あなたならどうする? 14
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昔から先生を、弟の様に可愛がっていたというクノイチの紅さんは、きっと入れ知恵したんだろうな。
“俺ノーマルなんですよ すみません、古臭くてv” とか。 当たり障りのない返事を教えたかも。
そういうの言われちゃったら引き下がるしかないもんね、遠回しの“ゴメンナサイ!”ってヤツだし。
先生の過去の弱みを掴んで逃げ道をふさごうとしたけど。 イルカ先生には弱みなんてなかったんだ。
里の誰もがボク達の名前を知っていた。 男にばかり言い寄られるイルカ先生は、妥協しなかっただけ。
本当に、なんとかしてその場を切り抜けたかっただけなんだ。 相手は自分より遥かに強い暗部だしね。
だって一度でも前例を作ったら・・・・ 男もイケる! な噂が流れたら、我も我もと寄ってくるのは確実。
教師になる前は潜入部隊に所属だもん。 噂がどれだけの速さで広まるのかなんて、一番知ってるだろうし。
ならコバ達には、とっくに本当の事を言って謝ったのかもしれない。 アイツらはまた深読みして・・・・
“喋ったら本人でも叱られちゃうんだろうな ずっと日陰生活を送ってきたんだな” なんて思ったかもね。
昨日、変化したコバ達の指に傷があったから、先生は三代目を介してバンソウコウを差し入れたそうだ。
正規の忍びのイルカ先生は、自分から暗部に接触できないから。 暗部に動物柄のバンソウコウって・・・・。
アカデミーの子供達も、変化してる暗部の子供も。 イルカ先生にとっては“怪我をした子”に変わりない。
雄のくせに。 妥協しない精神力を持ってるくせに。 笑った顔が可愛い。 ほんと、先生って・・・・。
ボク達暗部だけが、何年も時代に取り残された感が漂った火影室。 霧が晴れたのはそんな先生のおかげ。
だから先生が本当の情人になってくれれば、ボク達はそれだけでもう、時代に取り残される心配はない!
なんとイルカ先生は、任務受付所の受付係もしてるらしいよ? 任務受付所は里の表事情の宝庫だもん!
先輩は恋のトキメキだと言った。 やっぱり恋人、情人ともなれば、互いの短所は補うものだよね?
・・・・とか、いろいろ理屈をこねてみたところで、イルカ先生の尻を弄り倒したいのもボク達の本音。
見てるだけでいいのv オナペットになってもらうだけでいいv なんて。 所詮、暗部とは縁遠い発想。
至極まっとうな理由で責任追及をさせてもらう。 “貸し借りナシ!”だ。 ボク達を知ってもらおう!
ちょこっと薄く怒気を滲ませて先生に詰めよれば。 潜入部隊にいたというイルカ先生なら模索する。
イルカ先生の中では、大した嘘じゃないと思っているはず、もう済んだ事だと認識しているかもしれない。
ショボイ嘘がばれてしまった、ボク達のプチ怒気を静めるのには、どうすれば許してもらえるだろう、って。
ところが先生は何を勘違いしたのか、あの任務の話を蒸し返し出した。 ちょっと! 元潜入員でしょう?!
ここは交渉するトコロだよ? “ご迷惑かけたみたいですみません 今度ご一緒に食事でも・・・”とか!
そこからちょっとずつボク達を知ってもらって、それから本物の情人にステップアップだ! な、作戦が。
これにはさすがの先輩もイラッとしたようで、先生の懺悔話を途中でぶった切った。 全くっ!
「違うでショ? 今更そんなコト聞きたいワケじゃないのヨ。 事情は部下から全部聞いてるし。」
「え?! ・・・・・・でも・・・・・ 俺はちゃんと釈明を・・・・・」
「・・・・・ボク達は“どうしたらチャラにしてもらえますか?”的な言葉を聞きたいんです。」
「えっと・・・・・では、お言葉に甘えまして・・・・“どうしたらチャラにしてもらえますか?”」
キターーーー!! 来ましたよ、カカシ先輩、直球で来ました!! これで貸し借りはナシですね!
ちょっと直球過ぎますが、イルカ先生から取引を申し出る形になりましたよ! やりましたねっ!!
“今度ご一緒に飯でもどうですか?”“お詫びの印です、差し入れは何が良いですか?”とか。
いろんなバージョンを想定してたけど、先生の罪悪感を払拭してあげればその提案は何でもいい。
名前だけの知り合いから、顔見知りになって、何回かお外でデートして、それから本物の情人にする!
これは火影様曰く、小姑でもある紅さんとアスマさんが考えているところの、恋の手順らしい。
よし、これを足がかりにうんとPRして、イルカ先生をメロメロにするぞ! ・・・・・と、気合が入り過ぎた。
「「 本物の情人になってっっ!! 」」
「・・・・・・・・・・え。」
・・・・・・・あ。 ・・・・・・恋のホップステップジャンプが。 すっ飛ばしちゃった・・・・。
答えはなんでもよかった。 “動物バンソウコウ、ボク達にもちょうだい!”“おにぎり握ってきて?”とか。
そしたらまたイルカ先生は、クスッって・・・・ コバ達に見せたあの可愛い笑顔で笑ってくれると思った。
カカシ先輩、これって当初ボク達が予定してた“逃げ道を無くした脅し”ですよね? 先生、引きつってます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・妙な沈黙の間が痛いけど・・・・ まぁ、いっか!