蒼〈あお〉の一族の呪い 13
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一緒に行った四人が火影に報告するのを、傍で聞いていた。 夕霧暗殺と一族の救出報告を。
夕霧は、自分のせいで起こった領内の事件にケンカ両成敗をうたったが、罪の意識は消えず自害した。
側近が目撃しているので、国主には彼の見た事実がそのまま報告されるはずだ、と。
鉱物研究所は、元々表向きの名称を利用した。 鉱物を研究している所は、様々な精密機械がある。
何かのはずみで爆発が起こると、当然、他の何かに引火して、大爆発を起こす危険性を含んでいる所。
鉱の国の研究施設が、不慮の事故でひとつ無くなったに過ぎない。 科学爆発事故なのだそうだ。
この事故と夕霧の自害を、結び付ける証拠は何もない。 鉱の国は一夜にして、名将と建物を失っただけ。
石隠れの里だけは、他里の忍びの爪痕を、感じ取ったかもしれない。 だが時すでに遅し、敵は去った後。
これが大陸一の忍びの隠れ里の仕事。 木の葉の忍び四人の働きに、ただ拍手を送りたい気分だった。
「お父上の義足は、今作らせておる。 出来上がるまでワシの屋敷に滞在するがよかろう、他の皆もな。」
「火影殿、お礼の言葉もありません。 せめてこの砕けた鉱物を、もらってはくれませんか?」
「任務報酬は、始めにお預かりした鉱石でも、釣りがくるほどじゃ、気になさるな。」
一族の皆は大丈夫な者も含め、木の葉病院へと収容された。 父には義足を作ってくれているらしい。
なにもかも、最初の鉱石ひとつでまかなえる、そう火影は言って、ガンとして他の鉱物を受け取らなかった。
「では、お言葉に甘えて。 今しばらくのご滞在を、お許しください。」
「ほほほほ。 大したオナゴじゃ。 今度生まれ変わったら、忍びとして生きよ。」
「あははは。 その時はぜひ、木の葉の里の忍びでありたいと、思います。」
カカシさん・テンゾウさんは、暗部の中でも部隊を取りまとめている人達、部隊長なんだそうだ。
わたしに種をくれたカオルさんも。 確かに三人で充分だった。 一時でも疑った自分が恥ずかしい。
聞いただけだが、夕霧を暗殺したイルカさんも凄い。 単独で暗殺したイルカさんが、ただの中忍。
暗殺戦術特殊部隊の部隊長、そして忍びの長たる火影。 一体どれぐらい強いのか、想像もつかない。
「こんにちは、イルカさん。 三人に渡そうと思って。 ・・・コレ。」
「こんにちはサキさん。 ?! これは一族の方の・・・・ こんな高価なものを?」
「あなた達に持っていて欲しいの。 わたし達の生きた証として。 父の足の部分です。」
「サキさん・・・・・ では、頂戴いたします。 ありがとうございます。」
彼は、人の気持ちを汲み取るのが凄く上手だ。 あの時も。 始めてココ、任務受付所に来た時も。
レイプされたアサツユを診た時、カオルさんとのコトを話した時、この鉱物を受け取ってくれた事も。
何も言わず、わたしの気持ちを察してくれた。 だからわかる、とてもいい先生なんだと。
「今は学校がお休みなんですよね? ぜひ“先生”のイルカさんを見たかった、残念です。」
「ははは、こんな感じですよ。 何をやってても、俺は俺です。」
「ふふふふ、先生の時のイルカさんが、一番楽しそう、って聞いたんです。 だから。」
「あー あのふたりですね? うん、そうかも知れません。 よく見てるなぁ・・・・。」
「くすくすくす・・・・。 今話題の、三人ですものね?」
わたしが思った通り、あれから恋愛を自覚した三人は、即婚約。 電撃婚約ニュースが里中に流れた。
カカシさんとテンゾウさんは、任務の報告が終わるや否や、火影に、イルカさんとの婚約を宣言したの。
ひとりで婚約破棄を叫んでいたけど、イルカさんは完全にスルーされていたっけ。 しがない中忍だものね。
責任をとると言った暗部のふたりの言葉に感動した火影が“イルカ幸せにな?”と即決で承諾したのだ。
開き直ったイルカさん。 “もう何でもいいです、どうせ俺は断れないんですからっ!”で、婚約成立。
「おふくろ!! ふたりを止めてくれ!!」
「ふふふ、イルカさん、すっかり“おふくろさん”が定着しつつありますね。」
「・・・・全部、カオルさんのせいです。 もう諦めました、いちいち訂正するのもめんどくさいし。」
「こっちだ、おふくろ! 早く来てくれっ!!」
「はいわかりました、もう! あの、受付、ちょっと抜けますね、すみません。」
「くすくす! ほんと、お人好しで、世話焼き。」
「うみのさんが婚約してから、やたら暗部が受付に来るんだけど・・・・ 正直、ビビるよな?」
「うん、なんも気配しないしね。 よかった、味方だ、って心臓ドキドキするよ、毎回毎回。」