餌の時間 9
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・・・・自白用の瞳術かな。 おれが心で思った事をそのままの言葉で話すと疲れない。 問答無用、か。
・・・・ふふふ、そうですか。 そうやって本人の同意なしに無理やり、というのがお二人のやり方ですか。
こうなったらもう、階級差もクソもないですよ。 大人として、恥ずかしい事を指摘してやりますから。
指摘されて逆切れしても無駄ですよ。 カオルさんとアズサさんが止めに入ってくれるんですから!
たかだか中忍にこんな事を言われて、穴があったら入りたいほど恥ずかしくなっても知りませんからね!
海野中忍の事もありましたから、本当は仲人気分で来たんですよ、おれは! もうそんなの気にしません!
あのね、好きな子ほど虐めたいって・・・・ どこのアカデミー生ですか、恥ずかしい人達ですねっ!
「「・・・・・・・・・・。」」
「・・・・・お。 ズバリ言ったな? 大したもんだ。」
「やるねえ。 いい度胸してるじゃないか、アマモ。」
「・・・・・アマモじゃありません、エンカですから。」
「・・・・・・・ほらな? エンカだったろ?」
「別にどっちでもいいじゃないのさ、三文字だ。」
・・・・いや。 どっちも三文字だからって、アマモとエンカは、全くカスってないですから。
アとモしか合ってなかったアモールのアマモと、全然違う言葉ですから。 どんな大雑把なくくりですか。
それが通るなら、アズサだってカオルだってカカシだってテンゾウだって・・・・・・ あれ??
テンゾウさんだけ四文字だ。 わー 仲間はずれだー ・・・・・って! そうじゃないだろ、おれっ!
「アー ホントだ。 そういや、お前って、四文字だネ? イルカも三文字だし。」
「・・・・・・・一人だけ四文字で悪かったですねっ! ・・・・・木遁っ! 黙殺縛りっ!!」
「 ぎゃぁぁあぁぁあっっ!! いきなりキレたっっ!! 」
「落ち着きなっ! テンゾウッ!!」
「・・・・・・ヒルゼン。 三代目は四文字だぞ。」
テンゾウさんが突如キレて木遁。 おれめがけて植物の蔓が生きた縄のように向かって来た! ぎょえー!!
即座にカオルさんとアズサさんが忍刀でズバズバと切り落としてくれたけど・・・・ あー 怖かった・・・・
てか、太刀筋が速過ぎて見えなかったぞ?! よくわからないうちにボトボトとちょん切れた感じだ。
猿酉両部隊長がおれの前に立ちはだかり、庇ってくれている。 二人の間からニョッキリと顔を出した。
瞳術に抵抗して、いちいちガードしてたんじゃ疲れちゃいますから。 もうおれの言葉で言っちゃいますけど。
・・・・・あのですね。 はっきり申しますと、そうやって力に任せてモノをいうのは、どうかと思いますよ?
そんなんじゃ、いつまでたっても思いは伝わりません。 力に頼る人間ほど嫌われる人はいませんから。
海野中忍はどんな人間ですか? 裏表のない物事をはっきりと言う人ですよね? 他人への気配りも出来る。
そういう忍びが、力ずくや揚げ足取りでまるめ込まれるとでも? 好意を抱いてくれると思いますか?
カカシさんとテンゾウさんは気付いていないかもしれませんが、おれから言わせれば、気を引きたいだけ。
お二人は海野中忍が大好きなんですよ、恋焦がれているんです。 ご自分の気持ちを受け入れて下さい。
海野中忍はお二人の事を尊敬していると言いました。 おれもです。 ・・・・ええ、聞いてました、全部。
カカシさんとテンゾウさんならもうご存じだと思いますが、蔵の裏で気配を消していたのはおれです。
あの後の海野中忍の・・・・ 不条理を受け入れようとして諦めた様な顔を・・・・ 見せてあげたい。
「おれが来るなと言ったんです。 ・・・・・海野中忍に自ら“餌”などと言わせたくありませんっ!」
「「・・・・・・・・・・・・。」」
「・・・・・・・後ろに隠れているせいか、強気だな?」
「顔だけは出してるよ? ほら。 アタシ達の肩の隙間から。」
・・・・す、すみません。 だって・・・・ お二人という盾が無かったら、おれ、ヤバいですもん。
ここぞとばかりに大タンカを切ってみた。 おれが敵だったら瞬殺されていたかな? でも鉄壁の守りだ。
わー 今、自分の運の良さを自慢したい気分! だって安全圏の中にいる戦いだよ、これって!
ホント、アズサさんとカオルさんがつきいて来てくれて良かった。 下手したら、死体確定だったよ。
「なんか誤解してるみたいだケド。 イルカが言ったんじゃないヨ? オレ達がそう言ったの。」
「・・・・・・・・・・・・は? 何を??」
「いや、だから。 イルカが餌だと言ったのはその通りです。 ボク達が餌だと言ったから。」
「何考えてるんです?! そんな事を言うから、海野中忍に気持ちが伝わらないんですよっっ!!」
「見てごらんカオル。 アマモが猛攻してるよ? 隙間から。」
「・・・・・・・・お前、随分と怒りっぽい仲人だな?」
「・・・・・・アズサさん、カオルさん、ちょっといいでしょうか。」
・・・・・・あの。 お二人は一体どっちの味方なんですか、さっきから。 いや守ってもらってますよ?
ええ、おかげで言いたい事も言えるし。 お二人にはこの怒気なんて、屁でもないでしょうけどね?
慣れてきたとはいえ、おれはキツイんですよ、正直っ! 余裕だからって、茶々を入れないで下さいっ!
それと・・・・・ これだけは言わせて頂きます。 おれはアマモじゃありません、エンカ、ですから!