くノ一の男 14
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「部隊長、補佐! 煌々の里・木の葉隠れの里、両里暗部合同 報復殲滅任務、完了です!」
「ガッツリ暴れてきましたよ! あんまりはしゃぎ過ぎて、そのままのノリで何人か花街に・・・・」
「あ、でも火影室にはちゃんとアラシが報告に行ってます!」
「アハハ、お疲れ! フフ、迅速かつ確実に。 いつもながら優秀、優秀!」
「お帰り、皆、お疲れ様。 ところであれは? ちゃんと槇に渡してくれた??」
「ハイ! 言われた通り“木の葉の上忍二人から預かった”って渡しましたよ、本人に!」
「「ありがとう。 今回ばかりは動くとマズイから。」」
「・・・・ところで、あの里の暗部・・・・ いや、おれらも報復任務は徹底しますけど・・・・」
「・・・・・多分今後、クノイチを使った謀をあの里に仕掛ける隠れ里は・・・ ないでしょうね。」
「・・・・マジでこの里の連中、敵にしたくない・・・・ って思いましたよ、おれ達。」
「「・・・・・・・・うん、そうだろうね。 逆鱗に触れたんだから。」」
裏切り者には死を、里への謀には報復を。 こんなのはおれ達 忍びの世界ではしごく当たり前の事だ。
動物は皆、学習能力がある。 一度痛い目に合えば、同じ間違いを起こす確率がグッと低くなるだろ?
多少強引ではあるが “やってはいけない事” の学習をさせなければ、また誰かが同じ間違いを犯す。
だから、我が煌々の里への計略をどこかの隠れ里が企てたなら、その隠れ里を潰すのは当然の事だ。
どこの里の抜け忍が興した隠れ里かは知らないが。 木の葉と我が里に喧嘩を売るなど愚の骨頂。
欲に溺れ、己が頭と力を過信し、人命を道具として使う忍びの隠れ里など、滅んでも惜しむ民はいない。
二度とクノイチの腹を使い、謀を企てない様に。 玉を利用すれば容易い事、などと思われない様に。
あの隠れ里の男連中を一か所に集め、女を一人残らず処刑した。 子供老人問わず女は全員、だ。
生きたまま腹を裂き、男達の中に次々と放り込んでやった。 女どもが一人残らず息絶えた後で男連中も。
胎児はへその緒が首に巻いたままだと死ぬ。 ヤツらの腹を裂き、腸を首に巻いて木に吊るしておいた。
見せしめは必要不可欠。 そこに恐怖と戦慄を感じたなら、人は必ず誰かに話したくなるから。
おれ達忍びの様に、沈黙の重圧に耐える事など、一般人にはほぼ不可能だ。 人の噂はすぐに広がる。
今回の報復で潰した隠れ里を、もし訪れた者がいたとしたら。 そいつから大陸中に広がるだろうな。
小珠もいずれ噂を聞くだろう、煌々の里の忍びだと教えたから。 忍びに再び怯えてしまうだろうか。
まあ・・・・ あの二人に身請けされれば・・・・ 小珠は怯える事なく可愛がってもらえるだろう。
柄にもなく、またあの陰間を思い出すとは。 あれだな、自分でも驚く出来事のせいで、悩んだからだ。
おれは一度でも買った事のある女や陰間は、二度と買わない事にしているんだが・・・・ 残像が、な。
・・・・あの時は驚いた。 長に帰還の報告をし終え、合同報復任務の詳細を聞いている途中だった。
小珠を貫いた時の感覚が襲って来た。 ・・・・信じられない事に勃起してたんだ、出しはしなかったが。
長や仲間の手前、動揺しては悟られると、マントの合わせを大げさに直すフリなんぞをして誤魔化した。
まさか、と思った。 このおれがもう一度あの陰間を抱きたいという事か? あり得ない、と。
そして悩んだ。 おれとの相性がこの上なく良い相手ならば、里の近くの町に囲ってみてはどうか・・・・
だが、小珠の新しい旦那になってるだろう、あの木の葉の上忍二人を、今更どう説得すればいい? と。
小珠が忍びを怯える原因にもなった顔の傷は、どこかの忍びが斬りつけたから。 間に入って怪我をした。
あの陰間はその時に死んでいたかもしれない・・・・ けれど傷だけで済んだのは助けた忍びがいたから。
奪い合いになったり、見染められたり。 小珠は忍びの男達を、知らずに翻弄する陰間なのかもしれない。
忍びを翻弄する者、それはクノイチと同じではないか? そう思ったら・・・ ふとある事を思い出した。
女の忍びの総称だと言われているクノイチ。 くノ一を全部一緒に書くと女という字になるからだ。
目、鼻、耳に二つずつ、口、ヘソ、肛門に一つずつ。 女はそれより一つ多い、膣という穴を持つ。
女は、人体の穴の数が男より一つ多いから、九と一。 それがクノイチだ・・・・・ とも伝え聞く。
小珠の中は温かくて気持ちがよかった。 男を咥え込む陰間の穴は、女の膣と同じなのではないか?
くノ一が女を表す言葉ではなく、穴の数を表す九と一という意味でとらえるならば、陰間は・・・・・
性別は男で孕みはしないが、その肛門は二つの穴の役目を持つ。 立派なくノ一だと思えてきた。
小珠は陰間であって忍びではないが、複数の忍びを同時に惹きつける者、と位置づけるのなら・・・・
火種になりそうな者を里に近付けてはならない、クノイチを抱く事は里の厳禁。 小珠はくノ一だ。
さんざん悩んだが、おれはこう結論を出した。 そしてそれが正解だったと知るのは、合同任務の後だ。
木の葉の暗部の一人が、里の上忍から槇さんに渡してくれと頼まれました・・・・ と写真を持って来た。
三人が布団の中で包まっている写真。 小珠を間に挟んで鼻の下を伸ばしたあの上忍達が、嬉しそうに。
裏にはこう書いてあった。 “小珠ちゃん、沖屋から身請けしちゃった! 本当にイイ顔するねv”と。
それを見た時、早期に出した自分の結論が間違いじゃなかったと、妙に安心したのを覚えている。
最初、怖々近付いて来た火の国の花街の陰間、小珠。 お前、写真の中で幸せそうに笑っていたな。
里に戻ってなお、売り者で勃起した事など、一度もなかったぞ? おれをあんなに悩ませた陰間も。
小珠を思い出し勃起させたのはあの一回だけ。 そんな陰間一人の為に木の葉の上忍二人とやり合うのか?
冗談じゃない。 残念ながら、おれはくノ一に翻弄される気はない。 せいぜい可愛がってもらえ。
ええ、海野中忍の最後っ屁が発動しただけです! この話は奈良シカク・山中イノイチ両上忍に捧げます。(涙) 聖