暗殺工作員の恋心 13
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『『ねえ、最強ペット君のイルカv 私達お願いがあるの。 聞いてくれる?』』
『・・・・淋しいから男ひっかけに行こう? っていうのは無しな?』
『『もうっ! なんであんたはそんなに現実的なの?!』』
『・・・・あのな、ペット君は暗殺工作仕様だから、他では通用しないぞ?』
『違うわよっ! ほんとに男って・・・・ まあいいわ。』
『アタシ達が先に死んだとしても、恋心は内緒にしておいてほしいの。』
『・・・・・・なんだよ。 俺のが早く逝くって、いつも言ってるのに。』
『『ふふふ、忍びだもの。 誰がどうなるかなんて分かんないじゃない。』』
『うん、確かに。 墓場まで秘密を抱えて逝く、って事?』
『『そうv この綺麗な恋心だけは永遠に自分のモノなのvv』』
『わっかんねー お前らの死後何年か経って、偶然どこかでそれらしき人に会ったらどうする?』
『『・・・・・・。 そんなのあるワケないじゃない、イルカ、暗殺工作員だし・・・・。』』
『・・・・・・お前らが大ファンだった、ってのは伝えてやろうか?』
『『ぅ・・・・。 そ、それぐらいならいいわよ?』』
『・・・・・・・・・・・・・。 おー 赤丸急上昇中のクノイチ達が照れてる・・・。』
『『むかっ!! こうやって純な心をいつでも思い出せるのよ?! 羨ましくないの?!』』
『お前らの綺麗な恋心、ってヤツをこそっと伝えておいてやるよ、心配すんな。 あははは!』
『『きーーーーっ!! こんなのが暗殺工作員だなんて、絶対詐欺よっ!!』』
なあ、ほんと、お前らって見る目あるな。 あんな忍び達、他にいないぞ? なんで告白しなかった??
こういうのが木の葉の暗部なんだ、って。 マジで感激した。 俺ごときじゃ殺れないな、って。
・・・・ははは、いつもここで見てるから、それは知ってるか。 うん、とにかく二人ともイイ男だよ。
でな? お前らに謝んなきゃならない事があるんだ。 色んな話をした。 お前らの気持ち以外にも一杯。
お前らとツルんでた時みたいに。 ここだけの話だから、って。 なんでも信用して話せたんだ、俺。
冷静で隙がなくて、紳士的で優しくて。 まあ、男同士だから・・・・ いわゆる俗物的な話もするけどな。
「二人と話してるとな、時間が経つのが早くて・・・・ お前らとの時間が戻ったみたいだったよ。」
最初、お前らの目と耳になってるつもりだった。 もし生きてたらこんな会話してたんだぞ、とか。
馬鹿だな、告白しなかった事、後悔しただろ? って。 思い出を形にして届けてやるよ、とかな。
でもお前らの気持ちが乗り移ったみたいに、二人にどんどん惹かれていった。 それは話せば話すほど。
心の中に留めておく・・・・・ そんな奇跡みたいな真似、俺には無理だったよ。 お前らは凄いな。
「まさか俺自身が・・・・ こんな形で裏切るなんて・・・・・ ごめん。」
あー 抱いてとは言ってないぞ? 縛ってもらったよ、二人に。 暗殺工作用の痕をつけてもらった。
嫌われてもいい、俺の体にカカシさんとテンゾウさんを刻み込みたい、そう思ったら口に出してたんだ。
って、・・・・・ごめん。 言い訳してるな、俺。 本当は俺の意思。 二人の体温を感じたかった。
お前らが、永遠に自分のモノだと言った恋心を・・・・ 横取りしたんだ。 そうだよ、俺は・・・・
「俺は・・・・・ どうしょうもないほど・・・・ あの二人が欲しい・・・・・。」
首と腕に痕をつけてもらうだけ、それだけだったのに。 何度抱いてと言いそうになったか。
動作の一つ一つに優しさを感じたんだ。 力任せじゃなく、痕を確かめながら少しずつ縛ってくれた。
そんな余裕があるか? 普通。 二人は悪ノリする、って言ってたけど。 悪ノリの意味が違ったんだ。
お前らが言った“あの暗部がよ?!”の、意味が分かった。 俺が狩った元暗部の男達と全然違う。
ああ、これが・・・・ お前らの心に留めたかった綺麗な思い出か、俺に自慢したかった男達かと。
口ではごめんと、謝ってみたけど・・・・ どうしても快感を受け入れてしまうんだ、俺の心と体が。
自分の今迄の体験が、これほど恨めしく感じた事はなかったよ。 体感して初めて気付いたんだから。
俺もお前らと同じで、最初に気付けていたら。 綺麗な思い出として、胸にしまっておけたかもな。
でも俺は・・・・ お前らの言った様に鈍感だから。 情と何が違うのか、それすら分からなかった。
実際に肌で感じた二人の体温が・・・・ これが恋心なんだな? 泣きたいほど心地よかったよ。
「これ以上お前らの恋心を汚す訳にはいかない。 だから俺は・・・・ 二人から離れる。」
ひたすらあの優しい縛り痕が愛おしかった。 あんなに落ち着いて任務に出たのは始めてだったんだ。
俺は体感しなくちゃ気付けなかったけど、お前らはこんな気持ちで任務に就いてたんだな、って。
少しだけ羨ましかった恋心を実際に知って。 もの凄く心が温かくなった。 お前らの言った通りだな。
この思い出が心にあれば、どんな事でも耐えられる。 まあ、俺のは肉欲という邪道な恋心だけど。
「今離れないと・・・・ もしまた二人に会ってしまったら俺・・・・・」
「ウン、オレ達に会ってしまったら?」
「どうなるんですか? うみの中忍?」
「っ?!」
「 カカシさん・・・・ テンゾウさん・・・・・ どうして・・・・・ 」
「あんまり帰りが遅いからサ。 チョット三代目を脅してみた。」
「まあ、脅しと言っても・・・・ 泣き脅しですけどね? ふふ!」
「・・・・・・・・・。」
もう会わないつもりだった。 あのベテラン潜入員の様に、俺も木の葉を出て他国の草になろう。
もし俺が恋心だけじゃなく、本人達を望んでしまえば、今度こそアイツら自身を裏切る事になると。
いつも慰霊碑を覗いてくれてた事は予想がついた。 だってあんな忙しい人達が、毎回里に居る訳がない。
きっと俺の帰還に合わせてくれてるんだ、って。 だから三代目にお願いした。 今回俺は・・・・
そのまま次の任務に出てしまった事にしてくれと。 そして同時に他国へ滞在する許可を求めた。
里からの繋ぎは時間がかかるけど、他国に潜伏し、要請がある度に暗殺工作員として任務を請け負う。
だから懺悔と、長期のお別れ報告をしていたところだ。 今、ここで・・・・ アイツらに・・・・