絵画は語る 11   @AB CDE FGH IKL MN




里長と意気投合してたし、写生を成功させただけじゃなく、毛並みを体感させるサービスもしてた。
この里の忍び達は、雪豹と心を通わせたイルカを、騙し打ちで殺す様な奴らじゃない。 けど・・・・
アタシもその可能性はあると踏んでたんだ。 暗殺を済ませたら、アタシに向かってくるかも、とね。
彫の国王に義理立てして、何人かが特攻をかけてくる気がしてた。 奏宴の里の為の犬死にだ。

「暗殺執行人のアズサちゃんに・・・・ 頼みがあるんじゃが。」
「なんだい、言ってみな?」
「・・・・・・・・これは・・・ ワシ個人の任務依頼じゃ。」
「・・・・わかったよ。 コレを出されちゃ仕方がない。」

腐っても忍びの里。 この国を愛しているなら尚更に、だ。 ほんの何人かの犠牲で体裁が保てる。
皆が覚悟していたに違いない。 三代目は、そのわずかな犠牲も出さないつもりだったのか・・・・。
カメオを任務報酬にした時点で、アタシが動くと踏んでたんだ、木の葉の親父様には、頭が下がるよ。
きっと、この里長がアタシに頼み事して来るのもなにもかも、全部お見通しだったに違いないさ。

「文鳥じゃった時、一番最初にコレの傍に行き、ジーッと見てたじゃろ?」
「あははは! まいったね、アタシは細工物に目がないのさ。」
「芸術品は、好きな者が持つとより一層価値が出る。 そう思わんか?」
「長にとっては、猿魔の絵画や雪豹の絵画の方が、価値があるんだね?」

ここに見事なインペリアル・エッグがある事を知ってたんだ。 アタシが見惚れる事も計算してた。
そして、そんなアタシを里長のウズキさんが見て、細工物好きだと気がつく・・・・ なんてこった!
アタシが変化する事は考えてなかったろうが、ウズキさんはそれでも気がついた。 まいったね。

里長 ウズキさんの依頼、確かに受け承ったよ。 最初から仕組んでたんでしょ、ねぇ、親父様?

 


綱手姫の血液恐怖症の話はわりと有名。 見るのも駄目なのかと思ったら、触れないダケらしい。
噂には聞いていたが、凄いチャクラコントロールだ。 この、助手のシズネとかいうクノイチも。

城に忍び込み、桔梗をベッドに寝かせた。 綱手姫に言われて、アタシは解体ショーの見学中。
声を出せず体も動かせない桔梗には、今、意識がある。 激痛だろう、心臓を取り出されているから。

「・・・・アズサ、お前、麻痺させるんじゃなくて、経絡系のツボを押しただけだろ?」
「・・・・・・・・そうでしたっけ?」
「まあいい。 生きのイイ心臓さえ取り出せれば問題ない。」
「わざわざ苦しめるなんて・・・・ 悪趣味な方ですね。」
「ふん、なんとでも言うがいいさ。」

血液に触れるシズネが、片方の手で心臓を取り出した。 体と繋がってる状態で、まだ脈打っている。
綱手姫はその心臓に手をかざし、シズネのもう片方の手に何かを出した。 米粒の様な・・・・ 心臓?
シズネはそれを大切に受け取ると、心臓を桔梗の体に戻し、綱手姫と一緒に国王夫妻の部屋へ行った。
后の腹に入れに行くんだろう。 そして后は、アレを核として再び新しい命を宿す・・・・。

「さあ、解体ショーは終わり。 あんたには・・・・・苦しみながら死んでもらうよ?」


アタシは人の命を玩具にする奴が大嫌いなのさ。 ましてやそれを芸術と呼ぶなんて、吐き気がする。
お姫様、アンタ随分たくさんの命を玩具にしたんだって? アンタの部屋にあるこの絵画は・・・・。
依頼人の桐嶋さんが言ったらしい、部屋の絵画を見て下さいと。 コレ全部、実際にやった事だろ?

大輪の花の中に人の生首が描かれている。 コッチのは、馬の体に人の上半身、神話にある怪物だね?
コレは水槽の絵だ、いろんな色の目玉が浮いたり沈んだりしてる。 十字架にはりつけの少年の絵も。
手足をもがれた少女が壺に入れられている絵。 パイナップルの横で同じ様に針を打たれた赤子の絵。
ましなのはココまで。 ここからは拷問画ばかりだ。 もう趣味の為の・・・・・ 殺人でしかない。


「鳥はさ、獲物の目を最初に狙うけど・・・・ アンタは最後まで見てな、自分の死にざまを。」

皮を全部剥いでやった。 火遁で少し燃やしてみたり。 水遁で水を流し込み、胃を破裂させたり。
アンタが今までやった事ばかりだ、自分で体験してみな? アンタの絵画コレクションにされた、
たくさんのこの国の民達の痛みを、皇女なら実体験しなきゃ駄目だと思うんだ、アタシはさ。

アタシ達忍びは死んだら地獄行きは決まってるんだ。 でも・・・・ アンタには地獄も贅沢だね。
忍びは里の駒だ、動かされて進む。 駒の使い方もわからない奴が、人の上に立つんもんじゃないよ?

「桔梗暗殺終了。 後は・・・・ ウズキさんの依頼を遂行するだけだね。」


后の腹に植え付けが終わり、ふたりが戻って来た時、凄く嫌そうな顔をされたけど、気にしない。
これがアタシのやり方だ。 アタシが任務に就く時点で、三代目もこんなのは想定している事さ。