灯台下暗し 8   @AB CDE FHI JKL M




「食べ物も有りそうだし、この村で休んでいきましょうか。」
「わぁ!! 忍びだっ! ・・・・腕のトコ怪我してるよっ?」
「シィーッ、騒がないでくれる? そしたら痛いコトしないから。」
「ひぃっ!」

寄って来た村の子供にクナイをチラつかせた。 マシラは、もう少ししたら戻ってくるから下準備。
オレの忍犬達も、離れ過ぎず近過ぎず、完璧な囮になってくれたしネ。 この子の声を聞ききつけ、
イルカ先生は飛び出してくるはずだ。 先生はこの村の人、特に子供達に慕われているらしいから。
・・・・・ほらネ? さあ先生、お家へ入れて下さいナ。 先生の為なら、この子は口を閉ざすでショ?


「どうした、キララ・・・・ !!! あなた達は・・・・?!」
「うっ・・・ イ、イルカ先生っ! 怖い人達なのっっ!!」
「・・・・・キララ、自分のお家に帰りなさい。 大丈夫だから。」
「え、でも・・・・・・・ イルカ先生は・・・ どうなるの?」

「大丈夫、心配ない。 チョットこの人に手当てしてもらうダケ。 ナニもしなーいヨ。」
「あと、お腹すいてるからご馳走になるだけ。 ・・・・坊やが騒がなかったら、だけどね?」
「・・・・うん、わかった・・・・ イルカ先生に痛い事しないでね・・・・?」
「俺の家へ入って下さい、手当てをします。 ・・・・キララ、内緒だぞ? ・・・心配するな。」


はい、これで先生のお家にスタンバイ完了! マシラの気配を近くに感じたら、作戦開始だ。
おーーー、これ、イルカ先生が作ったんですか? 美味しそうですね・・・・・ ん、美味い!
チョット先生、そんなに怒らないで下さいヨ。 これぐらいヤラないと真実味が出ないじゃないの。
木の葉の上忍が腕を切られて、応急処置がてら腹ごなしに立ち寄った、って設定なんですから。

「なにもほんとに切らなくても・・・・・ こんな事で・・・・ 何やってるんですかっ!!」
「イテテ・・・・・ イルカ先生、もうちょっと優しくして下さい、 モグモグ・・・・・。」
「いたた・・・・ 綺麗に切りましたが、一応怪我人という事で、 もぐもぐ・・・・・。」
「・・・・上手く・・・ いくんでしょうか、俺なんかの為に・・・・・。」

それは心配ないと思うヨ。 あの上忍は、イルカ先生に惚れまくってる。 見れば分かるヨ。
これが国外だったら、先生はきっと土の国、もしくは岩隠れの里へ、拉致されていたと思うぐらい。
アイツにとっては、手放したくない人なんだヨ、先生は。 まだ若いけど確かに上忍だネ。
この期を逃したらいつこんな人に会えるかどうか分からない、って。 そんな勘が働いてるんだヨ。


「・・・・あ、そうだ。 ボク、始めまして、ですよね? ヤマトです。」
「お話しは聞いています。 暗部の部隊長ですよね、うみのイルカです。」
「ふふふ、正解! ところでイルカ先生、お別れの方法は考えてある?」
「はい。 この作戦を有効に利用させて頂こうかな、と思っています。」

鷹丸に運ばせた書簡に“木遁使いと向かいます”と書いただけで、暗部の部隊長と推測したの?
先生はオレが元部隊長だと知ってる。 オレの引退後は、必然的に補佐が部隊長になるのも。
尾獣チャクラを抑制できる木遁秘術の継承者は、一人しかいない。 さすがイルカ先生だ。
暗部の部隊長と補佐は、いずれ人柱力の支えになる人物だと、三代目から聞かされていたんだネ?

「・・・・・村の入口まで来たネ。」
「・・・・はい、来ましたね。」
「むぅ・・・・ 全然分からん・・・・」

ははは、それはしょうがないじゃない。 中忍があの上忍の気配を感知出来たら、拍手モノだヨ?
彼はまだ若い、岩隠れでも名を馳せる忍びになるだろう。 あー、なんかオジサンみたいネ、オレ。
だってさ、あんな新婚さんバリの恥ずかしい二人を見たら、そうなるってモンでショ。
初々しいなぁ、とか。 絶対まだヤッてないと見た! だからこその、この作戦なんだけどネ。

「んじゃ、プチ悪役になりますか、ヤマトくん。」
「はい、カカシ先輩。 イルカ先生、すみませんね。」
「? まぁ、あの・・・・ お手柔らかに、お願いします?」
「「とっとと木の葉に帰りましょう!」」
「・・・・・はいっ!」

ん? あのキララとかいう坊主・・・・ 約束やぶったネ? ま、ソレも計算のうちだーヨ。
イルカ先生の家に怖い忍びがいる、どうしよう。 村に戻って来たマシラに、そう言って泣きついた。
・・・・・抑えてた気配が増幅する。 スゴイい勢いでコッチに駆けて来た。 愛されてるネ、先生。

でも残念ながらイルカ先生はオレ達と一緒に里へ帰るんだヨ、木の葉の忍びだから。 ごめーんネ?