灯台下暗し 7   @AB CDE GHI JKL M




まずは、イルカ先生の家に入り浸ってるマシラを誘い出さなくては。 イルカ先生と離すんだ。
ヤツがつらてれて村の外へ出たら、鷹丸に先輩が考えた“人質交渉作戦”を届けさせる。
イルカ先生に知らせておかないと、とんでもない事が起きてしまう可能性があるから。


作戦はこうだ。 ボク達が怪我を装い村に逃げ込む。 で、イルカ先生に手当をしてもらう。
実はイルカ先生が目撃したのは、ボク達の仕事だった。 一度は見逃した目撃者、けど偶然の再会。
生のチャンスは一度だけ、と口封じで先生を殺そうとする。 きっとマシラは正体を現すはずだ。

いくらなんでも、あんなに惚れているイルカ先生が殺されそうになったら、止めるだろう。
自分が忍びだとバレても、先生を助けに入るはずだ。 そうしたら、そこから駆け引きスタート。
なんで岩隠れがこんな所に? 何の為に? と問い詰める。 そっちの方が興味があると、匂わす。

大人しく隠している物を出せば、コイツは見逃してやる、お前も。 そう交渉を持ちかける。
仮にも上忍なら、相手の力量ぐらい測れるだろう。 ボク達二人を相手に逃げられないと悟るはずだ。
自分達が生き残る道を選ぶか、ここで一緒に死ぬか。 まあ、前者を選ばせるように仕向けるけどね。


「口寄せの術っ!    ・・・よし、お前ら、適当に村の周りで暴れて来い。」
「ちょっとした交戦があった感じで、お願いします。 少々派手でも良いですよ?」
「囮か・・・・ よし、任せろ。  皆! 暴れるぞ?!  ・・・・散っ!!」

「カカシ先輩、鷹丸に飛んで貰います、書簡を貸して下さい。」
「ん。 じゃぁ、鷹丸、コレ先生に届けて。 食後の運動よろしくネ?」
「あははは、鷹丸も忍犬達も。 久々の仕事だから、はりきってますよ。」


・・・・・・・なんだろう、このラブカップルは。 覗いているこっちが、恥ずかしいよ。
でもまだ、一線は越えていないらしい。 告白ぐらいはしたのかなぁ・・・・ きっとマシラだな。
イルカ先生が、自分でも思いがけない作戦変更をせざるを得なかったのは、そのせいだろうから。
まあ、イルカ先生はこんな所を見られているなんて、夢にも思わないだろうけどね。

『そうだ、薪がそろそろなくなりそうだったんだ。 ちょっと拾ってきますね?』
『はい。 暗くなりかけてますから、気をつけて下さいね?』
『先に食べてて下さい。 時間かかるかもしれませんから。』
『いえ、お帰りを待ってます。 一緒に食べましょう?』

パックン達はいい感じに暴れてくれている。 やっぱりというか、様子を見に、マシラが村を出た。
戸口までお見送りしたイルカ先生が、頬にキスされてた。 イルカ先生もお返し。 まるで・・・・
新婚さんのような初々しさだ。 最後の報告からずっと、こんな感じだったのかな・・・・?


よーし、タイミング良く鷹丸が先生の肩に止まって書簡を渡したぞ。 はは、イルカ先生驚いてる。
キョロキョロと見渡しても、ボク達はいないよ? ふふふ。 ほんとイルカ先生って分かりやすい。
あ・・・・・中身を確認して・・・・ 何か記入してる・・・・。  で、鷹丸に渡した。
じゃあ、ボク達は鷹丸待ちだね。 ふふ、イルカ先生は何て書いて寄越したんだろうなぁ?


「お疲れ、鷹丸! 見せて? どれどれ・・・・・ って、あはは、先生らしいや! クスクス。」
「何て書いてあるんですか? んーっと・・・・ ぷっ! こんなこと、後で言えばいいのに!」

【“火ノ寒梅”一本で手を打って下さい。 どうかここで見た事はご内密に、特にナルトとサスケ】

「・・・・イルカ先生、サスケが里抜けしたの、知らないんだネ・・・・。」
「・・・・里に帰ったら・・・・・ ガッカリしますよね、きっと。」


イルカ先生は色仕掛け作戦の口止め料に、火の国名産の銘酒“火ノ寒梅”をくれるらしいよ。
って事は、ボク達の人質交渉作戦に賛成してくれた、って事だ。 ふふふ、まあ、確かにね。
恋心を利用するなんて、クノイチなら得意だろうけど、先生は・・・・・ なかった事にしたいよね。
カカシ先輩もボクも、楽でいいから女体の方が好きなんだけど。 でも、人の好みは十人十色。

「よしイイ頃だ、ヤマト、ちょっと切って? リアルにしなくちゃばれちゃうカラ。」
「分かりました。 ・・・・・はい、コレぐらいで。 ボクもお願いします・・・・ っつ!」
「ウン、これだけの綺麗な切り口なら、スグにふさがるでショ。 行くよ? ヤマト。」
「はい。 ふさがらない内に、村に逃げ込みましよう。 先生、驚きますね、また。」

驚くというか、イルカ先生なら、わざわざ本当に傷を作ってどうするんですか! って怒りそうだな。
だって相手は上忍だ。 フリだけじゃ、逆に怪しまれちゃう。 さあ、人質交渉作戦の開始だ。
もし交渉が難航して追加作戦までいっても・・・・・・・ イルカ先生、怒らないでね?