絵画は語る 8   @AB CDE FHI JKL MN




カカシ先輩は今まで何度か会った事があるらしいけど、ボクはまだ、直接本人とは会った事がない。
綱手姫はチャクラを額にためて、細胞分裂の調節ができるらしい。 見た目は20代半ばなんだって。
ボクは、彼女と同じく三忍のひとり大蛇丸の手によって、人工的に作られた被験者の生き残り。
実験室から助けてもらった時にはもう、綱手姫はすでに里を飛び出していて、木の葉にいなかった。

「やっと奏宴の里に行けるヨ。 二日もかかったケド。」
「アズサさんの暗殺任務に関わるのなら、引き受けてくれるかわかりませんね・・・・。」
「・・・・何が何でも了承させるヨ? 木の葉に借りがあるんだから。」
「ですね。 綱手姫もそれを聞いたら断れないでしょう。」


ここは雷の国のある賭場。 カカシ先輩の忍犬の一匹が綱手姫を見つけた。 やっぱり負けてる。
伝説のカモ=木の葉の三忍 綱手姫 裏の筋では常識だ。 ここまで負け続けなら、普通は出入り禁止。
木の葉隠れの里が必ずその借金を返済しているから、負け続けても賭場に出入りできるんだ。
ひょっとして三代目は、ワザと貸しを作って断れないような状況を作ってるんじゃ・・・・・?

「・・・・・・あ、出て来た。 綱手姫、お久しぶりデス。」
「なに者?! ・・・・忍びか、綱手様になんの用だ?!」
「およし、シズネ。 ・・・・ 木の葉の暗部だ。 今のあたしに、何をさせる気だい?」
「三代目より書状を預かって来ました。 お確かめ下さい。」


賭場から出て来た綱手姫に声をかけたら、敵意むき出しで付き人が絡んできた。 まったく。
相手の力量を測れないで、喧嘩売るなんて。 そんな毒つき千本ぐらいじゃ、ボク達は殺れないよ?
綱手姫に訓練されたようだけど、実戦経験は豊富とは言えないね。 木の葉の特別上忍並みかな。
医療忍術を綱手姫から伝授されているとしたら、里の上忍にはなれるか。 でも、短気は損気だよ?

「賭場の借金は、全て木の葉が支払っている事をご存じで?」
「・・・・・・ふん、見せてみな・・・・ これなら・・・・ あたしも役に立てるか。」
「綱手様、駄目です! 綱手様は・・・・ 任務協力なら私がします!」
「アンタじゃ多分無理。 わざわざオレ達が来た意味を考えるんだネ。」

ボク達の任務は、綱手姫を探し出し協力を仰ぐ事。 三代目が何を要請したのかは聞かされていない。
無理やりにでも連れて行けと言われていた。 結構身構えていたんだけど、承諾してくれたらしい。
よかった、自分で出向いてくれるのなら、いらない時間と体力を使わずにすむ。 でも・・・・


「申し訳ありませんが、シズネさんと・・・・豚、あなた達はお留守番です。」
「私達は綱手様に育てて頂きました。 どんな時もお傍を離れません!!」
「・・・・ま、勝手にすれば? でも、その豚は置いていってもらうヨ?」
「なんだい、トントンが気に入らないってのかい。」

気に入らないっていうか・・・・ 気に入りそうだから嫌なんだ。 プリプリのお尻と巻いた尻尾。
賭マーク入りのお揃いのハッピ。 おまけに真珠の首飾りなんかしてる。 抱き癖までつけちゃって!
なんなんですか、この桃色の豚! どう考えても、イルカが気に入っちゃうじゃないですか!

「・・・・悪いね、トントンは連れていく。 コイツは今のあたしそのモノなんだ。」
「綱手様・・・・・。 そうです! 私達はいつも一緒なんです、ついて行きますからね!」
「・・・・・いつもソイツを見て・・・・ 自分を戒めてるんデスか。」
「なるほど、そういう事ですか。 ・・・・綱手姫は、自虐趣味なんですね。」

豚に真珠。 この人は自分を戒めているんだ。 誰もが一目置く実力を兼ね備えているのに、使えない。
血液に触るとガタガタと震えだし、いざという時役に立たない。 本人が一番つらいはずだ・・・・。
初代火影の孫で三代目の弟子、木の葉隠れの里を思わない日はないだろう。 綱手姫も苦しんでいる。

「・・・・ふふふ・・・ お前、はっきりモノを言うね気に入ったよ、名前は?」
「暗部 猫部隊 部隊長のテンゾウです。」
「なんだい、あのバカゾウと似てるじゃないか! ・・・・名前は気に入らないね。」
「あははは、さすが綱手姫、志村ダンゾウをバカゾウ呼ばわりデスか!」

昔、第二次忍界大戦中、作戦会議の時、ダンゾウに鼻で笑われて見下されたそうだ、臆病者だと。
スリーマンセルではなく、医療忍者をひとり足してフォーマンセルの小隊にしては、と提案したら、
『さすがは穏健派初代の孫、平和主義の猿飛の弟子、身を守る事が優先とは』と、言われたらしい。
いまだに思いだしても腹が立つそうだ。 名前の事はボクも気にしてる・・・・ 痛み分けですね。

「奏宴の里だね、わかった。 シズネ、トントン、行くよ?」
「・・・・はいっ!」 「ブー!」


「あの豚はマズイよネ・・・・ イルカ好きそうだモン・・・・。」
「第一声当てましょうか?  “わぁ、桃色の子豚〜vv” 目に浮かびます・・・・・。」