くノ一の男 3
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やっとみつけた潜入部隊の潜入員。 根気強く待ってて良かったヨ、海野イルカっていうんだ・・・・。
戦場慰安支援隊に紛れて、敵の待ち伏せ場所を知らせに来た中忍。 もう一度会えば確信すると思った。
テンゾウとオレのあの時から続いてるナゾな感情の正体が。 “この男、剥いてみたい”ってナニさ。
そんな悶々としているオレ達が待機していた火影室、テクテクと入って来たのはあの時の潜入員だった。
三代目が新たに潜入任務を言い渡すのを聞いた時、オレ達が任務協力します! と、強引に立候補。
しょうがないじゃない。 この機を逃したら、オレ達がいつ潜入員と一緒に組むかなんて分かんないモン。
もう一回会って確信したヨ、やっぱり剥いてみたい、って。 このチャンスを活かさないでどうする?!
海野中忍の任務は、近々ある女の行方を追って火の国に入るだろう、煌々の里の忍びを見つけるコト。
情報分析部が、他国での代理母の殺しとウチに来た依頼を結びつけた。 で、“網”を張ってくれ、って。
“網”っていうのは、情報分析部の元に集まった各地の情報から、可能性の高い情報の裏付け任務のコト。
各国に散らばっている潜入員の集めた情報、その中から実際に起こり得る可能性の高いモノを選抜する。
人の噂や他里の忍びの動き、火種になりそうな出来事などから、情報分析部がはじき出したモノがコレ。
ウチに依頼に来た女の赤ん坊は、もしかしたら煌々の里の忍びの玉なのではないか、と想定したんだヨ。
忍びの世界じゃ当然だケド、あの里の契約反故制裁は徹底してる。 殺された代理母の産んだ子かも、って。
今回、海野中忍が頼まれたのは網。 もしそうだったらと仮定して、あらかじめ先に潜って置く為の潜入。
ただの網ならラッキー。 読み違いの可能性もあるから、網の解除命令までは、ずっと茶屋に潜ってる。
そう、海野中忍は茶屋の陰間として潜るんだヨ? 贔屓の旦那になればイイだけ・・・・ デショ?
「「小珠ちゃん、茶屋に上手く溶け込んでるみたいで、よかったぁ!」」
「えー 本来、ここまで目立つ真似されたら、動きづらいんですけど。 この際協力してもらいます。」
「「・・・・・・?? 協力・・・って・・・ もしかして当たり?!」」
「はい、さっき情報部から式が届きました。 ・・・・・・・大当たりです。」
ガーン。 ヤ、任務なんだから当然だケド。 ココはウチの情報部の分析を褒め称えるべきトコロだケド!
せっかくの“海野中忍を任務にかこつけて手に入れよう作戦”が・・・・。 モノホンの展開に・・・・・
テンゾウ、三代目は最初からこの展開を予想して、オレ達の半ば理やりな任務協力を容認したのかもネ。
おかしいと思ったヨ。 あの三代目がどう考えてもオレ達の私的行動を、何も言わず許可するなんて。
なら情報部が睨んだ通り、この前ウチに任務依頼で預けたというチャクラ質のある赤ん坊というのは・・・・
煌々の里の忍びの血を受け継ぐ赤ん坊、ってコトになるのネ・・・・ どうやってあの子を逃がしたかは謎。
あの玉を産んだ代理母はもう殺されちゃってる。 ま、逃がしたから契約反故で、殺されたんだろうケド。
煌々の里の忍びは、自里の血を引く玉を連れて逃げただろう女を追って、火の国に入ったのは間違いない。
だから茶屋か、煌々の里の忍びが来る可能性があるから・・・・ あそこは男ばっかりの隠れ里だもん。
もし女の足取りを追って火の国に入るのなら、拠点にするのは花街の陰間茶屋のどこかだろう、ってネ。
目つきの悪い他里の忍びがウロついてても、花街なら大歓迎だし。 身を隠すにはもってこいの場所。
「ってコトは・・・ 本当に煌々の里の忍びが・・・・ 火の国に入った、ってコトだネ。」
「じゃあ、海野中忍の任務は単なる網から・・・・ ここのまま潜ってその忍びと接触を?」
「はい。 今夜中には・・・・ 花街で宿をとるんじゃないかと思っています。 だから協力して下さい。」
「「・・・・・・う、うん。」」
海野中忍は言った。 表向きは俺は小珠です、だから小珠の御贔屓の旦那になってもらいます、って。
心中は超複雑。 だってソレ、ホントはオレ達がなるつもりだったのに。 まさか抱かれたりしないよネ?
三代目から、自白系や幻術系のナンかの忍具とかを・・・・・ 持たされてるよネ? そうでショ?!
「あの・・・・ 相手は忍びですよ? 忍具や幻術なんか使ったら俺が殺られるじゃないですか。」
「「・・・・・・・・・・うん、だよね・・・・・・。」」
「ふふふ、種明かし! 俺の場合は舌です。」
「「・・・・・・・?? し・・・・た??」」
「はい、舌技です。 練習したんですよ? 結構。」
「「!!! 舌・・・技を?!」」
「歯の奥に仕込がしてあって、舌で上手い事相手に打ち込みます、この針を。 ふふふ!」
「「・・・・・・・・・な・・・・ なんだ・・・・。」」
そう言って、海野中忍は自分の舌をべーっと伸ばして見せてくれた。 でも全然どれが針か分かんない。
そりゃそうか、そんなすぐに分かる様な針じゃ、バレちゃうもんネ。 オレ達が分かんないって、スゴイ。
三代目お手製の極小で極細の針は、打たれた相手を深い眠りに落とすそうだ。 至福の夢を見せるらしい。
コレがそうですと、針の乗ってるだろうその器用な舌を、出来るなら今すぐ味見してみたい・・・・
「・・・・・何の舌技だと思いましたか?」
「「・・・・・・・・・べ、別に・・・・」」
「ぷっ! くすくすくす! やーらしー顔っ!! あはははは!! ひぃ〜〜〜っ!!」
「「・・・・・ムカッ!! どっちがっ!!」」
まったく! どっちが、だヨ!! じーっと人の顔を見ながら、イヤらしく舌先を動かしてみたり!
・・・・・アンタ、何気に挑発的だネ? あんまりオレ達を舐めてたら、後で痛い目みるヨ?
とか、言ってやりたかったケド。 オレ達を指差してケラケラ笑う海野中忍にメチャメチャときめいた。
ホント・・・・ 何の遠慮もないんだネ? オレ達 暗殺戦術特殊部隊の部隊長と補佐なのにサ。
しかもあんなに熱演した作戦に、目立ち過ぎだとダメ出し。 更に“だから手伝ってもらいます”なの?!
この任務の為にただの上忍になってるオレ達、面をとった素顔にはチョット自信あったのにサ。 チェッ!