あなたならどうする? 5
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思い立ったがなんとやら。 心配になったカカシ先輩とボクは、猿部隊と酉部隊の隊員に話を聞きに行った。
ところがどちらの班の隊員に聞いてみても、イジメがいがあるM属性の情人の影はチラつかなかったんだ。
一人だけムキになってたヤツがいたなぁ。 酉部隊の補佐 大五郎が。 アイツ、アズサさんの鉄拳ラブだし。
“ワタシはドMじゃないわよ! 部隊長だけに殴られるのが好きなの! 一緒にしないで!!”って。
先輩もボクも、それをM男と呼ばずなんて呼ぶんだ? とツッコミたかったけど、話が長くなるからやめた。
まあ、ほおっておいてもあの様子じゃ大五郎は、自分以外のM属性をアズサさんには近付けないだろう。
ボク達の部下の様に、一致団結して “情人を一緒に守ります” 的な熱いムードにはならないな。 うん。
酉部隊は大五郎が率先して、アズサさんの情人チェックをするだろうから、M属性なら排除の方向だ。
逆に猿部隊はなんだか・・・・ ボク達の部下よりも熱くて大変だった。 しかも涙声になるヤツもいたし。
そうだよな、猿班の隊員はM属性でもなんでも、カオルさんが囲う様な情人がいたらもう大騒ぎだろう。
“本当にそんな情人がいたら大宴会です! だって俺ら、部隊長の子をもう何人殺したか分かりません!!”
無駄にそこらじゅうで種をばら撒いてるから、いつもその後のフォローは隊員達が手分けしてするそうだ。
つまり、カオルさんの子を孕ませない為に種の抹殺を徹底してるって事。 だいたい想像できるけど。
カオルさんが喰った女には、後で一時的不妊薬を何らかの形で飲ませるんだ。 飲み物とかに盛ったり、ね。
敵の間者でも洗脳して部隊長の情人にしちゃいます! とか言い出した日にゃ、さすがのボク達も同情した。
カカシ先輩、ボク達は部下に飴と鞭を上手に使い分けてますが・・・・ あの二人って、鞭ばっかですよね??
今更素朴な疑問なんですが。 あれだけ傍若無人な振る舞いなのに、なんで人望が無くならないんでしょう?
え? なんですか?? 自分達がいなきゃこの人駄目だろうと思わせる一種の保護欲?? ・・・・なるほど!
まあ、それにプラスして実力の差だし。 う〜ん、二部隊は・・・・ まさに割れ鍋に綴蓋部隊なんですね。
今のところ、実害は戌班と猫班だけ。 これはうみの中忍本人を絞め上げるしかない、っていう事になった。
戌班のヒロヤは溜めちゃうタイプらしいから、吐き出させてあげよう。 ウチのコバは妙に盛り上ってたしね。
先に里に戻ったという戌部隊のヒロヤを待機所に呼び出した。 暗部待機所で待つコト2分。 お、優秀!
「ヨ! ごめーんネ、休んでるトコ呼び出しちゃってサ。」
「しかも思いっきり私用ですからね。 ・・・・ごめんよ?」
「・・・・・おふたりそろってという事は、口止めですね。 出過ぎた事言ってすみませんでした。」
「「・・・・・・・・。」」
凄いなぁ、バッチリ信じ込んでる・・・・ 一体ボク達の知らないところで何があったんだろう??
カカシ先輩の部下も、もちろんボクの部下も、暗示にかかる様な馬鹿はいない。 洗脳だって無理だろう。
どうみても、極秘のはずの部隊長の私生活に、つい口を挟んでしまった至らない部下そのものだ・・・・・。
ってか、本人が本当にそう思っているから当然そう見えるんだけど。 フリをしてる訳じゃないから。
先輩、これは・・・・ 本当の事を言って聞き出したら・・・・ かなり撃沈しますよね、ヒロヤ・・・・。
ここは一つ、ここまで沈黙に耐えてた彼の為を思って。 乗りますか話に。 自然な形で聞き出しましょう。
カカシ先輩が目で “気を遣わせちゃって悪いねぇ” と言ってる。 ふふふ、毒を食らわば皿まで、ですよ!
「あのサ、お前に大事な話がある。 コレは本当に極秘事項なんだヨ。」
「知っての通り、ボク達は・・・・ 里側からもキツク言われているんだ。」
「・・・・やっぱり、そうだったんですね・・・・。 部隊長、おれ・・・・」
「だからお前に、繋ぎの役目を頼んでいいカナ? ホラ、公に出来ないしサ・・・・」
「!!! おれ、あんな人気の多い場で口走ってしまって・・・・ 本当にすみませんでしたっ!!」
「ふふふ、それはもういいよ。 先輩にも聞いたけど、済んだ事だから。」
「・・・・おれ・・・・・ おふたりにこんなに信頼されて・・・ 嬉しいですっ!」
「アー まあ、そういうワケで・・・・ 早速お願いっ! お前が知ったいきさつを教えて??」
さあこれからうみの中忍情報を聞き出そう・・・・ と思ったら、急にヒロヤの表情が険しくなった。
・・・・?? 今、待機所にはボク達しかいないから面を頭の後ろに回してて、互いの表情は丸見えだけど。
眉をしかめて・・・・ そんな言いにくい様な事?? 騙されてるとは感じさせてないでしょう? ボク達。
じっとボク達の目を見つめて・・・・ やがて何かを決心したらしい。 ふぅー、と長い息を吐いて聞いて来た。
「絶対に同胞を傷つけないと誓って下さい。 うみの中忍には喋らないと約束したんで。 破りますが。」
「「・・・・・・・・・う、うん。 約束する・・・・・。」」
「あと・・・・・ おれらの最初の態度にも・・・・ その 怒らないと言って下さい、知らなかったんで。」
「「・・・・・・あ、うん。 それも約束する・・・・・。」」
「ほっ、よかった。 あれは・・・ おれと猫部隊のオコバが、追加の援護任務に向かった先の現場でした。」