お人好しの忍び 5   @AB CEF GHI JKL M




ナルト、逆境で踏ん張れた君の気持ちが分かるよ。 イルカ先生の側は、こんなに居心地がいい。
独りぼっちだと思っていたんだよね? 周りから憎まれている意味も分からなくて、淋しかったんだ。
それはボクにも少しだけど分かるんだよ。 ボクも木の葉にあっていい存在じゃなかったから。

自分の事を信じてくれる人が一人でもいるって知った時、周りの目なんか気にしないでいられる。
人間って不思議な生き物だよね、気持ちでどうとでも出来るんだから。 実際は潜在能力の覚醒だけど。
ボク達忍びが修行によって強くなるのは、自分の中に眠っている力をいかに引き出せるか、なんだよ。
ほとんどの人間は、その力の9割も眠らせたままらしい。 心を強くする事はそれらを起こすボタンだ。

今のままじゃナルトは、強大な負の力に押し潰されるだけ。 心の次は、技・体を磨かなきゃならない。
ナルトが本格的に九尾のチャクラをコントロールするのは、まず自来也様と修行をして来てからだね。
ボクもカカシ先輩も、その時の為に何度もシミュレーションしてきたから。 強くなって帰っておいで?



上忍待機所にいたのはボク達以外に二人。 この忙しい時に二人もいたって事がラッキーでしたね。
ネズミ算式に計算すると、4〜5日でボク達の関係が浸透するでしょう。 そう言えば、カカシ先輩。
アスマさんと紅さんとガイさんが“やっと気付いたか鈍感男”とかなんとか言ってましたが・・・・??
先輩がイルカ先生をやり込めた? え・・・・・ 中忍試験の推薦で?? なんですか、それ。

「今はアナタの生徒じゃない、オレの部下です・・・・ってネ。」
「そんな事分かりきってるじゃないですか、わざわざ言わなくても・・・・ あはは!」
「しかもさ、今考えたら、PRもしちゃってたんだよネ、6歳で中忍になりました、みたいな。」
「それも有名過ぎですよ! 里の忍びなら中忍合格最年少年記録が誰か、皆知ってますって!」

「冷静沈着なはたけカカシとは思えない醜態でしたね、そりゃ鈍感呼ばわりも仕方ないですよ!」
「ネー。 “オレオレ、それオレのコトなの、知ってるよネ?”なんてサ、こっ恥ずかしいヨ。」
「毎回アカデミー教師があの場に呼ばれるのも、反対意見を述べるのもいつもの事じゃないですか。」
「だって先生が、ムキになって意見したんだもん。 アイツらにはまだ早すぎます! って・・・・」

あははは! ・・・・・くすくす、それ、思いっきり卒業生と張り合ってるって事じゃないですか!
ナルトと先輩を比べても意味ないでしょう! うわー ボクもそんなカカシ先輩、みたかったなぁ!
で、前任者との確執が嫌で飲みに? あはは、その時点でもう、先生をテリトリーに入れてたんですね。
いや、すみません、先輩の立場なら多分ボクも同じだったろうな、なんて思ったらつい。 くすくす!

ボク達はナルトの監視役としての心構えが出来てましたからね、イルカ先生とは違って。
人柱力としてでもなく、親の仇としてでもなく、唯の子供、一人の生徒として扱って来たんですから。
そりゃ、教え子の肩を持ちますよ。 その事実を知っていてそれ、ですから。 過保護で当然なんです。
イルカ先生にとってナルトや生徒達は、いつまでたっても自分の子供なんでしょうね、ふふふ。

「ンー でももう、オレ達のもん! ナルトにはとっとと先生から卒業してもらわなくちゃね?」
「ですね。 イルカ先生も、生徒から卒業してもらわないと・・・ って、これは無理ですね。」
「もう、イルカ先生、子沢山過ぎるヨ! 全部オレ達が養わなくちゃならないじゃないの!」
「あはははは!! いいじゃないですか、家族は多い方が楽しいですよ。 くすくすくす!」

ならやっぱり、うっかり先生を殺しちゃわない様にしないと・・・・ かなりマズイですからね。
もう、ボクのおかしいんじゃないの? ってシゲシゲと眺めちゃったりしましたもん、この前。
お前、そんな元気で大丈夫? って、話しかけちゃったりとか。 やー 危険ですよ、まじで。
五代目に・・・・ 笑われちゃうの覚悟で話しましょうね・・・・ じゃ、いいですか? 行きますよ?



「入ります、綱手様! 折り入ってご相談したい事があるんですが・・・・・ ??」
「アレ? ・・・・・イルカ先生? 今の時間、受付にいるはずじゃないの??」
「なんだ、あたしに相談とは珍しいな?」

あひぃ〜〜〜 !!! (地獄耳っっ!!) 」
「どうしたシズネ、トントンが苦しがっている、放してやれ。」
「あ、ごめんねトントン。 いや、その、つい・・・・・。」
「おかしなヤツだな、まあいい。 今、弟子を呼び戻している所だ、急ぎじゃなければ待っていろ。」

「「は〜い、大人しく待ってまーす。」」

「イルカ先生、用事?? まだ受付に戻らなくて平気なんですか?」
「ええ。 カカシさん、ヤマトさん、今から俺、任務に出ます、医療忍者の付き添いで。」
「医療忍者の付き添い・・・・・ ひょっとして、それでサクラ達が?」
「そうなんですよ! アイツらと一緒なんて・・・ もう楽しみで! ははは!」
「「わー ヤケちゃうぐらい嬉しそうな顔! ふふふ。」」

本当に妬けちゃうよ。 そんな可愛い顔して喜ばないでほしい。 やっぱり元生徒は強敵ですね、先輩。
サクラとイノ・・・・ そう言えば二人とも医療忍者志願でしたね。 綱手様に弟子入りした、って。
・・・・は? シズネさんも?! え、ならイルカ先生いらな・・・・・ ははは、よかったですねー
医療忍者だけの任務は禁止されてますもんねー 中忍以上の付き添いが必要ですもんねー へーーーー。

「「 ちょっとシズネさん、いいかな? 」」
「は、はい・・・・ なんでしょう・・・・ ゴクリ・・・」
「「 イルカ先生に手出さないでね? 殺すよ? 」」
「い、いやだなぁ! そこまで飢えてませんよ、あはは! (直球でキターーーッ!!)」

「ブ、ブヒーーーーッッ!!」
「だからトントンを放してやれと言ってるだろう、シズネ! 痛がってるじゃないか!!」
「うぅぅ・・・・・・・ (綱手様、この目は本気ですよぉ・・・・)」

水の国に付き添い任務か・・・・ まあ、これだけ脅しておけば大丈夫でしょう。 ね、カカシ先輩?