暗殺工作員の恋心 14
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あの下忍の連絡係に言伝を頼んだ。 身辺整理が長引きそうなので、戻ったらすぐに任務を下さいと。
そうすれば二人は、俺の帰還情報は知らないはずだから。 他国への潜伏は、まだ許可が下りないけど。
今の内にしばしの別れを言っておくかと、ここへ足を運んだ。 だからここに二人が居るはずないのに。
そりゃそうか。 お二人は火影の両腕とも称される部隊の長だ。 その両部隊長が拝み倒したら?
はは、とことん厄介な相手だな、俺がどうやっても先手を打たれる。 当たり前、里が誇る忍び達だ。
現役暗部に俺が敵う訳ないだろ? それを実感してたはずなのにな。 でも会えたらやっぱり嬉しい。
今お前らの前で言ったばかりの決心が・・・・・ 一瞬にして粉々になった。 ほんと馬鹿だよ、俺。
「・・・・・。 モウ! なんなの、その嬉しそうな顔!」
「・・・・・。 あのね、少しは自覚したほうがいいよ?」
「・・・・・・・。」
「アー “言葉を失った青年”は、任務だけにしてくれる?」
「感情表現が豊か過ぎっ! 心臓に悪いよ、毎回毎回・・・・」
「だって・・・・・」
「「・・・・だって?」」
嫌だ・・・・・ こうなるから会いたくなかった。 あの日、この肌で感じた優しさが全部、甦るから。
声を聞けただけで嬉しい、顔を見れただけで嬉しい、俺の気持ちを察してくれているのが嬉しい。
俺が狩った忍びは皆、この気持ちを味わったのか? だったらありがとうを、言葉通り受け取っても?
駄目だ言ってしまう。 二人が欲しい。 どっちかだけだなんて絶対に嫌なんだ・・・ どっちも欲しい!
「カカシさんとテンゾウさんが欲しい。 ごめんな、俺、最低だ・・・・ 二人ともが欲しい。」
「「・・・・・・・・・・。」」
「そっちに逝った時に好きなだけ殴っていいから。 ほんとうに・・・・ ごめん!」
「「・・・・・・。」」
「カカシさん、テンゾウさん。 俺を愛してくれませんか?」
「チョット!! どんだけ予定を狂わせれば気が済むの?!」
「やっと種を植えたと思ったら、とっとと開花しちゃって!!」
「アンタのコトなんて、アンタより分かってるつもりだったのに!」
「何自分勝手に決着をつけようとしてたんですか、冗談じゃない!」
「・・・・・ご、ごめんなさい。 あの・・・・・ それで・・・・お返事とかもらえたり・・・ します?」
「「 イエスに決まってる!! バカイルカッ!! 」」
「?! ・・・・・・ふ・・・・ふふ・・・ あはははは!! ほんとアイツらみたい!」
「「・・・・・・・・。」」
「「それ。 その事なんだけど。 ・・・・・・・実は違うから。」」
・・・・・・・・・・は? 人違い?? えっと・・・・ それは・・・・・・ どういう意味でしょうか??
自分の意思で俺がアイツらより・・・・ 自分達を選んでくれるかどうかを・・・・ 見極めたかった??
え・・・・・ じゃぁ・・・・・ 俺は・・・・ アイツらを裏切った訳じゃない・・・ そうなんですね?!
ずっと裏切ったみたいで苦しかった。 お前らが純粋に大切にしていた恋心を汚したと思って辛かった。
会ってしまったら、お前らの分まで愛してもらうからと、許しを請うてでも二人が欲しくなると思った。
でも二人は・・・・・。 ・・・・もう知ってると思うけど、改めて紹介するよ、俺のみつけた恋心だ。
アイツらにそう心で話しかけながら、大好きな二人の腕の中に飛び込んだ。 そう、この腕が欲しかった。
俺の何もかもを知っていて、それでも抱きしめ返してくれる。 今も戦い続けているこの力強い腕が。
他里の元暗部の首が、暗部の拷問部で保管されたと聞いたから、今か今かと慰霊碑で帰りを待ってた事。
待てど暮らせど戻って来ない俺を心配して、三代目に確認を取った事。 追い返されて不安に思った事。
どうか今、俺が生きているのか、それだけでも教えてくれと・・・・ 三代目に土下座をして頼んだ事。
・・・・・お二人がそんな、そんな事を? それなら三代目が教えない訳にいかないじゃないか、ずるいよ。
「ふ、っ・・・・ あぅぅ・・・・・・ カカシさん、俺、溶けそう・・・・・・」
「・・・・・ぅっ、 バカイルカ・・・・・ どういう締め付け・・・してんの・・・・ っく!」
「テンゾウさん・・・ んぐっ ・・・・ ・・・・ 気持ち・・・・・ んん・・・ いい?」
「っっ・・・・・ そんな顔で・・・ 聞くな・・・ バカイルカ ・・・くそっ!」
体だけが反応して得た快感と、それに心が伴って得た快感とでは、こんなに違う。 知らなかった、こんなの。
もっと欲しい、もっと、もっと。 普段、部下に命令を下してる時の、冷静沈着な部隊長の顔はいらない。
俺の体で俺を感じて。 俺も二人を感じたい。 どこを触っても触られても、最高に気持ちがいい。
誰に遠慮をすることなく心の求めるままに抱き合う事が、どうしてこんなに安心していられるのだろう。
肌と肌を合わせる事は、お互いの急所をさらす事だ。 それが敵なら、どうしても心の底は緊張する。
たくさんの肌と触れ合っては来たけど。 自分が欲しいと思った相手と肌を合わせた事なんてない。
これが・・・ この、安心してられるのに、溶けそうに気持ちの良い思いが・・・・ 恋なのか・・・・
「ウ〜 屈辱のフィニッシュ・・・・ リベンジマッチだヨ。」
「・・・・・・これで終わリだなんて、思ってないよね?」
「まさか。 ・・・・・・・くすっ! ・・・・次は縛ってみます??」
「「?!」」
「ふふふ・・・・ 墓穴掘ったね? ボク達、凄いの考案したから。」
「わー なんだか・・・・・ 変態チックな雰囲気だ・・・・・」
「フフフ・・・・ またまた〜。 そういうの、結構好きでショ?」
「・・・・・・・・・バレましたか。」
「「「ぷっ!! あはははは!!」」」
お前らは・・・・ 綺麗な思い出の一つぐらいみつけろと、俺に言ったよな? これはそれとは違うのか?
今のこの瞬間は、いつか思い出になるんだよ。 だったら・・・・ 俺はやっぱり人の体温の方がいい。
一緒に泣いて、一緒に笑って、隣にいる幸せを選ぶ。 墓に入る時も一緒だ、これって羨ましいだろ?
さんざん俺に羨ましがれだのバカだの言ってたな? こんな幸せ知らずに逝きやがって、お前らの方が馬鹿だ。
なあ、やっぱりお前らだろ? カカシさんとテンゾウさんに会わせてくれて・・・・・ ありがとうな。
「暗部戌部隊所属 ヒロヤ隊員だ。 ヒロ、って呼んでくれよ。」
「暗部猫部隊所属 オコバ隊員だ。 皆はコバ、って呼んでる。」
「嬉しいよ、あの時の事・・・・ そんな風に大切に思ってもらってた、だなんてな。」
「部隊長に聞かれてすぐ分かったよ。 あ、あの時の美味そうなクノイチだ、って。」
「なあ、地獄の鬼どもを誘惑しつつ、待っててくれよ。」
「こんなイイ女達が待ってるなら、地獄も楽しみだな。」
「あー 俺達は、処理がてら女を抱くんだけど・・・・」
「・・・・こっちでの遊びは大目に見てくれると嬉しい。」
「・・・・女抱く度に、お前らの名前を呼んでやる。」
「・・・・そっちに逝った時、本物を抱かせてくれ。」
「はぁ〜 ウチの里のクノイチはホント優秀だよな。 逝ってからも誘惑するんだから。」
「な? 先に地獄で待っててくれる女がいるなんて。 俺達 暗部にとって最高の贅沢だな。」
イルカ先生のたくさんある髪紐は、全部二人からのプレゼントだそうな・・・ 例の紐のv ←ド変態 (爆) 聖