絵画は語る 10
@AB
CDE
FGH
JKL
MN
翌朝、絵師のひとりが、俺の口寄せ獣をぜひとも描きたいと頭を下げた。 アズサさん、どうします?
やっぱり面倒見がいい。 暗殺は今夜でイイかと、文鳥の姿でバケットの和紙の中に埋もれてくれた。
さすが芸術を愛する忍びの里、出来上がったら俺も見せてもらおう。 絶対可愛いはずだから!
実は雪豹の後ろ姿しか見てないんです、と言ったら、昨夜来た忍びのひとりが変化してくれた。
うわ!! そうか、幻の雪豹はこんな風貌だったのか・・・・ 綺麗で、カッコいい・・・・
よし、覚えた! あの豹に触ったのは俺だけだから、毛並みを忠実に再現できるのも俺だけ。
お礼にと、俺も変化した。 オオーと、どよめきが起こる。 ね? 上等な絨毯の肌触りでしょ?
「イルカっ!! ・・・・・が ・・・・触られまくってる?」
「ちょっと、アズサ!! なんなの、コレ!! どういうコト?!」
「白い豹に変化して撫でられてるヤツが・・・・ お前達の恋人か??」
「獣姦プレイ? おふたりとも変わった趣味をお持ちで・・・・」 「ブゥ〜」
「「んな訳ないでしょ?!」」
あ、カカシさんとテンゾウさんだ! あれ? 一緒にいる女の人達は誰だろう・・・・??
それに・・・・ なに? あの女の人が抱いてる子豚!! 金の髪の人とお揃いの上着と、首飾り?
なんて鮮やかな桃色の肌、キュートなお尻、丸まった尻尾、薄紅色の爪・・・・ 抱っこしたい!
「解っ!! わぁ、桃色の子豚〜vv 俺も・・・・ 抱っこしてイイですか?!」
「はへ?! あ、え、あ、あ・・・・・ どうぞ・・・・・。」
「「・・・・・・やっぱり。」」
ヒタヒタでピタピタなお肌。 つぶらな瞳の色は・・・・ ブラウンだね? ラブリ〜!
・・・・え?! この人が・・・・伝説の三忍のひとり、綱手様?! うわ、どうしょう・・・・。
取り合えずこの子をシズネさんという方にお返しして、トントン? ピッタリ・・・・じゃなくて、
俺、挨拶してないじゃないか! 綱手様、申し遅れました、中忍、うみのイルカ、19才です!
「ふ、・・・・・なるほどな。 そうか、イルカは動物が好きなんだな?」
「はいっ!! 動物も、里の人も、大好きです!」
「そんなクサイ台詞、嬉しそうに言うヤツがあるか! 面白い奴だな、ハハハハ!」
「トントン、お前の可愛さを理解してくれる人がいたわよ? 良かったね!」 「ブ〜v」
ガラにもなく緊張してたら、母ちゃんが飛んで来て、綱手様の肩に止まった。 なにか話してる。
さっきまで里の絵師に頼まれて、ウズキさん特製の藁バケットの中で、可愛く収まってたのに。
しかし、凄い大きいオッパイだなぁ・・・・ あ! 文鳥があの乳の間から顔出すと可愛いかも!
綱手様に頼んだら、挟んでくれるかな? でも、母ちゃんが嫌がるかもしれない。 う〜〜ん。
ん?? そういえば、カカシさんとテンゾウさんはどうしてココに? 確か、追跡任務って・・・・
「突然のご無礼、大変失礼致します。 戦いに来たのではありません、技術提供にまいりました。」
「皇女暗殺後も彫の国に血筋を残せるよう、木の葉伝説の三忍がひとり、綱手姫をお連れしました。」
「お初にお目にかかる。 千手 綱手、この度、火影より任務協力の要請を受けて、はせ参じた。」
「なんと・・・・ この方が・・・・ 神の手を持つと言われている医療忍者か・・・・・。」
「そこにいるシズネは我が弟子。 今回訳あって、助手を務めさせる。」
ふたりの追跡任務は、綱手様を探してくる事だったんだ。 たった二日で見つけるなんて凄い!!
皇女を暗殺したら、彫の国の王家の本血筋は絶える。 彫の国のその後をフォローするなんて。
火影様はどこまで凄い方なんだろう・・・・。 あれ? 母ちゃ・・・アズサさんが変化を解いた??
「すまないね、口寄せ獣じゃなくて。 暗殺任務遂行人のアズサだ、アタシが桔梗を暗殺する。」
「なんと・・・・・ 文鳥のアズサちゃんが・・・・・・。」
「木の葉の用意した駒は、全部そろいました。 奏宴の里の長、その上でご判断頂きたい。」
「ボク達はそちらが動かない限り手出しはしないとお約束いたします、火影の名にかけて。」
「・・・・・変化すら見抜けない我ら等、束になってもかなわんという事か・・・・。」
「猿飛先生は、旧知の友の無駄死にを見過ごす方ではない。 あなたならご存知のはずだ。」
「・・・・・ヒルゼン殿・・・・・ このウズキ、心より敬服、感謝いたしますぞ・・・・。」
ん?? な、なんか、凄く難しい話しになってないか?? えっと・・・・ 整理していいかな。
俺が雪豹写生に協力すれば、皇女暗殺をこの里の忍びは黙認する。 事実そう約束してくれた。
この時点で文鳥が暗殺遂行人だと気付いてなかったから、ウヅキさんは、別働隊が動くと思ってる。
城の周りに奏宴の忍びが待機して、暗殺を黙認・・・・ つまり、見届けたらその後は?
彫の国に忠義を示し、かなわないと判っていても、その暗殺部隊に死に物狂いで・・・・・
なんてことだ、殺人鬼となり果てた皇女の為に、この里の忍びが殉死しようとしてたなんて。
こんな温厚で芸術を愛している里の忍び達が、その里の長までも・・・・ 綱手様の言う通りだ。
三代目がそんなことさせる訳がない! 猿魔に見惚れ、あまつさえ戦いの中声をかける様な人物。
そういうあなたが治める里だからこそ、この忍び達は今ここに住んでいるのではないのですか?!
「おお・・・・ イルカ中忍、ほんに実直な忍びじゃて・・・・。」
「バカだね!! 男がビービー泣いてんじゃないよ!」
「うん、良い里なんですね? ここに住む忍びも。 みんな大好きになっちゃったんですね?」
「ううぅぅっ・・・・ 奏宴の里の皆は、そんな事で死んじゃ駄目だっっっ!!! うぅ・・・。」
「イルカ、 泣き顔を見せるなんてもったいないじゃない、ホラ、おいで。」
「・・・・・ふっ、見てごらんシズネ。 猛獣が三匹とも懐いているよ?」
「あの隙のない眼をした暗部達が・・・・ 不思議です。」
思い出した。 それをさせないために、綱手様達が来てくれたんだ。 ウズキさんも敬服した、と。
“イルカ中忍は木の葉に帰そうと思っていた” って? ・・・へ? 俺も殺されてたかもしれないの?!