暗殺工作員の恋心 9
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今日も今日とて。 慰霊碑にいるうみの中忍を発見して話しかける。 お帰り、今回は早かったね、と。
多分、今では火影様よりも、うみの中忍自身よりも。 ボク達の方がうみの中忍をずっと知ってるよ?
慰霊碑に眠る彼女達の思い人だという前提の元、うみの中忍はボク達に依存してる、無意識でね。
立ち去らなかったのが何よりの証拠。 ボク達は暗部だし、絶対里に居るとも限らないのに待ってた。
そりゃ今では、一部隊を預かる部隊長、部下達を動かすのがボク達の仕事。 自ら現場に行くのは稀だ。
ボク達が動く時は、指名か緊急か応援か。 部下が殺られた時の報復はもちろん、三代目の要請で。
どれも迅速かつ確実にこなして来る。 だから帰還も速やかだ。 うみの中忍が里に戻って来た時の為に。
そう、なるべく里に待機していられる様に任務を終わらせて来る。 まあ、部隊長の特権ということで。
その涙ぐましい努力のせいもあり、うみの中忍と出会ってから今迄、一度もチャンスをフイにした事はない。
うみの中忍の言葉を借りれば、依存させていく為に。 ボク達の存在なくしてはいられない様にする為にね。
そしてその提案は突然うみの中忍の口から飛び出た。 うん、待ってたよ? こう言い出すのを待ってた。
クノイチほど逞しく強くはないんだよ、ボク達 男は意外とね。 だから肉欲に負けるのも早いんだ。
とうとう音を上げたうみの中忍が、やっとそれらしい瞳で見つめてくれる・・・・ 遅いよ、もう!
「へー じゃぁ、今度の潜入任務は暗殺工作員として動くの?」
「う〜ん残念、しばらく里に戻って来れないって事ですよね?」
「ええ、そうです。 それで・・・・・ あの、お願いが・・・・・ えっと・・・・・」
「「??」」
言い難いよね? それも知ってる。 だってボク達に、自分の企業秘密を全部喋っちゃったんだもん。
うみの中忍の中でボク達は、彼女達の恋の象徴で綺麗な思い出、汚したくない恋心。 そりゃ葛藤するよ。
仲間を裏切ってるみたいに思うんだよね? 肉欲に負けてお願いしたら、彼女達の思い出を壊すと。
下忍の頃からずっと一緒に行動してたチーム、一番心配かけてたのは自分だったはず、なのに生き残った。
彼女達はほんのり甘い恋心を胸に大切に抱いて死んだのに、自分のしようとしている事は一体何だ?
この体に刻んで欲しいと願うのは、彼女達に対しての立派な背徳行為。 そんな風に感じてるんでしょう?
「いつもはその・・・・・ 自分でつけるんですが。 その方が臨場感が出るかな、なんて・・・・」
「「・・・・・・・・・縛り痕?」」
「ぅ・・・・・ そうです。 お二人なら全部知ってるし・・・・・ その・・・・・」
「ンー もの凄く楽しそうなお申し出だケド・・・・ 残念ながら一個だけ問題が。」
「ははは、やっぱ駄目か。 男相手にしかも暗部の部隊長が、ですもんね・・・・・」
「ブブー 不正解。 楽しそう、って言ったでしょう? 悪ノリしちゃうって事。」
「?! ぇ・・・・・・ じゃぁ・・・・ あの・・・・ 頼まれてくれます??」
「「了解! ノリノリで楽しんじゃうvv」」
三代目に影分身をかけてもらい、自分でつけると言ってたからね。 三代目を介さなくてもボク達がいる。
全部を知ってるのは火影様とボク達だ。 うみの中忍がどうやって標的に近付くのかも知っている。
だからいつか“縛り”を口実に使うと思ってたよ。 ボク達をその体に刻み込みたいんだよね、本当は。
任務を口実にすれば、彼女達に言い訳出来るもん。 実際に抱いてと言った訳じゃない、ギリギリセーフ。
・・・・そう思ってる様だけど。 すっと待ってたんだよ、ボク達。 この機会を今か今かとね。
言葉より雄弁に語るモノ、それはその時の行動。 頼んだ事を後悔するぐらい優しく痕をつけてあげる。
悪ノリする、って警告したよね? どこもかしこも、ボク達のその優しい縛り痕で一杯にしてあげるよ。
「ぅ・・・・・ん・・・・ はぁ、はぁ・・・・・ んん・・・・」
「フフフ、そんな嬉しそうにされちゃ・・・・ 止まらないじゃないの。」
「やだ・・・・・ 首と・・・・ 腕だけで・・・・・ ん、 いい・・・ のに・・・・つっぅ・・・・」
「駄目だよ? 楽しいんだもん。 臨場感出すんでしょう? ほら・・・・・」
「ぁ・・・・・ぁ・・・・・・ んん・・・・・ カカシ、さん・・・・ テンゾウさ・・・・」
「・・・・ン? ナーニ?」
「・・・・・なんですか?」
「ふぅっ・・・・ くっ・・・・ 楽しい? はぁ・・・ぁぁ・・・・・ 嫌わない・・・で・・・ んっ!」
「「楽しいし、嫌わない。 だって忍びはこういの大好きだもん。」」
「ぅぅ・・・・・ んん・・・・・ ん、ごめん・・・・。」
「「・・・・・・・・・・・・・・気にしないで?」」
今の“ごめん”は、ボク達に言った訳じゃないよね、彼女達に謝ったんだ。 ・・・そんなのお見通し。
そうやって謝ったのは、彼女達の残した綺麗な思い出を壊してると思ってる証拠。 実は別人なんだよ?
それを言ってしまったら、うみの中忍はボク達にもう会わないかもしれない。 錯覚だったと思うかも。
ボク達を求める思いも全部。 二人の思い人だと思っていたから、こんなに欲しくなったのかと。
少し羨ましいとも言っていた。 二人の恋心を少しでも知ってみたかっただけ、と錯覚する恐れがある。
だから。 たまらなくなるほど優しく痕をつけてあげる。 どうしてそうまでして痕を残したいのか。
彼女達に罪悪感を感じるのか。 三代目も秘密を知ってるよね、なのにどうしてボク達を頼ったか。
・・・・・それをうみの中忍自身に気付いてもらいたい。 それまでは優しく、ただ優しく縛るだけ。
本当はね、紐で縛るなんてまどろっこしい事はせず、すぐにでも突き入れて一晩中抱き合いたい。
でも今はまだその時じゃない。 もっと、もっと。 言い訳出来ないほどにボク達に依存してからだよ。