暗殺工作員の恋心 3
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『お前らなら、ちょっと本気で誘惑してみれば良いんじゃないの?』
『別に思い出に抱いて欲しいとか、そんなのじゃないのよ。』
『自分の中にある純粋な恋心を愛でたいだけなの、分かる?』
『・・・・・・・・あー ごめん、全然わかんないや。』
『『あははは! やっぱり! イルカだもんねー?』』
『む! それがチームとしての言葉か?!』
『イルカだから言うのよ。 アタシ達はずっと三人一緒だったでしょう?』
『他の潜入員になんて・・・・ 言える訳ないじゃない、ご法度だもの。』
『・・・・なあ。 足元すくわれて・・・・ 俺より先に逝くなよ?』
『『な!! それはあんたでしょう?!』』
『『チャクラ封印、いい加減やめなよね!! 一番に死んじゃうわよ?!』』
『心配ご無用。 これでいいんだよ、俺はシェアが小さいんだから。』
『『そういう問題じゃないのっ! バカイルカッ!』』
久々の里帰り、あの人に会ったのも驚いたけど、この成り行きにも驚いた。 なんと両サイドから告白劇が。
・・・・・・暗部を慰霊碑に連れて来て告る、っていうのは、なかなかいいとこついてると思うけど。
仲間の忍び達の前で聞いて欲しい、私達の思いは誠実なんです、的なPRをしようと思ってたんだよな?
タイミング悪!! 俺は墓地のほぼ中央に居るんだ、今。 少し離れた右側と左側からの声を拾った。
「里の仲間は抱かない事にしてる。 優しく抱く趣味はないからね。」
「・・・・・・・・そ、そうなんですか・・・。」
「淋しいからどうしても、っていうならネ。 でも他は求めないで?」
「・・・・・・・・そんな・・・だって・・・。」
「ありゃりゃ? テンゾウじゃないの。 アー お前ナニやってんの?」
「うわ、カカシ先輩!! なんでそんなとこに居るんですか、もう!!」
「「?! あ・・・・あの・・・ 失礼します!!」」
呼び出された暗部二人は知り合いの様で、これまた告ったクノイチ同士も知り合いの様で。
バツが悪くてクノイチ達は逃げる様に去って行った。 わー ついてないね、お二人さん。
・・・・・てか、聞き覚えがあるぞ、俺。 あの体の良いお断り文句は・・・・・・ まるで・・・・・
いや、俺が偶然にも居合わせて、たまたま聞いてしまっただけで・・・・ お前らか? お前らが呼んだの??
いつだったか二人が俺に自慢げに語った。 媚薬香で朦朧としてた時、自分達に見向きもしなかった暗部。
アイツらのターゲットはビンゴブック級の忍びだったから、その時、死体処理に来たのは二人の暗部だった。
廓に潜入、二人がかりで仕留めたはいいが、媚薬香が抜けなくて、火照る体を持てあましてたらしい。
相手は暗部、そんな美味しい状況見逃すはずはないのに。 それからアイツら、うるさくって、もう・・・・
偶然は信じないんだ俺。 まあ、忍びは皆そうかもしれないけど。 今ここで、お前らと話している時に。
お前らが言ってた様な台詞を吐く暗部二人が、クノイチに告白されてる現場に居合わせた。 これって??
俺にお前らが心で思ってた二人を見せたかったのか? ・・・・・ははは、そうと決めてかかってるけど。
同じ様な体の良いお断りの台詞と、暗部が二人、ってだけで。 ああ、あとはこのタイミングな?
この三つの要素だけで、何か意味がある・・・・ だなんて。 くすくす! 忍びにあるまじき発想だな、俺。
どうしてくれんだよ。 お前らのせいで、俺までロマンチスト系な思考に侵されそうになったじゃないか。
俺はこうみえても、男に可愛がられるか弱いペットちゃんなんだぞ? 今更、恋心もクソも・・・・・・
「ナ〜ニ? そんなに面白かった? 見物料取っていい?」
「ぷっ! くすくす! なんですか、それ。」
「や、確かに面白いですよ、サラウンド告白ショー。」
「あはは! 可哀想に。 あのこ達は意を決して・・・・」
「「あんな本気なのは勘弁。」」
・・・・・・・。 あー やっぱりね。 体の良いお断りだったか。 他人事だけど、ちょっと可哀想。
可哀想になと同情する思いと、そういう感情は邪魔だという思い、どっちも今、俺の中に存在してる。
うっ! なんだか本当に・・・・ この暗部二人が、アイツらの思ってた二人に思えてきたよ。
うん、これも何かの縁だな。 別に違ってても、そうであっても。 ここに偶然居合わせたんだから。
「あなた、里であんまり見かけない顔ですね。 や、ボク達もウロウロしませんが。」
「ふふふ。 俺、潜入員です。 只今里帰り中で、またすぐ潜ります。」
「そっか! だから見かけないんだ? 一度会ったら忘れないもんネ、その顔の傷。」
「この傷のおかげで色々得してるんです、俺。 ふふふ。」
「チョット 意味深な言葉だネ?」
「さすがと言うか。 興味津々。」
「・・・・・・・くす! あの。 お願いがあります。 聞いて下さい、口止めがてら。」
「「・・・口止めなんてする気ないけど、一応聞いてあげるよ。 なに??」」
今日はお二人とも面をしてらっしゃらないようですが・・・ ここで暗部に会えたのも何かの縁です。
実はここに、俺のスリーマンセル仲間が眠ってるんです。 で、二人は暗部の大ファンだったんですよ。
特に戌部隊と猫部隊の。 だからお願いがあります。 二人に声をかけてやってくれませんか?
死んだ人間に何言ってるんだ、って言われるかもしれませんが。 こういう偶然はあんまりないと思って。
「それはまた・・・・・・ 偶然とは思えませんね・・・・」
「へー そんなコトもあるんだねぇ。 フフフ、イイよ?」
「わ、ありがとうございます! アイツら、きっと喜びますよ。」
「暗部戌部隊 部隊長カカシだヨ。 ファンだったって? 照れちゃうじゃないの。」
「暗部猫部隊 部隊長テンゾウです。 どこかでお会いしてたんですね? 光栄です。」
「?! 本当に暗部の・・・・ 戌班と猫班だったんですか?! しかも部隊長って・・・・・」
「「うん。 ほんとう。」」
なんとまあ。 告白されてるからか、面をつけてなかったせいもあるけど・・・・ まさか本当に??
あんまり信じたくないけど。 やっぱこれ、お前らが仕組んだんだと思えてきた。 ・・・・うん。
体の良いお断りの台詞は別として。 凄くイイ人達だな。 お前らが自慢してた気持ち、ちょっと分かったよ。