絵画は語る 2
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※ 臨時暗殺任務急募 先着三名 ◎Aランク 報酬 彫の国のカメオ 詳細は受付まで
アカデミー教員になれて早一年、来年から担任をもつ。 最近では任務受付所の手伝いもしてる。
なかなか里外任務に就く事がない。 久しぶりに里外任務だと喜んでも、火の国の国内ばかりだ。
あ〜あ、たまには国外に出て、ビシッと木の葉の存在を印象付けたい、ウチのふたりみたいに。
なんだろう朝から騒がしいな、と思ったら任務受付所に暗部の隊員がいた。 あの人は・・・・・
「なんだい、先着だろ? それとも何かい、暗部が普通の暗殺任務を受けちゃいけないってのかい?」
「い、いえ、そんな・・・・」
「あ!! お久しぶりです、暗部酉班 部隊長殿。」
「イルカじゃないか! そうか、アンタ受付にいたんだね! アレを受けたいんだ、アレを!」
酉部隊のアズサさんが、受付所に貼ってある緊急募集の張り紙を指差し、弾んだ声で訪ねてきた。
どんなカメオだ? 台座は何で出来ている? モチーフは何だ? 大きさは・・・・。
驚いた。 任務内容より、任務報酬が気になる様だ。 アズサさんは、宝石が大好きらしい。
鳥の習性で光る物が好きってあるけど、ホントなんだなぁ。 ここまで鳥になりきるなんて、凄い!
「でも、暗部は火影様でないと動かせません。 だから・・・・三代目に推薦しておきますよ。」
「そ、そうか! あははは、動物フェチでも、たまには役に立つな!」
「部隊長が動くんじゃ、この張り紙はもう必要ありませんね。 剥がしておきます。」
「ああ。 Aランクの通常暗殺任務なら、アタシひとりで十分さ。」
ふふふふ。 面をつけてるからわからないケド、もの凄く嬉しそうな感じが伝わってくる・・・・。
よっぽど、任務報酬のカメオが気になるんだろうな。 俺達男には、まったく理解できない感情だ。
あの時のオカメインコ、可愛かったなぁ。 首を動かす度、頭の上の羽がフルフルして。
その後で見た鷹もムチャクチャ、カッコ良かった。 足の股羽を触ってみたかったなぁ・・・・。
「・・・・・ところで暗殺戦術特殊部隊の酉班 部隊長殿に、お願いがあります。」
「なんだい、改まって。 気持ち悪いねぇ。」
「オカメインコに変化してもらっても・・・・・ イイですか?」
「ちっ、仕方ない。 必ず推薦しとくれよ? 変化の術っ!!」
「わーーーい!! やっぱり可愛いっ!! わぁ、トサカ羽がフワフワだ!!」
思った通り、頭の上のクルンとした羽は、フワフワだった。 思わずお腹を擦っちゃったよ。
鳥ってココ触ると、おとなしくなるんだよね。 気持ちイイのかなぁ、可愛い・・・・・ あっ!
もう終了?! 結構気持ちよく机の上で寝転がっててくれたのに。 残念、もっと触りたかった。
「解!! ご奉仕タイム終了。 あのふたりにバレたら厄介だからね。」
「・・・・短い間でしたが、至福の時間をありがとうございました。」
「あはははは。 じゃ、イルカ。 頼んだよ?」
「はい、任せといて下さいっ!!」
朝一番で張り出された【臨時暗殺任務急募】の紙は、他の忍びやクノイチが目にすることもなく、
剥がされることになった。 忍び三名は必要ない。 だって、暗部の部隊長クラスが動くんだから。
任務内容は彫の国の皇女の暗殺。 彫の国、国外任務か・・・・・ いいなぁ、アズサさん。
どんな動物がいるのかなぁ。 芸術の国で有名だから、カラフルな犬猫がいたりして・・・・
「・・・・・・イ、イルカ、暗部の部隊長クラスと知り合いなのか??」
「知り合いっていうか・・・・ 俺の恋人達も暗部なんだよ。」
「ん? 恋人た、ち? 何人ぐらい??」
「いや、ふたり。 どっちも部隊長。」
そう、俺の恋人達は、暗部の戌班と猫班の部隊長。 ふたりとも、泣く子も黙る暗部の部隊長だ。
一年と少し前、任務の帰り道で偶然三匹の動物を見つけた。 傷だらけでグッタリと苦しそうに。
みんな木の葉の額宛てをしていたから、きっと誰かの口寄せ獣だ。 木の葉に連れて帰ろう。
あんな傷だらけの状態で、もし次に呼び出されたら、死んでしまうかもしれない、そう思った。
「マジで??」
「まぁ、忙しいからあんま一緒にいれないんだけど。 ふたりそろったら、もう天国直行。」
「・・・・・・イルカ、体力つけろよ?」
「あははは、それが一番の修行だよ。 俺鍛えられちゃってるから。」
「・・・・そ、そうか、がんばれ?」
あの時の忍犬と忍猫が、実は暗部の部隊長の変化だった。 シロとクロは、俺専用のオセロ。
ふたりのサポートがあって、教員試験を受ける事が出来た。 ふたりがいない生活は考えられない。
大好きな恋人達。 犬と猫のままでも良かったのに・・・・なんて、思った事もなくはないけど。