お人好しの忍び 14
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シズネさんと任務に行ったなんて、今考えただけでもイライラするヨ。 豚なんか抱えちゃって!
一見可愛いらしく見えるからってサ、先生、騙されないでよネ? アレ、とっくに30超えてるから。
医療忍者のクノイチは黒い羽を生やした天使なの。 その代表が、五代目火影を名乗ってるでショ?
先生は三代目によく書類整理をさせられてたもん、里が落ち着いたら、綱手様にもコキ使われちゃう。
そうなると、火影室でちょくちょくシズネさんと顔を合わせるハメになるのは、目に見えているからネ。
先手必勝。 あれだけ脅しておけば、ナンか他に考えてくれるでショ。 イイ勘してそうだったし。
フフフ、こめーんネ、先生。 オレ達ネ、イルカ先生をちょっとでも側に置いておきたいの。
「ンー ・・・・・ すごいネ・・・・ 一回でこんなに満たされた気分・・・・・」
「ボクも・・・・・ 体の隅々まで先生が行き渡った気分・・・・ 満足・・・・・」
「・・・・・・俺も。 気持ち良かったです、幸せ。」
アー 恥を忍んで綱手様にお願いしたかいがあったヨ。 事後に先生の嬉しそうな目を見ながら話せる。
ヤッた後にベタベタ触られたり、だらだら話したりなんて・・・・ 今迄、本当に考えられなかったヨ。
でもイルカ先生といるとそうじゃないの、ずーっと触れていたいし、見つめられると嬉しい。
しかし・・・・ 一回で終わるなんて。 テンゾ、じゃなくてヤマト、綱手様の薬って、スゴイねぇ?
シズネさんの話はあんまり聞きたくないけど、何があったのか、イルカ先生はオレ達に話してくれた。
自分の涙は嘘はつかないと、先生の話を信じたその男は、木の葉の忍びを見込んで任務依頼をした。
つまり、本当の事を教えてくれた先生に、自分も遊女と一緒に殺して欲しい、って自身の暗殺依頼を。
それが本気の依頼なら、イルカ先生は受理せざるを得ない。 木の葉の忍び、それも受付忍だからネ。
愛情がないのに一緒に殺してくれだなんて、よくその男も言えたもんだね、さすが・・・って感じかな。
丁稚奉公に来て気に入られ、天涯孤独になってからも、大商人の右腕ともなった人物だもんネ。
きっと周りを惹きつけるカリスマ性や、ここぞという時の決断力があった人物なんだ、迷いがない。
でも、何も聞かなかった事にして今の裕福な生活を続ける、そこまでは非情になりきれない優しさも。
自分を騙して平気な顔をしている女の元になど、絶対に戻りたくない、顔も見たくないと思っただろうね。
そこで先生は提案したんだ。 彼女があなたの一番大事なモノを奪ったのなら、同じコトをしましょうと。
水の国での木の葉の仕事を悟らせない為か、先生なりの “目には目を” を実行したのか。 多分後者だネ。
イルカ先生は、その妻と義父から、男の記憶を奪った。 と言っても先生の場合はただの暗示だケド。
霧みたいにサ、一般人相手に徹底して感情だけを消しさるなんてコト、イルカ先生は出来てもしないヨ。
一般人なら暗示で十分。 キーワードはイルカ先生しか知らないから、未来永劫解けるコトはない。
そうしたらなんと、義父の深層意識の中に男の消し去られたはずの愛情が隠されていたんだって。
霧のコトだ、くだらない任務の意趣返しだろうネ、嫌みの代わりに父親の中に隠したんだ、きっと。
ひょっとしたら、あのバカ娘の親父がその遊女に熱を上げて楽しむ様を、見たかったのかもしれない。
でも幼い恋心なんて、よっぽどのロリコンでなきゃ、感情の共鳴同調なんてしないだろうしネ。
当然だけど、イルカ先生は彼にその思いを返してあげた。 まったくお人好しだよネ、ホント。
だから、遊女に再会した時の男は、今迄の一途な愛情、指切りの約束も全部、思い出していたんだ。
フリだけじゃなく、本物の約束を果たす。 そして、会いたくてたまらなかった女と一緒に逝った。
男は自分殺しの依頼料として、貯めていたお金を全部イルカ先生に預けた。 大金だったらしい。
そしてもし余ったら、彼女の親友、自分を探してくれた依頼人の為に、使ってやってほしい、そう言って。
大金だったから、里の依頼料と遊女一人を身請けするぐらい、余裕であったらしいんだケド。
その親友の遊女はね、身請けを断ったそうだヨ。 そのお金で二人の墓を建ててあげるんだって。
『いつか自分もそこに入るの。 喜美ちゃんと誠さんなら、私も仲間に入れてくれるだろうから。』
その言葉を聞いてね、サクラもイノも、ものスゴク感動してたんだってサ。 あー シズネさんもネ。
ホントイルカ先生は温情型の忍びの代名詞だヨ。 オレ達ならそんなめんどくさいコトは絶対しないもん。
幸せな再会の幻術でもかけて、すぐ殺してやってるヨ。 最初の依頼は肺病の治療だったんでショ?
なら着いた時点で殺しちゃってたかもネ、分かんない様に。 周りにうつる前に手を打たなきゃ、って。
でも、ま、そんな依頼なんて、オレ達には天地がひっくりかえってもこないだろうけどネー。
「うぁーーー また、そんなめんどくさい事してきたんですか?!」
「くすくす、絶対そう言うと思ってました、あははは!」
「モー イルカ先生、お人好し過ぎっ! でもソコがイイんだよネ。」
「・・・・ありがとうございます、カカシさん、ヤマトさん。」
「「???」」
「ナルトや・・・・ 里を守ってくれてて。」
「「・・・・そ、そういう事は今言うもんじゃないでしょう?!」」
「でもどうしても言いたかったんです。 ・・・・俺の側にいてくれてありがとうございます。」
「「あーーーー 飛びかかりたいのに!! 満足しちゃった息子ちゃんが元気にならない・・・・・」」
「くすくす! じゃぁ・・・ 俺が息子ちゃん、元気にしちゃおっと!」
「わわ! イルカ先生っ! ストップッ!! んん・・・」
「な・・・ 先生っ! ちょっとはオレ達に感謝したらどうなのさっ!!」
「ん・・・ だから・・・ 感謝しています・・・・ ちゅ・・・・・」
「「 そうじゃなくてっ! もう今日は起たないのっ!!( 綱手様、効き過ぎも拷問ですぅ! ) 」」
それにしても・・・・一回って・・・・。 あの性欲のカタマリのようなふたりが、一回・・・・。
あの後も結局、起たなかったし。 他の忍びに飲ませたら無気力どころの騒ぎじゃないぞ、これ。
任務中にシズネさんが改良した精力抑制剤、凄いな・・・・ さすが木の葉の誇る一流の医療忍者!
・・・・・もしこれに耐性が付いてきたらどうしよう? まあ、その時はその時、また相談に乗ってもらおう!
イルカ先生、二人が一回で終わったのは、精力抑制剤x2の効果なんですよ? 油断大敵!(笑) 聖