くノ一の男 9   @AB CDE FGI JKL M




なんなのアレ! あんな可愛く膝なんか噛んじゃってっ!! オレ達の膝に噛みつきなさいよっ!!
海野中忍はとんでもない潜入員だった。 オレ達の剥いてみたい思いを、会う度に何倍にも増幅させる。
本当なら贔屓の旦那になるのはオレ達で、膝を甘噛みしてもらうのもオレ達だったはずでショ?!
耳かきしてもらうのも爪を切ってもらうのも、殺気に涙ぐんだ涙を舐めるのも、全部・・・・・・・

な、ワケないネ。 小珠の潜入設定を考えたのはオレ達だヨ。 海野中忍は設定に肉付けしたダケ。
たかが網だと思ってた。 任務にかこつけて手に入れられるって、舞い上がって考えた潜入協力の設定。
潜入員の現場に土足で踏み込んだ結果がコレだ。 テンゾウ、自分で自分の首を絞めてるネ、オレ達。

忍びにはそれぞれの役割、それぞれの戦場がある。 オレ達 暗殺戦術特殊部隊には、オレ達の戦場が。
木の葉を利用しようとした隠れ里があるなら、暗部がやるコトは一つ。 舐めた真似のお礼をするコト。
 







煌々の里と話をつけるにしても、まずは証拠がいる。 煌々の里が狙われている、という確かな証拠が。
ウチの忍びが行って、女も裏で糸引いてる隠れ里も、どっちも潰したいトコロだけど、そうはいかない。
証拠とは生かしておくから動かぬ証拠となる。 全てを知らない内に終わらせて、後から出しても無駄。
死人に口なし、って言葉があるぐらいだヨ。 事後の報告なら、都合のいいように作れるでショ?

大小関わらず、どこの隠れ里も同じ。 騙し騙されて、利用しつつ利用されたり、持ちつ持たれつだヨ。
名のある忍びの里は、その名を利用されやすい。 そして有名な里ほど、名を売る機会だと狙われる。
それでも大陸に名をはせる隠れ里は、国の柱として迎えられたり、大陸の民から絶大な支持があったりネ。

「部隊長、補佐っ! 任務完了です! ちゃんと生きたまま拉致してきましたよ。」
「ヨ、お疲れ様サン! さすがはオレ達の部下。 迅速かつ、確実だネ!」
「この女、クノイチだからって・・・・・ 色気出して味見しなかっただろうね?」
「まさか!! 自害できないように筋弛緩薬を打っただけです。」
「「うん、合格!」」

三代目は煌々の里の長に、書簡を送った。 木の葉の里が、ある女から子供を預かる依頼を受けた、と。

まだ小さな赤子にはチャクラ質が備わっている、手放すのはよほどの事情があると調査をしようとした。
その矢先、ウチの忍びがそちらの槇という暗部と接触、この任務依頼の裏の目的が明らかとなる。
女は新興の隠れ里のクノイチ。 木の葉に赤子拉致の濡れ衣を着せ、手薄になった煌々の里の占拠。
花街に滞在中のそちらの暗部に、女と赤子を確認してもらいたい。 それを証拠とし、身柄を引き渡す。

・・・・とまあ、こんな感じの内容じゃないかな? なんと使いは、三代目の口寄せ獣、猿候王 猿魔。
大陸の忍びなら、猿魔を知らないヤツはいないよネ。 あの老猿は礼節においても、ひと際うるさい。
そんな猿魔が礼節共に粛々と差し出す書簡、目を通し返事を持たせないワケにはいかないでショ?

忍びの里は騙し合戦だけど、誠意だけは本物でないと勝ち残れない。 煌々の里もそういう里の一つ。
きっと槇の名前も効いたんだと思うヨ、玉だけを花街にいる暗部に託してくれ、そういう返事だった。
つまり、証拠を確認する前に、木の葉を信頼してくれたんだヨ。 女は適当に始末してくれ、ってコト。
だからネ? こうやってちゃんと仕事をして来た部下には、槇じゃないけど褒美を与えてやりたい。

「フフフ、美味しそうな獲物を前に、よく頑張ったネ? ちょっとはグラついた?」
「「・・・可愛い顔してるから、犯しがいがあるだろーなー と思ったのは事実です!」」
「くす! いいよ? その女、好きにしていい。 ただし、首は煌々の里に送るからね?」
「「・・・・・へ??」」

「「事情が変わったから。 証拠はいらないって。」」
「「マジですか?! ヤッホ―――ッ!」」
「「首だけは綺麗にとっとけよー」」
「「了解でーすっ!!」」

はりきちゃって。 お前らどんだけ我慢してたの? ま、玉を道具にする様な女、遠慮はいらない。
あの女は部下に捕縛されてこう言ったそうだ。 “使い捨ての駒など何度でもこの腹から産んでやる!”
煌々の里はクノイチを追放して出来た忍びの里、ああいうクノイチがたくさんいたからかもしれないネ。

クノイチは忍び、オレ達と性別が違うだけの里の武器。 でもそうじゃないクノイチも、大勢いるのに。
君子危うきに近寄らず、を徹底するならサ、とことんまで徹底すればいいのに。 色事全面禁止! とか。
槇はちょっと小珠を可愛がり過ぎなんじゃないの?! 暗部のくせに果報を寝て待ち過ぎだからっ!



きっと沖屋にいる槇にも、連絡が行ってるだろうネ・・・・ ンー これから赤子を渡しに行くんだケド。
・・・・・またあのツキンという痛みを感じなくちゃならないのか・・・・・ ヤダネー アー ヤダヤダ。
実はネ。 あれからすぐ・・・・・・ 女の動きについての情報を槇に流す為に、沖屋に戻ったんだヨ。
元々、ウチに依頼が来てたからネ、ついさっきのコトの様に装って。 女を探させてるから、って。

そうしたらそこで見たのは、半分ほど剥かれている海野中忍と槇。 手足を絡めて厭らしいのなんの。
海野中忍が舌技を披露してない・・・・・ この程度の絡まりはセーフゾーンなんだ・・・・・ なんて。
ポーカーフェイスなオレ達でさえ、無言になっちゃった。 海野中忍はオレ達をただの男に戻すんだよネ。