきません。」
「・・・オレ達は暗部だ、先だって知れてる・・・・ 仕方ない、滅ぶか?」
「お供します、部隊長。 どっちが先に死んでも、道ずれは禁止ですからね?」
ダネ。 木の葉にはどんどんイイ芽が出てる。 オレ達が身を滅ぼす頃には、いい後輩が育ってるヨ。
残りの人生、色狂いになってもオモシロイかもネ。 わかった。 死ぬ時はひとりで死ぬと誓うヨ。
お前も誓えヨ? よし、誓約交換だ。 きっと凄い執念で、生き残って帰ってくると思うケドね。
「ははは、んじゃ、囲うか。 オレ達ふたりで。 オレ達の財産なら、あと5年は持つよネ?」
「いいですね、全財産つぎ込んじゃいますか。 どうせ金の使い道なんてしれてますから。」
「そうと決まれば。 ・・・・・さっきの娼館のおばちゃんにさ、連絡先を別の紙で渡してみる?」
「高級娼夫を呼ぶわけですから・・・・ 一流ホテルの部屋を指定しないと、駄目ですよね。」
火の国にある、要人ご用達の老舗ホテルのキングダブルを予約。 ホテルの名刺の裏側に部屋番号を。
若い時はきっと美人さんだったろう娼館のおばちゃんに、名刺を届けた。 もちろん一般人を使って。
羽多宵からホテルに連絡がきたら、木の葉隠れのオレかテンゾウ宛てに、電報を打ってくれと頼んだ。
その間、王国ホテルのキングスイートはずっと押さえておく。 羽多宵がいつ来てもイイように。