あなたならどうする? 6   @AB CDF GHI JKL MN




三代目に呼ばれた。 任務補助に向かった中忍迄戻らない為、援護任務に向かってくれというもの。
元々は、木の葉のクノイチふたりが側室に扮して、狙われている大名の城に潜入し、護衛に就いていた。
クノイチとはいえ上忍と中忍、ちょっとやそっとの忍びでは太刀打ちできない。 なのに予想外な事が。

外遊してきた大名が、どこかの里の忍びの色を味見。 けれど相手は遊女、仕事なのに完全な逆恨みだ。
とにかく、その遊女を身請けするつもりだった忍びが逆上して、ウチの国のその大名に仕返しするらしい。
そう言って大名の首を取るのが本当の狙いだったのかもしれないけど。 ずいぶんお粗末な殺人予告だ。
あまりにお粗末な理由なので、暗殺に来ても二〜三人だと踏んでのツーマンセル。 実際に来たのは七人。


まあ、それでもさすが木の葉のクノイチ。 ふたりで七人もの忍びを返り討にしたはいいが・・・・
どうも相手の忍びがクノイチを拉致しようと思っていたのか、輪姦予定だったかどうかはわからないが、
刃物に媚薬が塗られていた。 七人もの忍び、それも男が相手。 無傷という訳にはいかず、怪我を負った。

当然だがクノイチは、ほとんどの媚薬に対して耐性をつけている。 けれどそれは忍びだとバレてない時だ。
相手に忍びだとバレていて、一般人なら興奮して呼吸過多、致死量に値する物を使われてしまえば話は違う。
傷口から直接入った媚薬に、ふたりのクノイチはさすがに焦って、里に中和剤の調達を頼んで宿に籠った。
ひょっとしたら、木の葉のクノイチが最初から狙いだったのかもしれない。 なら大名の暗殺予告は餌だ。


「そ奴に中和剤の薬を持たせて、要請のあった宿に走らせたんじゃが・・・・・。」
「三人とも戻って来ず、連絡もない・・・・ って事ですか。 三人の安否も気になりますが・・・・。」
「うむ。 七人もの忍びを向けてきたのじゃ、もしかしたら他に潜伏しとる奴らがおるやもしれんの。」
「では警護対象のいた城での討ちもらしを始末した後、待機中の宿周辺の安全を確保します。」

「そうさな・・・・ 念の為もう一人連れて行け。 どの部隊からでもよい、手の空いてるヤツをな。」
「了解しました。 ここを出て一番に会った隊員を連れて行きま・・・・ あ。 オコバ!」
「おお、オコバ。 戻ってすぐの所悪いんじゃが、ヒロヤと動いてくれ。」
「り、了解です!」

丁度その時、猫班のオコバが報告に入って来たので、三代目はおれと組ませた。 二人だけど合同任務だ。
敵忍が潜んでいた際、残らず狩る事。 城下町の宿にいるというクノイチ達の保護と任務補助中忍の発見。
簡単に任務内容を説明して、戻ったばかりのオコバと、ツーマンセルの援護任務に行く事になった。

「ヒロヤ、オコバ。 ・・・・迅速、かつ確実にの?」
「御意、戌部隊 ヒロヤ 行ってまいります。」
「御意、猫部隊 オコバ 行ってまいります。」
「うむ。 頼んだぞ?   ・・・・・・・・・・散っっ!!」



しかし・・・・ 任務補助の、更に援護任務って・・・・ どうよ? 信頼できる中忍だと言ってたけど。
城内や城外を確認したが忍びの気配は感じられない。 クノイチ達が討ちもらした敵忍はいないって事だ。
よし、クノイチ達が中和剤を待っている宿の安全を確保しよう、任務補助に向かったはずの中忍は今どこに?

「・・・・・ここか。 コバ、上から行くか?」
「おう。 忍びは屋根裏がお気に入りv ってか?」
「はは! ・・・・あ。 三人ともいるぞ、チャクラめちゃめちゃ入り乱れてる・・・・・。」
「・・・・お! ほんとだ。 媚薬のせいか美味しそうな気配だなー マジで。」

そして、その美味しそうなチャクラが漂ってる部屋の真上に侵入したら、男が襲われそうになってた。
今まさに、クノイチ達に追いつめられてる。 任務補助に向かった中忍というのは・・・・・ この男か。
てか・・・・ 正直いい思い出来るんじゃないか、これ。 里のクノイチとヤれるなんて、とか思った。
でも情けないよな、男が。 仮にも中忍だろ?? いくら味方とはいえ、中和剤だって・・・・ あれ??

「あっ!! 暗部っ!! ん、ちょっと、見てない、で・・・ なんとか、うぅ・・・ して下さいっ!」
「お。 見つかっちゃった・・・・ なあ、ヒロ。 あの中忍、結構目ざとい??」
「あっちは転がってて、おれらは天井板はずして覗いてるんだから、普通に視線の先にいるだろうが。」
「ははは、そだな。 てか、なんで中忍、頑張って抵抗してんの?」


そうなんだよな、結構おいしいと思う所だよ、本来なら。 よくよく見ると、他に二人の死体が転がってた。
やっぱり目的は木の葉のクノイチ拉致だったみたいだ。 敵忍らしき男が二人、死んでる。 やるなぁ!
あんな状態でまだ敵忍を退けたのか。 やっぱウチのクノイチは・・・って、感心してる場合じゃなかった。
それでもさすがに限界なのか、はぁはぁ息の荒いクノイチが、これまたハァハァしてる男に・・・・ ??

「なぁ。 なんで中忍まで、ハァハァしてるの?」
「そう、おれもさっきそう思ったんだよ。 なんでかな、って。」
「・・・・・・あ。 腕、ちょっと切られてる・・・。」
「・・・・なんとなくだけど、状況が読めて来たな。」

敵が媚薬を刃物に塗ってたのは、報告があったから確かだろう。 クノイチ拉致が目的だったんだから。
媚薬で弱めたクノイチを攫うつもりで・・・ 最初から死んでるヤツも含めて九人が来てたんだ。
待てど暮らせど朗報がない、その待機組? とにかく傍観して女を待ってたヤツらはビビっただろう。
クノイチを拉致してくるはずの仲間が、誰ひとり戻って来なかったのだから。 でも好機は訪れた。

城を出てきたクノイチ達は、どうやら手傷を負って城下町の宿に籠るらしい。 後をつけたんだ、そっと。
ウチのクノイチ達の実力は、仲間七人が殺られたのだから痛感しているはずだ、うかつには近寄らない。
媚薬が体中に回るのをじっと待っていたんだろう。 そこに男がのこのこやって来た・・・ ってな感じだな。

きっとクノイチ達が処理の為、若い商売者を呼んだと思ったに違いない。 市井に出る為か紺の着物姿だし。
あの中忍には悪いけど、三代目に聞いてなきゃ・・・・ とても忍びには見えない男だ、顔に傷はあるけど。
ひよっとしたら潜入員かも・・・・ まあなんでもいい、とにかく奴らにしてみたらチャンス到来だ。
男に跨ってる間なら隙だらけ、クノイチを捕縛しようと部屋に入ったらまたも反撃、の線で間違いないだろう。