餌の時間 11   @AB CDE FGH IKL M




おれが火影様に呼ばれたのは今日の昼間。 その後すぐ、海野中忍が二人に脅されていた現場に遭遇。
やっぱり海野中忍もグルだと考えるのが妥当だ。 三代目も知っていると言っていたのは、だからか。
いや、でも・・・・ 海野中忍はありがとうって、おれに・・・・ 一体どこまでが芝居だったんだ?
カカシさんとテンゾウさんに合格と言われて初めて、ハッとした。 これが上忍試験だったのか、と。


「無意識で必要としているなら気付かせてあげたい、なんて言うからさ。」
「それ、アズサさん達が何か言ったからでしょう、絶対。」
「・・・・恋愛オンチかと聞かれて、そうだと言っただけだ。」
「これから任務だとか言って、追い返せば済んだじゃないのっ!」
「・・・・・・・ちょっと待って下さい。 あの。」

カオルさんとアズサさん、お二人もグルだったんですか!? ・・・・・・?? 途中で気付いた?
途中で気付いたって事は、最初は知らなかった、という事ですよね? ・・・・・ちなみにどの辺りで??
・・・・・・・慰安任務をカカシさんとテンゾウさんが海野中忍に頼んだから、ですか? へー・・・・・
それは途中とは言いません、ほぼ最初からと言うんです。 おれの試験を高みの見物、だった訳ですか。

「・・・・・・お前は仲を取り持つ気満々だったからな、余興だ。」
「この二人への恋愛講義だろ? アタシらは充分楽しめたさ。」
「ははは。 ヒマだとか、面白そうだとか言ってたのは・・・・ 本心からだったんですね・・・・・」
「いいじゃないか。 結果オーライだったんだから。」
「・・・・・ふっ。 木の葉の上忍として合格だ。」


「ひとまず宣言を。 音場エンカ中忍、上忍試験合格だヨ。 査察役の戌猫両部隊長が保証する。」
「査察任務だったんだよ、ボク達。 君が木の葉の上忍を名乗れる人物なのかどうか、見極めのね。」
「ついでにアタシ達も保証してやるよ。 暗部の四天王のお墨付き、ってワケさ。」
「・・・・・そうだな。 本来は査察役だけで十分なんだがな。 余興の褒美だ。」
「・・・・・・・果たしてここで喜んでいいのか。 ・・・・非常に複雑です、おれ。」

・・・海野中忍とお二人の仲を取り持つ事が、おれからの恋愛講義が。 どうして余興になるんだろう?
ひょっとして恋愛オンチなのは本当なのかな?? え? え? だったら海野中忍への慰安任務も?!
ど・・・ どうなんだろう・・・・??? いや、待て待て待て。 それより仲間に忍術ってどうなんだ?

カカシさん、テンゾウさん。 これが上忍試験の任務、査察役のお二人がおれを試したのは納得ですが。
同じ里の仲間に対して、自白用の瞳術をかけたり捕縛用の木遁を使ったり。 やりすぎじゃないですか?
・・・・え? 力を誇示した嫌な上役になる為には、やり過ぎてもいいと三代目から許可をもらっている?
査察は同胞を騙す為の任務、他の上忍は受けたがらないから? だから暗部が担当しているのか・・・・・


そうだったのか。 そりゃそうだな。 中途半端に情けをかけられたら、誰だってヘンだなと気付く。
逆にそれが試験だと気付いて逆手に取り、クソ偉そうに口でだけ理想を掲げたりする奴もいるかもな。
査察役に気に入られようとして、途端に媚を売ってくる奴だっているだろう、見栄だけで動く奴も。

仲間を騙して嫌われるとか、後々わだかまりが出来るとか、そんな単純な理由で敬遠されているんじゃない。
自分が太鼓判を押した忍びが、果たして期待通りの人物なのか、その判断と結果を強いられる事になる。
アイツの査察は○○だ、あんなヤツを里の上忍だと認めたのか、人を見る目がなさ過ぎる、などと・・・・
もしも同じ上忍仲間から思われたら、火影様や国主にも顔向けできない。 過度のプレッシャーだからだ。

「ヤー いつもと違う行動をとったからさ、つい瞳術かけちゃったんだヨ。 ごめーんネ?」
「ボクもすみません。 手っ取り早く嫌われようと思って、つい木遁を繰り出しちゃいました。」
「はははは!  ・・・・それにカオルさんとアズサさんが盾、でしたからね?」
「そうだよ、アタシ達だって役に立ってたじゃないのさ。 ね、カオル?」
「・・・・・墓穴を掘ったのはお前達だからな。 フォローしてやったんだ。」

「「・・・・・ものは言いよう。」」
「ははは! 確かに心強かったのは事実ですから・・・・・・・・・ あれ?」


・・・・・?? 墓穴? 何がどう墓穴なんですか?? お二人はそれはもう、超嫌な上役でした、見事に。
え? 公私混同して? ・・・・・・・あの。 つかぬ事をお伺いしますが。 ひょっとしてひょっとします?
まさかとは思いますが。 本当に恋愛オンチで、海野中忍に恋焦がれている自分達に気付かなかった、とか?

・・・・・・・・目が怖いですよ? カカシさん、テンゾウさん。 もう試験は終了、ですよね?

「そうそう。 いつもと違う展開だったからサ、チョット不機嫌だったんだよネ、実は。」
「ええ。 さっさと今ここで飛び出してくればいいものを、何やってるんだっ! とか。」
「ちょっとというか・・・・ かなり不機嫌な気配が溢れてましたよ、この部屋。」

「・・・・・それなんだがな、アマモ。 お前、何かやったのか?」
「アタシも気になったんだよ。 結構マジな怒気が出てたからさ。」

・・・・これが上忍試験で査察なら、おれは恥じる事なんて一つもしてない。 お二人に睨まれる様な事も。
てか。 なんでまだアマモなんですか、カオルさん! ちなみにアモールですよ? 聞き間違いですから。
アとモしか合ってませんから! 恋の神さまの名前ですから! ・・・・・よし、やっとツッコミを入れたぞっ!