灯台下暗し 5
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伝書鷹を連れて行ったなら、消息を絶ってしまっても、鷹が道のりを覚えているから見つけやすい。
もしイルカ先生が殺されていたなら、今頃鷹丸は、先生の遺品を持って里に帰っている。 つまり、
その忍びの任務を必ず見届ける。 鷹丸がこの辺りを狩り場にしているなら、まだ任務を続行中だ。
よし、よし。 いい子だネ? ・・・・・ん?? 鷹丸、ナニ持ってんの??
「この紙の字・・・・・・ イルカ先生の字?」
「 【俺がクノ】 ・・・・暗号・・・・ ですかね?」
「書き始めたけど途中でやめた・・・・ って感じ。 鷹丸、イルカ先生から預かったの?」
「違うみたいです。 ひょっとして・・・・ 先生のところから勝手に持って来た、とか?」
「あ、そうみたい。 きっと鷹丸は、先生に呼ばれなくなったから様子を見に行ったんだネ。」
「で、イルカ先生が書いたかもしれないメモをみつけたのか。 それは・・・・結構前の事?」
「そっか。 よし、鷹丸に先生の家まで飛んでもらおう。 ヤマト、偵察種子出して。」
「了解です。 鷹丸、この種を落として来て? 先生の家の周りならどこでも良いから。」
偵察種子を作らせた。 木遁忍術はこういう時便利。 血継限界だからコピーは無理なんだよネ。
種は発芽して成長し、ツタが壁を這う。 ヤマトはそのツタからの情報を感じ取れるんだ。
まあ、早い話が覗きの為のツタってコト。 家の壁にツタが這ってても、誰も気にとめない。
砂漠の中じゃ怪しまれるけどネ? でも山の中にある村、ツタだらけの村なら問題ナーシ。
「お帰りー 鷹丸、ご苦労さん! 夕飯に行って来てもいいヨー。」
「お疲れ、鷹丸! ・・・・・・では。 木遁っ! 偵察種子 発芽っっ!!」
「・・・・・・どう? イルカ先生、中にいる??」
「・・・・・・いるっていうか・・・・・。 なんか・・・・・。」
ん? ヤマトの様子がおかしい。 木遁は自然界にスグに同化するから、チャクラ感知は不可能。
どこからどう見てもただのツタにしか見えないし、放置すればそのまま環境に優しい緑となる。
だから潜伏中の上忍は、ツタに見られていても不審に思わない。 そこに生えてるだけだから。
ヤマトはそのツタから情報を得られるんだけどネ。 声だって拾えるし、映像も送られてくる。
「チョット、ヤマト。 先生は生きてるの? 拷問されてない??」
「拷問・・・・えっと・・・・ 見ているボクは 拷問です・・・・。」
「・・・・・オレ気が短いの知ってるでショ? 写輪眼っ!!」
「わわわ!! 先輩、無理やり頭の中に入ってこないで下さいよっ!!」
仲間の生死に関わるコトなら、オレは待たない。 一分一秒が生死を別けると知っているから。
でも焦ったら負け。 情報収集はしっかりしないと助かる命も助けられない。 でも今は違う。
安全で確実な情報収集をしている今、どうして待たされなきゃならないの。 頭を覗いてやるっ!
・・・・・・・ナニ、これ。 なんデスか? どうしてこんなコトになってんの??
木の葉の忍びだとバレて捕縛されたカモ、とか。 拘束されて拷問されてるカモ、とか。
ナルトとの絆を知って、身柄を取引に使われるカモ、とか。 最悪の事が頭をよぎってたのに。
「イルカ先生・・・・ 料理してますね・・・・・。」
「・・・・ウン。 美味しそうだネ、スゴク・・・・・。」
「まさか岩隠れの上忍が・・・・・・ あり得ない・・・・。」
「パッと見で、先生より年下っぽいよネ。 二十歳すぎってトコ?」
う〜ん、微妙。 コレ援護に行っても、イルカ先生が気まずくなるダケ・・・・のような気が・・・・。
なんとなくだけど読めた。 先生が書き始めて止めてしまった報告のワケ。 捨てたはずの紙。
まさか鷹丸が探して持って行ったなんて、思ってもいないだろうナ・・・・。 【俺がクノ】って。
俺がクノイチばりの色仕掛けで、任務を続行しています。 なんて、先生は自分で書けなかったんだヨ。
「ここまで来たからには、任務協力をして早急にカタをつけるべきですよね。」
「先生、詳細は報告したくないみたいだし・・・・ 終わらせちゃうか、ココは。」
「綱手様に式を飛ばしますか? それとも鷹丸に行ってもらいます??」
「イルカ先生が報告したくないのに、オレ達がしても・・・・ イイと思う?」
「ですよね・・・・。 後一日で先生を帰還させる方法を・・・・考えますか。」
イルカ先生は生きていた。 んで、任務もしっかり続行してた。 このままいけば、近いうちに必ず、
マシラの家にお呼ばれして、禁術の巻物を奪還して。 ちゃんと木の葉に帰って来るだろうネ。
でもそれがいつになるかは、まだ分からない。 任務続行中だから。 オレ達が手伝えば別だケド。
ここはひとつ、先生には悪いけど手伝うか。 この時点で、里に報告しないオレ達に感謝してネ?
任務報告は通常なら一週間に一度ぐらいでもいい。 でも先生は3〜4日に一度、定期的にしてた。
それが少し遅れれば誰だって心配になる。 イルカ先生は、ちょっと自分のコトを軽視し過ぎ。
ナルトに対する自分の影響力をもっと考えた方がイイ。 ま、オレ達が来たからには終わらせるヨ?
確かに、相手が油断して懐に入れてくれる、一番手っ取り早い方法ではあるよネ。 しかも上忍だし。
それが一番安全で、確実だと確信を得たから、色仕掛け作戦に踏み切ったんだろうと思うケド。
「・・・・・こういうのを“砂吐きカップル”とかいうんでしょうか・・・・。」
「まぁ・・・・“初々しい相思相愛のカップルっぽいヒト達”なんじゃないの?」
「確か先生の記憶は・・・・・ 木の葉の忍びの暗殺を目撃したから・・・・ でしたよね?」
「・・・ンー よし、人質交渉作戦でいくか。 ヤマト、その設定を有効に使おう。」