あなたならどうする? 13
@AB
CDE
FGH
IJK
MN
テンゾウ。 木の葉の三忍をも凌ぐ忍び、白い牙の残した天才忍者のはずのオレですら、分からないヨ。
オレもネ、お前と同じ。 さっきから胃の上と肺の間にある肉がキュウキュウと痛むんだよネ・・・・
急に勢いを無くしてシュンとしたオレ達に、三代目はヒロとコバのこの前の活躍を語って聞かせてくれた。
部下の働きを褒めて、オレ達を元気付けようとしているのはミエミエ。 いつもなら嬉しいはずなのに。
そんなこと全部知ってます、本人達から聞きました。 なんて、言っちゃいけないと知ってるクセに。
年寄りは同じ話を何度もするんだよネ、そんなこと知ってる。 ちゃんと聞いてあげなきゃいけないのも。
三代目がヒロとコバを褒める度、分かったよもう! って言いたくなる。 オレ達の可愛い部下なのに。
「あ奴らを褒めてやれ? イルカを味見せずに、ちゃんと薬を取りに戻ったんじゃからの。」
「「・・・・・・・。」」
「イルカに何かあると、うるさい奴らがおるでの。 ほほほ。」
「「!!!! それっ!! ・・・・ 誰の事ですか?!」」
「ん? アスマと紅じゃ。 特に紅は昔からイルカを弟の様に可愛がっておっての? まるで小姑じゃよ。」
「「・・・・・・なんと、まあ意外な事実・・・・。」」
三代目が口にしたうるさい奴らと言うのは・・・・ アスマと紅なの?! アカデミー生じゃなくて?!
火の寺から木の葉に帰って来たら、アスマの小姑っぷりが発揮された? 紅が煽って?! なにソレ!!
イルカ先生は昔からなぜか、男に言い寄られる体質だとぉ?! ・・・・・これが紅の見解なワケネ?
ウン、色事にかけちゃ、クノイチの見解は正しい。 ・・・・ヒロも・・・・ 必死こいて言い訳してたし。
それに変化してたけどオレ達も。 イルカ先生の可愛い笑顔を見て、アレの尻を弄ってみたい、って。
思ったヨ! 確かにそう思ったっ! なんか・・・・ イルカ先生って、妙にソソルんだヨッ!!
・・・・紅は、山から下りてきた自分の男と組んで、イルカ先生をガードしてたんだ? グッジョブ紅!!
「三代目。 コバ達が援護に行ったその時の任務、大名の城に潜入してたのはひょっとして・・・・?」
「うむ。 上忍の如月と中忍の紅の二人じゃ。 如月とは、教師になるまで潜入部隊で一緒じゃった。」
「・・・・・だからか! 中忍の男を・・・・ 発情してるクノイチの所に安心して走らせたのは!」
「“母ちゃん”“姉ちゃん”と慕っておるクノイチを襲いはせんじゃろう、いくらなんでもの。」
ヒロ達が深読みしたコトは全部、先生本人の人間関係の証ってコト? 裏の裏を読むより表を読め、だった。
・・・・ちなみに質問なんですが。 三代目、イルカ先生にオレ達の名前・・・・ 教えちゃったりは?
してない? ・・・・・ですよネー? そんなの、我らが三代目火影様が教えるワケないですもんネー?
・・・・・・へ? 暗部の四天王の名前は知れ渡っている? 他里では面の種類まで知られているっ?!
「お主ら、自分達のネームバリューを過小評価しすぎじゃ。 里では知らん者はおらんぞ?」
「「 ・・・・・・・え゛?! 」」
「オレの片目の写輪眼は・・・・・・」
「ボクの木遁は初代様の・・・・・・」
「そんなの今更じゃろ。 里が出店しとる火の国の土産物屋では、四天王グッズまであるぞ?」
「「・・・・・・・マジでか?!」」
・・・・・なあテンゾウ。 オレ達暗部はサ、火の国の花街でバカ騒ぎするケド。 ひょっとしてモグリ?!
里のどんより暗い裏事情は超詳しくても、表向きの部分って・・・・ 実は全然知らない・・・・・・ とか?!
・・・・・部下はサ、そんなオレ達を尊敬してついて来てくれてるよネ? そうだヨ、部隊は自分自身だヨ!
忍びは裏の裏を読め、一を聞いて十を知れ、口をすっぱくしてそう教え込んだのは、何を隠そうオレ達だヨ!
ウチのヒロヤも、テンゾウのトコのオコバも、ちゃんと物事の裏を読み、少しの情報から答えを導き出す。
オレ達を慕ってくれてるし、何より部隊の仲間を大切にする気持ちは、まさに暗部の結束力そのもの。
そんな隊員達にしたのは・・・・ 今の超ポジティブキング思考の部下を育てたのは・・・・・ 実はオレ達??
「そうさな・・・・・【仮面の忍者 木ノ葉】は、お主達、木の葉の暗部がモデルじゃよ?」
「「仮面の・・・・ ?? なんですかそれ。」」
「ほほほ! お主達ももう少し、ちまたの情報を収集せねばならんぞ? 殺すだけが忍びじゃなかろうて。」
「「・・・・・・・・・・。」」
仮面の忍者木ノ葉は、今火の国で大人気のTVアニメだそうだ。 動物の面ではなく、仮面舞踏会の様な面。
火の国にあるという里が経営する土産物屋で、四天王グッズが飛ぶように売れてるのもそのおかげだとか。
昔話にある“うらしま一太郎”って、こんな気持ちだったのかな、って。 今ネ、一太郎に激しく共感中。
テンゾウ、取り合えず・・・・・ 明日からその“仮面の忍者木ノ葉”っていうのを観てみようネ・・・・。
ま、でもその前に、イルカ先生を本物の情人にしよう? 脅しはもうなし! でも責任はとってもらおう。
さっきのお前とオレの胸筋の痛みは明らかに、俗に言う“胸がキュンキュンする〜!”ってヤツだヨ。
先生にオレ達のコトを知ってもらいたいってサ、これってアレだよネ、恋とか愛とかの類でショ?
だからイルカ先生に、暗部の部隊長ふたりを恋に落とした責任を。 名前以外のオレ達を知って? ってネw