餌の時間 5   @AB CEF GHI JKL M




自分の気配は消さず盛大にアピール。 場違いな中忍が入って来ましたよー っていう感じで。
ものの二秒で暗部の隊員がおれの前に現れた。 ・・・・・改めて思った。 おれ本当に場違いかも・・・・。
なんか言わなきゃ。 うぅ〜 ・・・・あの。 は、はじめまして。 おれは音場エンカ、中忍です。

猿部隊長と酉部隊長にお話があるのですが。  いらっしゃいますか? ・・・・うん、大丈夫だ攻撃されてない!

「戌部隊長と猫部隊長の事で、お二人にお話を聞いてもらいたいのです。」
「・・・・・分かったわ。 今、二人を呼んでくる。 音場中忍はここにいてくれる?」
「は、はい! ありがとうございます! ええ、動きませんとも、一歩たりとも!!」
「・・・・・くすっ! 大丈夫よ、ちゃんと逃げずに名乗った。 誰もあなたを斬らないわ。」

いや、斬らないとか。 そういう問題じゃないと思うんですが。 ・・・・・・そんな事は言えない。
もしあの一瞬で逃げ出したり、名乗らなかったりしたら・・・・ 問答無用でバッサリとな?!
気配を消してこの演習場に侵入した上忍達が切り捨てられたというのは・・・・ どうやら本当らしい。
おれ何気にツイてる?! 運も実力の内だ、そうだろ? 緊張して動けなかっただけ、とかじゃないから!


「・・・・ねえ、ひとつ頼んでいいかしら。 月光ハヤテって・・・・ 知ってるでしょう?」
「はい。 特別上忍の、月光家のハヤテさんですね?」
「私、これから二三日任務でいないの。 これ。 ・・・・渡してくれる?」
「書簡ですね? 承りました!」
「ふふ。 じゃぁ、部隊長達を呼んでくるわね? ちなみに私は猿班の夕顔よ。 ヨロシク。」

猿部隊の夕顔さんだって! 名前、教えてもらっちゃったよ! 暗部って、実はフレンドリーな人達?
部隊長達に会わせてもらえるなら、書簡の配達なんか軽いもんだ。 特別上忍の、ハヤテさんか・・・・。
面をつけてたけど、凄くハートマークが飛びまくってた。 夕顔さんは、ハヤテさんの恋人なのかもな。

剣の奥義を受け継ぐ月光家のハヤテさん、火影様直属 暗殺部隊の夕顔さん。 なんともお似合いだ。
互いの研ぎ澄まされた剣を合わせて修行してる・・・・ そんな光景がありありと浮ぶ。 カッコいい!
あの雰囲気は・・・ きっともの凄く美人だと思う! うん、絶対そうだ!! でもなんだか可哀想だな。
恋人が暗部なら、むやみやたらと出歩けない。 一緒にいられる時間は少ないんだろうな・・・・




「・・・・待たせたな、音場中忍。 ・・・・・・・なんだ、話というのは。」
「こっちが猿部隊長のカオル、アタシは酉部隊長のアズサだ。 カカシとテンゾウの事だって?」
「はい。 ・・・・・どうしてもお二人に確かめたい事がありまして。」
「なんだい? 今は時間に余裕がある。 なんでも聞いとくれ?」
「・・・・・・そうだな。 おれ達が直接動く任務は今ないな。」

どうしたことか、もの凄く落ち着いている。 今、自分の心臓を取り出せるなら見てみたいものだ。
猿面と酉面、暗部四天王と呼ばれる二人の部隊長を前にして。 さっきの夕顔さんで毒気を抜かれたのか?
それ以上に、カカシさんとテンゾウさんがもしおれの推測通りなら・・・・ と思っているからかも。

そうなんだ、最初は部隊長のお二人に間に入ってもらって、戌、猫部隊長を諌めてもらおうと思っていた。
でも今は違う。 海野中忍と近い距離で・・・ というか海野中忍の違う一面を見て、おれが感じたから。
ひょっとしたら、カカシさんとテンゾウさんは自分で気付かずに・・・・ 恋焦がれているのかも、と。
これはあくまでおれの勘だ。 だから今は、二人を説得して諌めてもらうより、確かめたいと思っている。

「部隊長同士、お二人ならよくご存知だと思って、単刀直入にお伺いします。」
「「・・・・・??」」

「カカシさんとテンゾウさんは、実は恋愛オンチなんじゃないでしょうか?」
「・・・・・・・・・ふっ。 ・・・・意味が分からんな。」
「・・・・ちょいとアンタ。 単刀直入に聞き過ぎだよ、順を追って説明しとくれ。」

・・・・・・そりゃそうか。 暗部の演習場までおしかけて来て、どんな重要な話かと思ったら色恋沙汰。

夕顔さんといい、カオルさん、アズサさんといい。 凄く気さくだからつい・・・・。 緊張の反動だな。
落ち着き過ぎて、おれの中で確信になりつつあった推測が、確定になってしまっていた、危ない危ない!
いや、だって・・・・ あんまりにも順調に話が進むから・・・・ おお?! これも運の良さなのか?!

おれって実は、結構運がよかったりする? 目をかけてもらったり、推薦してもらったり・・・・
おまけに、面倒事かと思っていた話は、どうやら仲人的な役割になりそうだったり・・・・
おれが上忍になったら、なんか運の良さげな通り名を考えるとしよう! いや、まだなってないけどな?